65話 雪のインビシ6
65話 雪のインビシ6
三日目は魔法使いちゃんと森で雪のインビシ狩。
昨日は自分が囮になったけど、今日は違うんだよね。
昨日ファムちゃんと一緒に用意した仕掛けがあって、
まずはホーンラビットの死骸をおいて、その近くの草むらにフォレストウルフの尻尾を隠しておき、魔法で動かせばチラチラっと見える様に設置したの。
上から見れば、フォレストウルフが獲物を狙っているように見えるはず。
雪のインビシとしては、前日あった餌の場所に来てみたら、
「あらっ?!フォレストウルフがいるじゃない?!しかも狩に夢中でこっちに気付いてない!ラッキー」
って感じになるはず。
ちなみに動く尻尾は父さんに作ってもらって、軽く魔力を送ると暫く動いてくれる。
ありがとう父さん。
そしてゴメン。
こんな物を父さんに作らせて。。。
「ここにいるのぉ〜?」
「わかんない。けど、罠を張ったのは四箇所だから、どこかにいればいいかなー。」
魔力を尻尾に送り込み、草むらから尻尾がチラッチラッと動いているのを確認して、二手に分かれて隠れる。
しばらく待ってたけど、何の気配もないから、オクトレグ(カラマリツル×アイビー ひっつき絡み草)を尻尾の近くに展開して、移動。
その次に訪れた場所も同じ展開になって、三つ目の仕掛けでようやく雪のインビシがかかった。
草むらからチラチラ見えるフォレストウルフの尻尾に音もなく何かが攻撃をする。
尻尾部分しかないから、攻撃された尻尾はスっとどっかへ飛んでいっちゃった。
急いで用意していたペイント球を投げつけて目印をつけると、魔法使いちゃんが雪を固まらせて、インビシが動けないようにしてくれた。
危険を感じたインビシが雷魔法を唱えるのに合わせて、投げナイフを投げようとすると、目の前に高さ二メートルぐらいの土壁ができて、雷を防いでくれた。
土壁が崩れてインビシの姿が見え、身体強化を使い一気に距離を詰める。
ドゥン!
音と共にインビシを固定していた足元が壊され、カウンター気味に足での横薙ぎ攻撃を受けてしまった。
咄嗟に体を捻って衝撃を逃すようにしたけど、それでも数メートルは吹き飛ばされた。
防具のおかげで切傷がないけど、衝撃のダメージが少しあるかな?!
顔を上げるとインビシが迫ってきている。
爪を立てた振り下ろしの一撃を、前に転がるように避ける。
顔の下に潜り込んだけど、体勢が悪い。
インビシが口を開け噛みついてくる。
腕でガードするようにして首を守る。
ドォン!!
衝撃音がなり空気が大きく動いて、インビシの体よろめいた。
「大丈夫ぅ〜?」
「あ、ありがとぅ。」
立ち上がり構えながら答える。
インビシの方はさっきの衝撃で更に警戒を高めて、こっちを睨みつけている。




