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史上最高のスポーツ
時は30XX年。
人々が通常のスポーツに飽きてしまった時代——
新たな競技が誕生した。
それは、
「帰宅」。
ただ家に帰るだけの行為が、
いつしか世界的ムーブメントとなり、
ついにはオリンピック種目にまで採用される。
ルールは単純。
出先から“帰宅”するまでの速度を競うだけ。
だが、その舞台は過酷を極めた。
無人島。
紛争地帯。
灼熱の砂漠。
獣が潜むジャングル。
吹雪の山岳地帯。
あらゆる場所から、
人間が持てるすべての能力を駆使し、
ただひたすら“家”を目指す。
その姿は、もはやスポーツの域を超えていた。
人類史上もっとも原始的で、
もっとも過酷で、
もっとも尊い競技。
人々はそれをこう呼んだ。
キングオブスポーツ。
そして競技者たちは誇りを込めてこう名乗る。
その名は——
帰宅部!




