53話 夏休み4
53話 夏休み4
家の裏庭で父さんと組手をしている。
父さんは剣、槍、格闘、双剣と色んな武器を組手毎に変えて使ってくるけど、私は鞭と魔法は封印して、マァリッシュのみで対応する事になっている。全て木製で危険性は少ない。
右構えになった父さんの槍での突きが繰り出される。
それを左に避けて、父さんの指を狙うようにマァリッシュを振るう。
それを読んでいたように、父さんがスイッチをして、足の位置手の位置を全て入れ替えて、横薙ぎに、、、を身体をくっつけて止める。
槍を持って、そのまま太腿を狙ってマァリッシュを突きつける。
が、これを力業で返され、吹き飛ばされる。
距離ができて仕切直しになる
再び距離をつめていき、槍を避けながら突き、ローキック、掌底、水平斬りと、回し肘打ちと続けて、槍の間合いより内側に入り込んでいく。
父さんが嫌がるように蹴りをして距離を取り、横薙ぎに槍を振り回す。
このタイミングで父さんの背中の見える方に走り込むように、、、
もちろん、これも読まれているから、予想通り槍を一回転させて、切り上げの攻撃がくる。
のをスピードを緩めて空振りさせて、今日はじめての全速力で走って、背後に回り込み太腿を切りつけ、膝裏に足を当てて襟首を掴み体制を崩させるようにする。
父さんの意識が背後にいったから、
・回転式の肘打ちが来たら引き倒して首を狙う。
・裏拳が来たら腕をとって、関節技。
・何もこなければそのまま背後から首を刺す。
!!!!
前に引っ張られるように身体がもっていかれる。
急いで掴んでいた襟元を離して体制を整える。
気がつけば数歩離れた所で父さんが槍を構えている。
どんな体幹してるんよ!!
「うむ。いい動きだな。」
構えを解きながら話し出した。
「ほんとに?!けど、一本取れなかったよ。」
「確かに取れなかったが、普通ならあれで充分だぞ。フェイントや緩急の付け方も見事だな。」
「へへへ〜。」
夏休みの間父さんにマァリッシュの訓練をつけてもらっていて、今まで攻めるイコール直線的に上下前後の動きしかできてなかったけど、動きの流れで左右にも展開出来るようになった。
その発想が無かったわけじゃないけど、実際戦闘となると、そこまでの余裕がなかったし、どうやればいいかよくわからなかった。
それとフェイントの引き出しも多くなったんだよ!
「ある程度マァリッシュの使い方も慣れてきただろうから、次はダンジョンに行って実践だな。」
「わっ!ダンジョン!!!どこのダンジョンに行くの?」
「アカツキの迷宮だな。
五階層までは罠はないし、モンスターも今のメティスなら対処できるはずだ。」
「あれ?あそこってランク1冒険者ソロで入れなかったよね?」
「父さんと臨時パーティー組めばいい!父さんは戦わないけどな。」
「あ、そういう事ね、、、」
「本当はもっと深く潜りたいけど、ヴィゾーちゃんの事もあるからな。」
「そうだね。寂しがっちゃ可愛そうだもんね。」
「騎獣で考えてるんだろ?それなら、しっかりと同じ時間を過ごした方がいいからな。
出発は来週で、それまでに防具の調整をしておこうか。」
「は〜い。」




