79話 アウレレタッチ10
79話 アウレ連邦10
「やっほー昨日ぶりー」
声をかけてきたのは、昨日ナイフを買った露店のお姉さん。今日もバンダナを巻いている。好きなんだね、バンダナ。
「あー昨日ぶりですね。見に来てくれたんですね!嬉しいです。」
「そりゃもちろん見に来ますよー。
片手斧の事も気になるけど、折角お知り合いになれたんだから、演武もしっかり見たいじゃないですかー。
あ!この方がわたしの師匠さんです。」
「おおきにっ!トビマルです。」
変わった挨拶をしてきたのは身長二メートル程で、作務衣を着ていて、細身だけど服からチラッと見える筋肉はしまっている。
更に特徴的なのは額から二本のツノが生えている。
鬼人族の男性だ。
鬼人族はドワーフ族と同じぐらい鍛冶技術の高い種族で、特に片刃の剣を好んで打ち、好んで使うらしい。
「あ、こんにちは。ラヴァルです。」
「ん?ラヴァル??
ラヴァル、、、
ラヴァル、、、、」
「どうしたんですか?」
「昔一緒に鍛冶をしとった人がそんな苗字やった気がしたんやけど、忘れてもうたわ。」
「そうなんですね。
ちなみに私の父も鍛冶を齧ってるみたいですけど。」
「ホンマか?!ほな、その人かもな!!」
「そうかもしれませんねー」
というか、そんな気がするよー
「んまぁええわ。
ほな、俺は退散するから、ラヴァルさんからよー話聞いときやー!!」
「はい、わかりました。
お疲れ様でした。」
「ほなの!ラヴァルさんも!」
「あ、はい。さようなら。」
返事を背中で聞きながら去っていった。。。
「なんか、、、一気に現れて去っていった感じだ、、、」
「すみません。豪快というかなんというか。。。
というか、演武凄かったですね!迫力ありましたよー。
斧っていうから、振り回すのがメインなのかなー?って思ってたけど、思っていたより体術が多いんですねー。」
「ありがとうございます。
そうなんですよ。武道と短剣と片手斧の戦い方を混ぜた感じなんですよ。
片手斧がメインではあるけど、攻撃の中の一つの手段なんですよ。」
「そうなんですかー。
じゃぁ足や手にも攻撃できる何かあった方がいいんじゃないんですか?」
「うーん。一応左手には雷魔法の魔道具つけるんだけど、足は確かにつけてないですね。
ガード用にアルマジロドラゴンの防具はつけてますけど、、、」
「なるほどー防具としてかぁー確かにそれも大切ですもんねー。
あと昨日武器を見て気になって、今日の演武を見て確信したんですけど、突を多用するなら今の形から少し変えた方がいいんじゃないですかー?」
「確かに突をよくするけど、形状が突しにくいんですよ。よく気付きましたね!」
「そこの部分の刃が特に傷んでましたんでー。」
「そうですか?」
「はい、微妙に痛みに偏りがありますよー。
後は何か武器で気になる点があれば教えて欲しいですー。」
「うーん、、、
気になるとはまた違うのかもしれないですけど、戦闘をしていたらどうしてもモンスターの血で柄が滑りやすくなったり、長旅をしているとメンテナンスが甘くなって切れ味が落ちたり錆びたりっていうのが、、、
後は今の素材的に難しいんですけど、できるなら、刃から魔法が出るように魔力が伝わりやすい素材が安くあればいいのになーって。。。
贅沢ですよね。」
「いえ、大丈夫ですよー。
そういう生の声が聞きたかったんでー。
ちなみにアダマンタイトとかオリハルコンとかの高級素材ではなくて、もっと現実的な値段のやつって事ですよねー?!」
「はい、もちろんです。」
「わかりましたー。
魔法の部分も含めて色々やってみますねー。
では、またねー。」
「あ!はい。またね。」
その後も他の鍛冶職人からの質問は続き、朝にギルドについたのに、ギルドを出る頃にはは夕方になっていたよ。
今日のお仕事はこれで終了。
今後のスケジュールとしては、二週間後に開催される片手斧マァリッシュのデザインコンペの審査員をする事になっている。
 




