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ウサギのボクがやってみた  作者: のらねこ
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第一章 出会い

しかしなんだねえ・・・ウサギってのは暇だねぇ・・・。

草むらで横たわってふと思う。先ほどまでの騒動もなんのその、打って変わってのんびりと湖畔の木陰で過ごしていた。

自分がウサギだから普通の人間が巨人に見えたのかぁ・・・ウサギってちっさいもんなぁ。

先程の事を思い出し、冷静に分析する。

でもウサギって愛らしいし、人間にとっては特に害はないだろうからペットとして余生を過ごすのも悪くないよなぁ。・・・なんて、上手い話があるわけないか。

これからの人生設計を立てるほどの暇。楽をして生きようという堕落。まず、自分がウサギであることの自覚してからの愛らしいという発想・・・こんなことでいいのだろうか?

野良ウサギとして生きていくなら、野生動物には気を付けないといかんなぁ・・・まずはキツネだろ。イタチにも気を付けないといけないし、クマはどうなんだろうか?ハチミツ食ってるイメージは某アニメの影響なのだろうか?共生できなくもないよな。あとは、ヘビか・・・生きてるのに丸呑みとかは勘弁してほしい所だ。

ペットとして暮らすことはあきらめたのか、野良としての生き方を考える。

まずは何よりもどうやって暮らしていくかだよなぁ・・・食料はその辺に生えてるからいいとして問題は・・・家の問題だよなぁ。ウサギってどうやって生活してるんだろう?んー??たしか、穴を掘ってそこに住むって感じだった気がするなぁ。

自分の記憶の中でのウサギの生態について思い出す。

と、そこへ大きな鳥がやって来た。

「ヘイ!ウサギ‼お前逃げなくていいのかよ?」

大きな羽をバタつかせて着地した鳥はそういって睨みをきかせる。

ゴロンとしていたウサギは、驚くそぶりもなく相変わらずゴロゴロしている。

「ん~?君がボクに何かしようっていうの?」

のほほんと言う。

「お前なかなか肝が据わってるじゃないか?俺様を見ても逃げないなんて、クレイジーなウサギだぜ‼」

大きな鳥は威厳を見せるように、且つファンキーな口調で答えた。

「たいていの小動物は俺の姿が見えると、隠れるか巣に逃げ帰っちまうんだが・・・お前は違うようだな。聞きたいんだが・・・お前、俺のことが怖くないのか?」

不思議そうに首を傾げ言う。

「ん?なんで?ただの鳥でしょ・・・?」

涼しい日陰が気持ちが良くてほんわかしてしまう。余程眠たいのか欠伸まで出る始末だ。

「鳥って・・・食べられるとか思わないのか?俺が言うのもなんだが一応猛禽の類なんだが・・・」

あまりの堂々とした態度に大きな鳥はほんのり汗を垂らす。

ほわほわしていたところでの来客、とっさに反応できなかった。ハッとした時にはもう遅い・・・大きな鳥はすぐ目の前にいた。おそらくは鷹だろうか?

「えっ⁉あの、その・・・」

それが、思わず出た言葉だった・・・なんというか間抜けにもほどがある。

これからのことを考えていたにも関わらず、暖かくて気持ちがいいというだけでうっかりしてしまっていた・・・そうだ・・・鳥も敵対するものとして見逃していた。なんという不覚・・・。確かに猛禽類の事を忘れていたが、鷹は賢い動物のはずだ・・・なんとか回避できないだろうか?

オドオドとしだすウサギに鷹は言った。

「ん?どうしたんだよ?急に人が変わったようにソワソワしだして?」

「なんだよ!ボクの事食べようって気か⁉」

精一杯の虚勢を張るが、内心はビクビクしているのが目に見えてわかる。

「いやぁ・・・飯はさっき喰ったから大丈夫なんだが、お前さんがあまりにも無防備だったんでな。ちょいとばかり注意してやろうと思ったんだよ。まっ!ちょっとした親切心ってやつだよ。」

ニヤリとして翼を広げる・・・満足げに語る鷹はなんだか思っていたほど怖くはない。

「ありがとう・・・親切な鷹さん、お名前は?」

「なんだよ!お前さん。名前を聞くときは自分から名乗るもんだろうが‼」

突然キレられて、一瞬びくっとなる・・・江戸っ子か‼と、ツッコミたかったがやめておこう。しかし・・・親切なのか、怖いのかハッキリしてほしいものだ。まあ、・・・喰われなかっただけマシだけど・・・。

