88話 アウレ連邦19
88話 アウレ連邦19
「んまぁラヴァルさんが選んだ武器だから、仕方がないんだが、、、」
「ぃんや、でもナダンバは女だし、純粋なドワーフ族じゃ、、、それにあいつの弟子じゃなかったか?」
表彰している横でドワーフ族の議員達が話し合っている。
女だとか、ドワーフ族じゃないだとか、、、
なんか、嫌な話ししかしていない。
ちょっと文句を言ってこようかな?!
いや、ダメだダメだ。
この前トルベールさんに止められたんだった。
我慢我慢
ふと、前を見ると賞状を受けとっていた時は堂々としていた、バンダナのお姉さんの顔がどんどん悲しそうになっていってる。
もーーー!我慢できないっ!!
議員さん達に言ってやる!!
議員さんの方に向かっていこうとしたら、スッとトルベールさんが現れてインタビューし出した。
「ナダンバさん、審査員特別賞おめでとうございます。今はどこかの工房にお勤めで?!」
「あ、、、いえ、一応、ゴルディ工房ですけど、もぅ半分くらいフリーですー。」
あれ?ゴルディ?トビマルじゃないの?
「なるほど、どのくらい修行しているんでしょうか?」
「私はまだ専門学校を卒業して二年ちょっとでー、、、今回はお師匠さんが、基礎は教えたから後は実践だからー、出場しなさい!と言っていただいたのでー、、、」
「素晴らしい!!だいぶ自由な工房なんですね。」
「はいー、自由な分色々考えないといけないので、大変ですけどー、、、」
「普通は鍛冶の修行に八年と言われていますが、そこはどうやって短縮したんですか?」
「全て理論づくめで教えていただけるのでー、見て覚えるより習って覚えろという事なのでー、、、」
「成程!素晴らしい!!
ナダンバさんはいつか工房を持ちたいのですか?」
「もち、、、たいですけど、、、」
「どうしましたか?」
「もちたいですけど、ウラルで工房を持てるのはドワーフ族だけなんですー。。。」
「おや?そうなんですか?議長?」
「そんいう決まりはないが、鍛冶はドワーフ族が一番なんじゃ。だから、ウラルじゃ工房主がドワーフになってしまうんじゃ。
んまぁ例外として前の工房主が譲るって事があれば別だけど、んまぁ普通はないな。」
「なるほど!そういう事だったんですね!
確かにドワーフ族の鍛冶技術は素晴らしいですからね!限られた土地で工房を持つなら、ドワーフ族で品質を守りたい!っという事でしょうか?」
「んむ、そん言うことじゃ。」
「なるほど!そうですか!
しかし、コレ程の才能を埋もれさせるのは勿体無いですね。。。
そうだ!!
副賞として、この度設立するマルゴ商店のアウレ連邦ウラル店の鍛冶工房長をしませんか?」
白々しくオーバーに言い出すトルベールさん。
絶対計画していたでしょ。
「え?!」
困惑して返答に困っているバンダナさん。あ、ナダンバさん。
「悪い話ではないと思いますよ?!」
「ちょっと待てトルベールさんよ。
流石にそれは容認できんだ。」
議長さんが慌てて話を遮ってきた。
「おや?どうしてですか?」
「こやつh」
「ナダンバさんですね。」
ニコッとしてるけど、ちょっと怖い、、、
「ん、、、ナダンバはまだ鍛冶を始めて二年そこらじゃ。まだまだ一人前じゃない!まだ早い!!」
「おや?!でもお師匠さんから許可は出てるんですよね?!それなら問題ないのでは?」
「それは、、、そうだが、、、
それにそいつはドワーフじゃなk」
「それに我々マルゴ商店の工房なので、工房主は我々で決める権利はありますよ!」
少し語気を強めて言い放つトルベールさん。
会場が少し不穏な空気になっていく、、、
ダメだよトルベールさん、、、どうするの?トルベールさん。。。
「とまぁ。確かに我々も彼女一人に任せるには、少し負担が多いかなと思います。
なので、彼を顧問にしようと思います。」
そう言うとトルベールさんが入口の方を見る。
入口の方から髭の白いドワーフ族の人が歩いてきて、議長の前まで来た。
「どんしたんですか?ゴルディ元議長!」
ゴルディと呼ばれた人がトルベールさんを見て、顎でクイッとして合図をしている。
「議長さん。ゴルディさんがマルゴ商店の工房の顧問を引き受けてくれるんですよ。」
「!!!
そんなんですか?ゴルディ元議長?!」
「ぁぁ。そうだ。そしてワシはもぅ議員じゃねぇんだ。元もなにもつけなくていい。」
「あ、はい。
んでも、ゴルディさんの工房はどんするんですか???」
「ぁぁ、それならトビマルに譲る。」
「え?!でもあいつはドワーフ族ではなくて、、、」
「チッ!まだそんな事言ってんのか!?
、、、
はぁ。
確かドワーフの鍛冶技術を守りたいとかなんかだったな、、、
なぁ、最近のゴルディ工房の武器はどんな評価だ?」
「ゴルディ工房の武器はここ数年、いんや、十数年どんどん品質とデザインの美しさが高まっていて、間違いなくアウレ連邦を代表する工房でんす。」
「それは忖度なしで、本音か?」
「はい。これからの活躍をみんな望んでます。
だから、譲るなんて言わんで下さい。」
「、、、、はぁ、、、
二十年だ。」
「二十年ですか?」
「ワシはここ二十年鍛冶をしても、作品を世に出しとらん。
作っているのは全部トビマルじゃ。
だから、お前さんが言った評価は全部トビマルへの評価なんじゃ。」
「え?!!そんな!!
あの鍛冶はドワーフ族の、、、」
「トビマルはワシの鍛冶を分析して、感覚ではなく理論的に人に教えれるようにしたんじゃ。
それを伝えたのが、ナダンバじゃ。
鍛冶の上手さもあるし、教え方も上手い。
トビマルが二年で教え込めるといえば、二年で教え込めるんじゃ。
ワシはトビマルを信じるし、その愛弟子のナダンバも信じるし評価しておる。」
「、、、」
「ワシらはドワーフ族じゃ。
鍛冶はドワーフ族が一番と思っていたが、そうとも言い切れん。なんせワシらはドワーフ族にしかチャンスを与えていなかったからな。
実際、鬼人族のトビマルはワシを超える鍛冶師だ。
ナダンバはドワーフ族と猫人族の混血人であるが、使用者の武器の消耗具合や演武を見て、柔軟に武器の形状を変えるデザイン力がある。
今回他のドワーフ族にはなかったんじゃないか?
そういう事じゃ。」
「大師匠ー、、、」
「ナダンバ。二年の修行では基礎ができても、まだまだ甘い所はある。それは基礎知識はあるけど、技術に時間がかかってしまう事や、特殊なケースの対応じゃな。特にオーダーの場合とかのな。
ワシはその時のアドバイザーじゃ!
何かアレばワシが手伝ってやる!
どうじゃ?マルゴ商店の工房長やってみんか?」
「、、、、はい。」
少しの沈黙の後に、不安と喜び色んな感情が溢れ、震えながら涙を流しながらもしっかり答えた二文字には決意を感じれた気がした。
「あと、二階の奥にいるお前さん達!
工房で待ってるぞ!!
なんせ二人じゃちと広すぎる。チャンスが欲しければ来い。」
ゥワァァァァ!!!!
今日一番の歓声がなった。
 




