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96話 ボスコ砦6

96話 ボスコ砦6


騎獣をして北に移動していくと、森の奥に行くにつれて、シルバーエイプやアウルベアとか強めのモンスターが出てくるようになってきたけど、今は移動が最優先だから、その場にある植物を操作して戦闘を避けていく。

場所が森だから、属性魔法が樹の私にとっては有利な場所なんだよ。


暫く走ると森の空気?というか元気かな?がなくなっていってる気がする。



突如大きな空間に出る。

中央には大きな柱があり、その周りはゴツゴツした茶色の足場になっている。

森の中とは思えないぐらい明るく、上を見上げると空が見え、ヒビが入ったような光景が見える。


「アムル様っ!!!」

エルフの方が叫んだ!


ここが枯れた森の場所?アムル様って誰?というか、どこ?


エルフの方が地面に降り立ち柱の所まで駆け寄る。


すると柱にうっすらと老人の顔が浮かびあがった。その顔は疲れ果て、ゆっくりと時間が過ぎるのを待っている様だった。


「アムル様どうされましたかっ!こんなお姿になられて!」


柱だと思っていたモノは大木で、ゴツゴツした地面は根、空のビビは葉の落ちた枝だった。


「アムル様って樹だったんだ。」


「それね。わたしてっきり人だと思ってたじゃん。」


エルフの方に見習って地面に降りて、歩いて近づいていく。



「オオオ。ソノスガタ キシダンカ。」


「そうです!私は騎士団でありエルフの子です。」


「オオオ。エルフノタミ。」


「アムル様、、、どうしてこんなお姿に、、、それにお話の仕方も、、、」


「カワキノマジョ ザリチュ ノ ヴヴヴ、、、」

苦しそうな声を出し、出ていた顔が消えていき、枝を大きく動かしだす。

水分が少なくなって脆くなった枝が動きに耐えきれず折れて落ちてくる。


「アムル様!アムル様!!お気を確かに!!」

エルフの方がなんとか落ち着かせようと声をかけるけど、アムル様には届かなく、苦しそうにしている。

渇きって言ってたよね。


アムル様の幹に手を置き、植物を操作する要領で水分を与えて、ヴィゾーちゃんが隣で光魔法で回復させてくれている。

すると苦しんでいたアムル様が落ち着きを取り戻していった。


消えていた顔が再び現れてこちらを見てくる。

「ありがトう。。。君は、、、誰だ?」

さっきより言葉が滑らかになっている。


「はじめましてアムル様ファムといいます。」

「はじめましてアムル様メティスといいます。」


「アア、こんにちワ。ワタシはアムルだ。君達の言い方だとエルダートレントになる。」

トレントは樹のモンスターでそれが知性を持つとエルダートレントになり、人と対話をする事もできるようになる。

人と敵対するか友好的になるかは、その樹の性格によるらしくて、アムル様は友好的な樹みたい。

「今ワタシを回復してくれたのはメティスの方かな?それと、、、そこの変わったヴェデルだネ。」


「あ、はい。私が樹魔法で水分を与えて、この子が光魔法で癒しました。

そして、隣にいるファムちゃんの従魔がアムル様の異変を教えてくれました。」


「そウか。ありがトう。お陰で少し苦しみが和らいだ。。。優しくテ懐かしい魔力だな。」


「アムル様、どうしてこんな事になってしまわれたのでしょうか?」

エルフの方が焦るように話しかける


「ムゥ、、、大昔に戦っタ、渇きの魔女ザリチュの呪いだ。呪いの所為で常に渇きノ苦しみがあった。今までは魔力でなんトカ抑えていたが、年齢の所為で抵抗デキなくなって、更に最近は強い魔力にアてられテついには、コうなってシマったんだ。」


「それじゃぁ、、、魔力をなんとかすれば戻るのでしょうか?」


「いヤ、若けれバ或いは、、、モウ歳をとり過ぎたから戻らンだろう。。。ここデ朽ちて、また次の者ノ糧となろウ。」


「そんな、、、」

エルフの方が力無く膝から崩れていき、茫然として地面を見つめている。


「悲しむでない。命アルものはいつかは尽きル。」優しく、寂しく呟いた。

「そこの二人も力をワケてくれたのに、スマないね。」そう言いながら長いツルを使って頬を撫でてくれた。


「いえ、大丈夫ですよ。アムル様に一時の平穏が訪れた事が幸いです。」

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