「ボクは祥吾。あの・・・鷹さんは?」

素直に従うと鷹は答えた。

「なんでえ!珍しい名前だな?まあいいか、俺はギルバートだ。ショウゴってのはゴロが悪いなあ・・・よし!今日からお前はショウだ‼」

勝手に決められた・・・まあ、昔からあだ名で呼ばれてたし。そのまま続けて言う。

「よし!決めた‼ショウ、俺とお前は今日からダチだ!わかったな⁉」

何が、よし!だ・・・勝手に決めやがって・・・内心そう思うが逆らえない・・・悲しいウサギの性だな。

「あの、ダチって・・・?」

恐る恐る聞くと、ギルバートは答えた。

「お前さん、強気なのはいいが・・・如何せん無防備すぎる。それが俺っちの中のショウのイメージだ。だから俺はショウを喰わない、そして出来る限り俺の目の届く範囲でだがショウを守ってやる。その代わりだ・・・ショウは俺と時々話をしてくれりゃあいい。」

唐突な提案にビックリする。まさかのボディーガードが付いてくれるとは。しかもだ・・・話をするだけで空からスピードのある鷹が助けに来てくれるのだ・・・願ってもない申し出だ。なんだコイツもしかしてただの寂しがりじゃないのか・・・?

「それは願ってもないことだけど・・・いいの?」

不思議そうな顔で首を傾げる。

「そんな水臭えことは言いっこ無しだぜ!」

翼を鼻にこすりつけると、『ケッ』と言い放つ。まあ、ダチになりたいというのだから無理に断る事もないだろうし、話をするだけで優秀なボディーガードが手に入るのだ・・・これは願ってもない話だ。

