プロローグ
「あーもう、また遅刻かよ」
ある日の夕暮れ時、猛スピードで自転車を漕ぐ一人の少年がいた。バイト先である新聞販売店に向けて。
カナカナと、うるさいほどヒグラシの声が響いている公園を抜け、角のコンビニを曲がると、バイト先の親父さんが見えてくる。
今日は、学校での委員会が長引いてしまったため、汗だくになりながら急いで来たというのに、ゲンコツをもらうハメになるのかと思うと、本当にやりきれない。
「おせーぞバカヤロー!」
ガツンと脳天に一発、目がチカチカするほど強烈なものをいただくと、すぐさま新聞を自転車カゴに入れて、配達へと向かう。
腕にしているおんぼろ時計を見ると、普段より一時間も遅れている。
「やっべー」
ついていない時というのは、えてして続くものである。
いつもの通りを行き、住宅街の路地裏を抜けると、最初の配達先の家が見えてくる。
そしていつものように、アスファルトが剥がれ、窪んだ場所をジャンプすると、雨でもないのに着地場所が濡れていた。
「おわ!」
ドターン
前輪がスリップし、横倒しに派手にコケた。
「いってえ!」
打った肘を見ると、大きく擦りむいて、血が滲んでいる。
さらに追い打ちをかけるように、バシャっと全身に水がかけられた。
水の飛んできた方を見ると、それはスプリンクラーの水だった。
「濡れていた理由はコレかよ」
ここ最近は猛暑日が続いていて、庭の水撒きに使われていたものだ。
新聞はあちこちにばら撒かれ、自転車はカゴが大きく変形していた。
「ついてねえ」
怒りとも悲しみともつかない感情が押し寄せてくる。
しかし、いつまでもこのままでいるわけにはいかない。
「急がないと・・・」
立とうとするが、腕に力が入らないばかりか、足にも力が入らない。
転んだ時に強く打ち付けてしまったためだろうか。
「なんなんだよクソ」
その時に突然、頭の中に声が響いた。
(助けてやろうか?)
はじめまして!
空いている時間を有意義に使いたいと思い、このたび創作する事に致しました、花月と申します。
ラブコメが大好きで、なるべく、笑っていただけるように、なるべく楽しんでいただける作品に出来ればいいなと思ってます。
どうか、長い目で見てやって下さいませ。
初めての試みとなりますので、間違った描写や指摘等ございましたら、やんわりと教えていただけると、心が折れずに頑張れると思います。
よろしくお願い致します。