矛盾
矛と盾。
どちらも存在しているものである。
矛が盾を貫ければ、矛が最強だろう。
矛が盾を貫けなければ、盾が最強だろう。
ならば、両者が同時に最強であればどうだろうか!
この物語の舞台となるのは主に二つの大国である。
片や、最強の防御を誇る歴史長き「盾の国」
こちらは文を重んじる国であり、少しずつ同盟や合併、吸収等で領土を増やしていき、
守り続けることで、今や大国と相成った。
片や、最強の武力を誇る新興国家「矛の国」
こちらは武を重んじる国であり、新興国ながら侵略を繰り返し、攻められる前に攻めることで広大な領土を得ていた。
そして今や、大国と相成った。
そして両国は、隣接する広大な領土を有している。
どちらの国が先に動いたか。先に動いたのは盾の国であった。
盾の国は矛の国に対し、同盟関係をはじめとした友好関係を結ぼうと動いた。
その提案に対し、意外にも矛の国は受け入れた。
だがその平和も長くは続かなかった。
最強は…最強の矛と盾は同時に存在するか?
否!否!否である!
それは何故か、どちらかが最強であればどちらかが最強でない証明になるからである。
なればこそ、この二カ国の戦争は偶然か?
いや、必然である
いよいよ二つの大国の戦争が始まった。
だが、片や攻撃最強。片や防衛最強。結果が中々出ないのは目に見えていた。
矛の国は攻め一点については無類の強さを持つ。だが防衛は、もはや赤子同然である。
何故か?今まで攻めの一点で少ない歴史の中では一度も防衛にまわったことが無いからだ。
対して盾の国は防御一点については無類の強さを誇るが、攻めの技術は皆無に等しい。
何故か?長い歴史の中でただの一度も、攻めの戦争を経験していないからである。
長引く二つの大国の戦火は少しずつ、だが確実にまわりの国を巻き込み今や大炎となっていた。
まわりの小国は我先にと盾の国の傘下に加わっていき盾の国は労せず領土を広げていった。
だがそれを認められないのが矛の国である。矛の国は負けじと隣接する小国を攻め、こちらは被害はあるものの、盾の国より早い速度で領土を広げていった。
そうなれば後は、矛の国の脅威から逃れるため、小国が盾の国の傘下に加わる。
それの繰り返しである。
そうなれば二つの国は相手に勝つために、広がる戦線にとにかく兵を送り続ける。
ただ、ひたすら相手の国に勝つ事だけを考え進み続ける。
破滅への道を進んでいるとも知らずに、大国は更に歩を進める。
戦争が長引けば当然資源が減っていきいずれ底をつく。それはこの二カ国も理解していたのだろう。
盾の国は元から同盟国が数多くいる。歴史が深い国だからこそ、恩を感じている国も多い。盾の国はそんな国たちに援助を求め、援助を求められた国もまた受け入れた。
だが、援助をしている国の資源にも限りがある。
矛の国はとにかく資源がある国を攻め落とす事で維持をしていた。
だが、攻め落とせる国にも限りがある。
この戦争の結果を知れる日も近いだろう――
結論から話そう。軍配は盾の国に上がった。
矛の国の敗因は外交を蔑ろにした事であった。
二カ国が戦争をしている間、世界の時が止まるわけではない。周りの国々の技術は進む、だが二カ国の技術は止まったまま。
そうなれば重要になるのは周りの国との関わり方だ。盾の国は戦争中も同盟国を中心に外交を続けていた、その為新たな技術、情報が入ってくる。
だが、矛の国は違った。新興国家でありながら武力で拡大、統治し、外交を蔑ろにしていた。結果、技術も情報も、何も入ってこなかった。
だが実際に結果を左右したのは両国の技術力の差ではない。技術は知っていてもすぐに再現、使用できるものではない。
ならば何が直接的に二大国の勝敗を決定づけたのか。
それは、盾の国の同盟国、第三国の介入であった。
もはや矛や盾は時代遅れの武器になっていた。
ならば、時代の武器は何か。
近代兵器の登場である。
盾の国ならば銃火器を相手にも勝てたかもしれない。
しかし、残念ながら攻められたのは防御力皆無の矛の国だった。
矛は近接戦が中心である。
逆を言えば、近接戦以外出来ない。
対する銃火器は、中距離、遠距離中心である。
もはや矛の国には、万に一つの勝ち筋も無くなっていた。
結局のところ、矛と盾だけでは決着がつかなかった。雌雄を分けたのは文武の差であった。
例え最強だとしても、時代遅れになれば最強ではなくなってしまう。
結局のところ最強とはなんだろうか。
強い事か。外交力の高さか。
無敗という事であれば、防御だけでも最強なり得るのだろうか。
矛盾に解は無いのではないだろうか。
結局のところ、周りの環境により結果は大きく変わってしまうのではないか。と、私は思う。
個人的には現代でも使われている盾が最強ではないかと、
そう思う。