「じゃあ、お願いするよギルバート!僕の安全は君の手にかかってるってことで。」

ウサギとしては強力な協力者が必要だったのも事実だし・・・乗っかっておくか。

「うれしいこと言ってくれるじゃねえか。よし腕には自信があるんだ!任せておけ!!」

腕っていうか、お前腕ないけどな・・・翼だし・・・。心の中でコッソリ突っ込みを入れる。

まあ、そんな冗談は程々にしておいて話を続ける。

「ありがとう!これで安心して昼寝が出来るよ♪」

素直にそう言っておく。

「昼寝ばっかりしてねえでなんかすることねえのかい?こう・・・狩りをするとかよ?」

「狩りかあ・・・僕の種族は狩りをしないんだよ。どっちかというと狩られる側なんだよね・・・あー、怖い。」

心の底から思う今までは食べる側だったけど・・・今度は捕食される側なのだ。これ以上の恐怖はないだろう。

「そうかあ、まっ!俺がついてるんだ。安心して暮らしな‼」

胸をドンっとし、フンっと息を吐く。

「ところでショウ・・・お前さん、棲み処はどこにあるんだ?」

困ったことを聞かれてしまった・・・。どうしよう。

「・・・うーん、実は僕行くところがないんだ・・・。」

正直に話すとギルバートは言った。すると、

「この辺りでウサギの集落っていや・・・人間の住んでるところの近くにあったような。んー、森の中になら何ヵ所もあるはずだぜ?」

迷いながらもギルバートはとてもいい情報をくれた。これは、ありがたい。

「森の中か・・・さっき実は人間に遭遇して怖い想いをしたんだよね。出来れば森の中よりは、人間の住んでいる所の近くがいいな。さっきの恨みを晴らしてやるんだ。」

『特に何もすることがないんだ・・・だったらさっきの人間かどうかは分からないけど驚かしてやる。怖い想いをさせてくれたことを、後悔させてやる‼』

そう心の中で決意した。

「さて、じゃあギルバート‼早速だけどお願いがあるんだ。空からボクの仲間が居るところを探して欲しいんだ!」

そう言ってギルバートを見る。と、

「俺様に指図するんじゃねえ‼」

・・・・・・怒られた。ホワイ?なぜ??聞き間違いかもしれない。もう一度・・・。

「ギルバート?おね・・・」

「俺様に指図するんじゃねえ‼」

今度は食い気味に怒ってきた・・・ここまでくるといい加減笑えてくる。

「ボクの仲間どこに居るんだろう・・・?近くで居ないかなぁ・・・」

遠回しに言ってみると、ギルバートは言った。

「ん?そんなら俺がひとっ飛びして探してやるか。」

そう言って翼を羽ばたかせる・・・お願いは聞いてくれないのに、遠回しに言うと探してくれるのな。面倒なやつだな・・・うんうん。

「じゃあ、ちょっくら飛んで見てくるからその辺で大人しくしとくんだぜぃ。」

ブワっと体が浮き上がると、ギルバートは華麗に飛んで見せた。

思わず感動し「うわぁ・・・」と声が湧き出てきた・・・いいなぁ。ボクもこんな風に空を飛べるようになりたいなぁ。と、心の底から思ったのだ・・・。

近くの木にとまってみたり、空を旋回して辺りを確認している。あんなに高くまで飛べるんだなと感心してしまう。

空を自由に飛びたいな~・・・そんな歌あったなぁ。

そんなアホみたいな事を考えている間にもギルバートは捜索を続けてくれている。

しばらくしてギルバートがフワっと降りてきた。

「ショウ、お前さんの仲間見つけたぜ!この湖のほとりにある民家の近くに大きな木がある・・・見えるか?あそこにあるやつだ。」

と、翼を広げて教えてくれる。

言われた方をまじまじと見つめると確かに木があるような・・・。

「あそこには人間が住んでいるおかげで大体の動物は近づいたりしねえ。余程の事がない限り危険な目に遭う事は少ないだろうぜ。」

的確に指摘するギルバート。

「なるほど!危険な動物は少ないのか。それは魅力的だ!ヘビなんかは床下に居るかもしれないけど・・・キツネやテンなんかは近づきにくいのかもね?でも、人間は危険じゃないの?」

素朴な疑問にギルバートは言う。

「まあ、だいたいの人間は俺たちみたいな鳥と違って、お前らウサギが悪さをしなけりゃ可愛がってくれるもんだ。」

そういって遠くを見つめる。その目はなんだか悲しげだった。もしかしたら過去に何かあったのだろうか?

鳥だもんな・・・猟銃なんかで撃たれたり恐い思いでもしたのだろうか?

「何かあったの?」

恐る恐る聞くと、ギルバートは語る。

「まあ・・・なんだ。。俺たち鳥には鳥の苦労があるってもんだ・・・そんなに気にするこっちゃねえ。」

と言い、翼で鼻を擦り上げる。

あまり深く踏み込まない方がいいんだろうな・・・。

こういう話を聞かされると、改めて人間の怖さを、罪深さを思い知らされる。世の中弱肉強食というがこれはあくまでも人間が作った言葉・・・都合のいい解釈でしかないのだ。

「僕たちウサギと鳥さんと何がそんなに違うんだろうね・・・?」

思わず口から漏れ出したその言葉にギルバートは言った。

「俺たちは自由に空を飛び回れる・・・それが羨ましいんじゃねえか?まあ、銃ってやつには気をつけなきゃだけどな。」

自由に空を飛び回れる代償が銃で狙われるという事なら、あまりにも無慈悲で残酷なことだ・・・やはりそういう苦い経験があったのか・・・と、心の中で納得する。

鳥は銃で狙われるが、僕たちウサギとて同じこと・・・いつ狙われるかなんてわからない。それが自然というものなのだろう。

「それはそうと、人間の家に近い仲間たちの棲み処はどう行ったらいいのかな?出来れば危険が少ない方法で向かいたいんだけど。」

気まずい空気を吹き飛ばすように元気よく聞いてみた。

「どうせなら俺様が見張っててやるから、茂みに隠れて行くよりも堂々と湖の周りを歩いて行けばいいじゃねえか!その方が俺様も見ていやすいしな。」

良かった、元のギルバートに戻ってくれたようだ。

そこからの道のりは意外にも順調にいった。最初に巨人(人間)と遭遇したり、草むらでのんびりしてたらギルバートに遭遇・・・そんな出来事ばかりでは心臓がもたない。

ギルバートが先行して湖の側を飛んで回って、安全確認をしながらゆっくりと進むその繰り返しで僕はついに仲間の棲み処の近くまで辿り着いたのである。



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