54話 夏休み5 アカツキの迷宮
54話 夏休み5 アカツキの迷宮
王都から騎獣に乗って一時間。
切り立った山にポッカリと開いた洞窟が、今回挑戦するダンジョン[アカツキの迷宮]の入り口になっている。
その入り口には監視の衛兵が立っていて、迷宮に出入りする人のチェックをしている。
入り口付近はポーションや地図等の冒険用アイテムを売っている店、宿屋やご飯屋とか色んなお店がある。
人気のダンジョンになると、ダンジョンを中心にちょっとした街になっているんだって。
ダンジョンは、簡単に言うとよく分からない地下。
・モンスターはいっぱい出てくるし、リポップする。リポップ時は成体で出てくる。
・モンスターを倒したら三十分くらいで解体しないと、ダンジョンに吸収されるように消える。
・下の階層に行けば行く程モンスターが強くなる。
・途中、五階層刻みでフロアボスと呼ばれる強めのモンスターがいる。これもリポップする。
・フロアボスを倒すと、次回以降入り口付近からそこに転移できる。
・宝箱が出てくる。
・数階層毎に草原だったり森だったり鉱石地帯だったり雰囲気がガラッと変わるダンジョンもある。
・壁や地面を破壊してもすぐ元に戻る。というか、破壊できない。
・ダンジョンの最下層にはダンジョンボスがいる。
・最下層まで辿り着けていないダンジョンもある。
・まだわからない事がたくさんある。
本当によくわからない地下。
モンスターを生み出している迷宮核がある説、放っておくとモンスターが溢れ出すスタンピートが起こる説、魔力溜まりや瘴気溜まりになっている説、はたまた古代人のロストテクノロジー説。
色々あるけど、分からないものは分からない。
ただ、武防具や生活に欠かせない魔道具等の素材だったり、魔核が取れるから、とりあえず利用している感じ。
案外解明した所で何も変わらないかもしれない。
ダンジョンに入る時にはギルドランクと人数による入場制限があって、例えば
・パーティー合計十以上最低ランク三
・パーティー合計十以上最低ランクニ、最小人数三人以上
ていう風になっている。
入場制限を作る事によって、無理なダンジョンアタックを防止する事ができる。
今回入る[アカツキの迷宮]はパーティーのギルドランク合計四以上最低ランク一 人数制限なし
ギルドカードを提示してダンジョンに入っていく。
「よし、じゃぁ五階層まで潜ろうか。」
「はーい。」
「目標は五階層のフロアボスだ。ルートは渡している地図を参考に進んでいけばいい。出てくるモンスターは全部メティスが倒しなさい。解体は父さんがやっておくぞ。」
「うん、わかった。」
「それと、攻撃方法は任せるが、コレがマァリッシュの訓練だというのは忘れてはいけない。もちろん、最優先は自分の命だからな。」
「うん。がんばるね。」
一階層は幅の広い洞窟になっていて、地面はわりと平らで、壁と天井が自然と発光していて日中の室内ぐらいの明るさはある。天井までは三〜四メートルぐらいあって槍は振れるけど、鞭はちょっと微妙な感じかな?あまり鞭で暴れると、周りで戦っているパーティーの邪魔になっちゃいそう。
いや、実際大丈夫なんだろうけど、、、
まぁ今回は片手斧のマァリッシュの訓練だから、鞭は封印っと。
魔法は残念ながら植物がほとんどいないから、環境的にはダメだね。種を使うって方法もあるけど、なるべく節約しよう。
地図を頼りに歩いていくと、少し離れた所にモンスターの気配がしたから、そっと近づいていく
少し開けた場所にゴブリンが五匹いる。
三匹は棍棒、二匹は槍を持っている。
こっちには気付いていない感じだね。
流石にいきなり五対一は無理があるから、どうにか数を減らさないと。。。
しばらく待っていると五匹が一旦バラけて、槍と棍棒の二匹がこっちにやってきた。
マァリッシュを抜き、物陰に隠れて通り過ぎだ所を、棍棒ゴブリンの背後から喉を横に切り裂く。
驚いた表情で振り返った槍ゴブリンを首を刺す。
ドサリっ
倒れ込み、呼吸できずにもがいている。
物音で異変に気づいたゴブリン達がギャッギャッと声を上げて走ってくる。
槍を拾い上げて、身体強化を使い槍を投げつけて棍棒ゴブリン一匹を刺殺。
斜めに走り一対一の状況を作り、身体強化で走力を一瞬上げてすれ違いざまに棍棒ゴブリンの胴体に膝蹴り、よろけた所を足をかけて転がして、頭を強く踏み付ける。
槍ゴブリンが突を放ってくる
コレをサイドステップで避けて、マァリッシュで突きに行く。
避けられつつも左腕に傷を付けれた。
間合いを取りたいゴブリンに対して、体術を使い間合いを詰めていき、脇腹をさして、よろけた所を後ろに回り込み、背中を思いっきり蹴り、さっき踏み付けた棍棒ゴブリンとぶつからせる。
棍棒ゴブリンが起き上がって、攻撃しようとしてたのは、気付いていたからね。
ぶつかり、もつれ倒れたゴブリンにトドメを刺して、他のゴブリン達もトドメ確実に刺していく。




