24.『祖母姫ロンドンへ行く!』
『祖母姫ロンドンへ行く!』
出版社:小学館
椹野 道流 (著)
皆さん海外旅行をしたことはありますか?
私は一度もありません。本音では行ってみたいけど英語が話せないし、「話せなくても何とかなる!」なんて勇気もなくて怖くて行けません。
この『祖母姫ロンドンへ行く!』はその名の通り作者が若い時に80歳の祖母とイギリスのロンドンへ2人で旅行へ行った時のお話です。
まず最初に、この本を読んで思ったのは「なにコレ面白い!」でした。
2ページ目くらいで思いました。
英語も喋れないのに80歳で「イギリスに行きたい!」と思える好奇心、自由で言いたい事をハッキリ言える祖母と留学したことがあるという理由で一緒に付いていけと言われ、後先考えず「いいよ」と返事をしてしまう孫娘。この二人の旅行記は笑いが絶えません。人間模様も書かれていて「家族小説」としても面白さがあります。
舞台はイギリスのロンドン。
歴史と文化が同居している街です。
そこに“祖母姫”の存在が入り込むと観光案内のような描写がすぐにドラマやコメディに変わっていきます。
この本を読んでいるとロンドンはこんな街なのかと旅行気分を味わえるのと同時に「実際に自分が祖母姫と一緒だったらどうするだろう?」と想像して怖くなるのも楽しかったです。
この物語の中心は何と言ってもやっぱり“祖母姫”です。
彼女は常識に捕らわれず、自由奔放に振舞います。
時にトラブルを招き、その存在感はまるで太陽のようです。
普通なら逃げてしまう場面でも祖母姫は堂々と楽しみます。
羨ましい限りです。
祖母姫はただの“面白いおばあちゃん”ではなく「人生を楽しむ象徴」のような人で、年齢を重ねる事への不安を少し軽くしてくれる人だと思いました。
もう一つの魅力は家族との関係です。
祖母姫と孫の道流さんのやり取りは笑いと同時にリアルな温かさがありました。
最初は「またかよ・・・」的な孫も段々と祖母姫を理解して、彼女のペースに巻き込まれながらも旅を通じて絆を深めていく。
この描写が凄く自然で、私の祖母も強い人だったなと思い出がよぎりました。
世代や価値観の差を超えて一緒に体験することの大切さがわかります。
作品全体を包むユーモアも忘れられません。
予想外の行動や会話、ちょっとしたすれ違いが笑いを生み、飽きません。
しかもその笑いは誰かを傷つけるものではなく、温かみのあるユーモアなのです。
この優しい笑いがあるからこそ読後感が爽やかで心地よいのだと思います。
この小説は「年齢を言い訳にせずやりたい事をやり込む大切さ」がメッセージがあるのではないかと思います。
祖母姫は年齢に縛られるどころか自分の人生を堂々と楽しむ姿を見せてくれます。
それは私にとっても刺激になりました。
また「人は誰でもお姫様」を体現していて、特別な服や豪華な城がなくても自分らしく振舞えば毎日は輝く。
そんな勇気をくれる物語でした。
私の祖母も祖母姫のように活発な人だったので、輝いた人生だったんだろうなと思いました。
旅行のハプニングや笑い話はどの家庭にもありますが、私も祖母と一緒にもっと色々な話をしたり聞いたりしておけばよかったなと今更ながらに思いました。
自分の家族の思い出を重ねてしまう。
そんな所がこの本の強みだと思います。
読み終えた後に残るのは爽快感とぬくもりです。
大げさな冒険ではなく、日常の延長にある特別な旅。
私も「ちょっと冒険してみようかな」と思わせてくれます。
椹野道流さんの『祖母姫ロンドンへ行く!』は笑って泣いて、最後にほっこりする物語です。
祖母世代にはもちろん、若い世代にもおススメ出来る一冊です。
きっと世代を超えて楽しめると思います。
皆さんもぜひ読んでみてください。




