3.『うらんぼんの夜』
『うらんぼんの夜』
出版社:朝日新聞出版
川瀬 七緒 (著)
皆さんこんにちは、
今回は川瀬七緒さんの『うらんぼんの夜』を紹介します。
お盆、正式名称は盂蘭盆会。
7月または8月13~16日ごろに行われる、先祖や霊を迎えて供養する行事です。
盂蘭盆という言葉は古いインドの言葉、サンスクリット語の「ウランバナ」(ネタバレになるので意味は書きません)から来ています。
『うらんぼんの夜』はそんなお盆の夜にまつわるちょっと怖くて悲しい物語です。
舞台は新型ウイルス蔓延時の福島、ジャンルはミステリーです。
主人公の遠山奈穂は正義感が強く、感情に流されない意志の強い女子高生ですが、家業と村の男尊女卑と閉鎖的な環境に嫌気が差し、高校を卒業したら村を出ようと考えていました。
そんなある日、東京から引っ越してきた北方亜矢子と友人になります。
しかし村の人達は亜矢子一家を良く思っておらず、最近ちょっとした異変が起こり始めていたことから余所者が災いを持ってきたと差別します。
「新型ウイルスで自分たちも差別されたのに、他人を平気で差別する」と家族や村の人に反発しますが、自分たちこそが“常識”と思っているため理解を得られません。
村の閉鎖具合がリアルに描かれていて「よそから来た嫁は何十年経とうと死ぬまで余所者」などは田舎じゃなくてもありますが、「外から引っ越してきた余所者を排除する」「監視する」は余程最悪な住人でない限り中々無いですよね。
何十年と続いてきた“常識”を覆すのは簡単ではなく、さすがの奈穂も何度説得しても理解されないことに無力感を覚えます。
物語のほとんどはこの何十年も続いてきた村の“過去の常識”と奈穂の“現代の常識”の対立を軸に物語が進んでいき、終盤に近付くにつれ何故この村が余所者を受け付けない、負の村となったのかが徐々に分かってきます。
もし自分が奈穂の立場だったら、早々に説得を諦めてはいはいと合わせておいてさっさと村を出て二度と戻らないと思います。
いちいち反発して説得を試みている奈穂は、内心では村のことが好きで、村を良くしたいと考えているのではないかと思いました。
奈穂は正義感が強く、感情に流されない意志の強い人間です。
亜矢子一家に対する村民の対応に怒りを覚え反発し奮闘しますが、村の秘密を知ってしまい、最後にはある決断をします。
自分だったらやっぱり何も知らないふりをしてさっさと村を出て二度と戻ってきません。
終盤で一気に回収される伏線にゾワッとしました。
この本は
・謎を解く面白さ
・人の心の弱さと強さ
・自分の常識は他人にとっては非常識だという事
・最後に生きる力を与えてくれる事
を描いていて怖くもあり面白さもある作品でした。
夏の夜に読むと一段と雰囲気を味わえると思います。
良かったら皆さんも手に取ってみてください。
こんにちは、ボアと申します。
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