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希望の兵装・裁器

ただの無謀ではなかった。老兵は策あってこそ怪物たちの前に立ち塞がるのである。




最初にセルシオに近づいたカゲロウのような生物は一瞬でバラバラにされてしまった。明らかに異質な太刀筋。有り得ない程、迅速で重厚な剣撃が怪物に悲劇的な最期をもたらした。




それを皮切りに老人の猛攻が始まる。不浄の獣たちに感情はなく、ひたすら老人に押し寄せる。




それにも関わらず、未だにセルシオの身には傷一つとしてない。"ある線"を境に異形どもの攻撃はまったくの無意味に帰着するからだ。そして積み重なるのは骸の山、怪物たちの数は減るばかりであった。 


「これが我が裁器『夢世の妖剣』」




この常識では説明できない状況を可能にするものこそ"裁器" それは人類が怪物に抗うために作り出した希望。セルシオの持つ裁器は禍々しくも美麗な刀剣であった。 




しかし当然のことながら、この強大な力には相応のリスクがある。裁器は人間が持つ正気度・SAN値を食らう。




使い続ければ使用者は徐々に正気を欠いていき、人の形さえも保てなくなる。そんな危険と共に老人は戦っていた。




──さすがにこの数は骨が折れるのぅ。夜明けまでワシのSAN値が持つかどうか、そこが勝負どころか。






[解説] No.1『夢世の妖剣』


刀身0.8m シャンタクの尾から作られおり、紫と銀の混ざった刃が特徴的 


使用者の半径2m以内に侵入したあらゆる外敵・攻撃に対し4箇所まで同時かつ自動的に斬撃を加える。斬撃一回につきSAN値を1d3(1~3)消費する。






セルシオの最大SAN値は600、化物の急所を狙い一撃一殺を心掛けたところで倒せる怪物の数は200~600が限界である。




──いったい何匹おる? もう100は倒したはずじゃが、未だに終わる気配がねぇ……




倒しても倒しても蛆のように湧いて出てくる異形ども。一抹の不安と共に時間は流れる。




絶え間なく加えられる攻撃を洗練された動きと神話的兵装を持って、老人はことごとく捌き続けた。 




数時間にも及ぶ戦闘の末、セルシオは成し遂げる。


319体もの夜真人、遂にその全てを切り殺したのだ。




そこに残ったのは静寂だけだった。鬱蒼とした森の中で、老人は息を切らせながら膝をついた。




「相変わらず悪運だけは強いもんじゃ」




もう夜明けまで15分程。夜真人がどこにもいないことを確認した老人は、安堵の表情をホロリともらし少年の眠る家の方へと向かった。




瞬間、セルシオの背筋に戦慄が走る。迫る危険に鳥肌が止まらない。今まで感じたことのない悪寒が老人を襲う。




──なんじゃこの禍々しい狂気は……いったい何が来た!?




老人が振り返ると、そこには一人の女がいた。



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