85話 アウレ連邦16
85話 アウレ連邦16
ハーピークイーンを討伐した後、数日コーゴ鉱山に留まってハーピー達の襲撃に備えていたけど、五日経っても現れる事はなかった。
戦闘後に調べたら、最後の決戦前に既に片翼の損傷、肋骨を骨折していて、それが肺に刺さっていたみたいだった。
負ける事が分かっていたから、自分の死亡で今回の戦いに幕を引くのを選んだのかもしれない。
クエストは一応成功という形になりウラルに戻ってきた。
報酬金は無事満額貰えた上にハーピークイーンの特別クエストのお金も貰えた。ハーピーの素材も売却できたから、結構稼げたよ。
ハーピークイーンの素材については、今回のクエスト成功の立役者と、ソロでの討伐ということもあって、みんなが譲ってくれたんだ。
とりあえず解体してもらって、使い道はまた今度考える事にしようかな?!
討伐隊は今日で解散なので、冒険者ギルドでちょっと宴会をしてお別れしたよ。
〜ルラー到着十一日目〜
宿屋の食堂に行くとトルベールさんと同席になった。
「おはようございますトルベールさん。」
「おはようございますラヴァルさん。
大分ご活躍されたようで。」
「え?!」
「コーゴ鉱山に巣食うハーピークイーンが倒されたそうで。
彼女は慎重派で、状況が不利になると退散していくうえに棲家が見つからないので、長年困っていたそうですよ。」
「そうなんですね。
けど、ハーピー達を全滅はさせれませんでした。」
「それは問題ないんじゃないですか?
ハーピーが完全にいなくなれば、また別のハーピーが来るだけです。
それにハーピーを完全にコーゴ鉱山からいなくすると、生態系が崩れますしね。」
「えーじゃぁ私は何の為に頑張ってたんだろ、、、何も解決できてない、、、単なる一時しのぎだよ。」
「確かにそうですね。。。
ラヴァルさんは根本的な問題はなんだと思いますか?」
「素手で鉱石を触って怪我をして、血の匂いでハーピーが集まってきている事かな?」
「それは事が起こる直前の事象ですね。
もっと深く考えると?」
「鉱石の値段ですか?手袋を支給できるぐらいの買取価格にするとか?」
「それも一つですね。
他には職人至上主義、人種区別、農作物の自給率の低さとかです。」
「ん?もぅちょっと詳しく教えてもらえませんか?」
「いいですよ。
職人至上主義は、職人の考えが一番尊重されているし、国のトップがずっと変わらず職人というのがその要因ですね。
人種区別は、人種によって多少なりの得手不得手があるにしろ、職業補正による能力を無視して、ドワーフ族はこうあるべき!猫人族はこうあるべき!と考えて職業の選択肢を狭めてしまっている。
それにつられて、農作物の自給率が低いので、どうしても外貨を得るには、鉱石や武防具になってしまう。」
「延々とそのループなんですね。」
「そうなんです。
「じゃぁみんなが好きな仕事に就けるようにしたらいいんですか?」
「そうすればゆっくりとですが、色々と改善されていくでしょうね。
ただ、いきなり明日から仕事はなんでも自由に選べますよ!って言われても、そんな事を考えてきてなかったので、悩んだ挙句ほとんどの人は今と同じ選択肢を選ぶと思います。
まずは知識を得る事です。。。」
「となると、議会や議長の考えを変え無いといけないのか、、、国が絡んでくる。。。大変。」
「そうなんです。
なので、今回ラヴァルさんがハーピーの討伐をした事は一時凌ぎかもしれませんが、負の連鎖を途中で止めたんですよ。
人により組織により、止めれるタイミングは変わってきます。
何かをしたければ、声を出すしかなく、声を出すなら影響力を高めた方がいいんです。」
「そうなんだ。。。」
私に出来ることってなんだろう?
樹魔法で農地を作る?いや、そんな魔力ある?というか、それなら土魔法も使え無いとだよね。
じゃぁ学校?いや、学校はもぅあるよ。
んー議長さんに私の考えを話す?
「ラヴァルさん、焦ってはダメです。
国に関わる事ですし、貴方は今マルゴ商店の依頼でここにいます。
その依頼をきちんとこなして下さいね。」
「あ、はい。」
あぶないあぶない。
暴走しちゃう所だったよ。




