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34話 野営訓練1

34話 野営訓練1


夏になり、森の朝晩の冷込みがなくなったこのタイミングで、学校の野営訓練が始まった。

各クラスが一日ズレで出発して、全五日間の工程で行われる。コースは全部で五つあって、事前に通達されている。

各クラスには担任の先生と騎士団から二人派遣されている。

二十人に対して三人の引率は少ないと感じるかもしれないけど、生徒も戦闘訓練は受けているし、冒険者として活動している人もいるから、問題はそんなにない。

ちなみに、三人の引率は夜の警戒を考えての人数らしい。


荷物は学校で指定されたものと、コースを見て事前に自分で考えて用意したものを持っていく事が許されている。

もちろん装備も自分で用意しないといけない。

ただ、自分の武器を持っていない人は、剣と槍は学校から借りれる。もちろん故意に壊したりすると弁償しなくちゃいけない。

私はもちろんマァリッシュと鞭だよ。


いつもより少早く学校のグラウンドに集まって、忘れ物チェックをしている

「おはよーメティスちゃん。今日から野営訓練だね。緊張するね。」

って言いながらファムちゃんが新品のハルバードをチラつかせてきた。


「ファムちゃんおはよう。ねー緊張するよね。って、ハルバード買ったんだ!カッコイイね」


「昨日買ったんだ!今日持っていけなかったら、テンション下がるじゃん。」


「それは分かる!コレが終わったら夏休みだから、買うなら今しかないよね!そのハルバードでモンスター討伐よろしくね!」


「任せなさい。というか、メティスちゃんの方がよくモンスター狩ってるじゃん。」


「えへへ。でも、ファムちゃんの槍捌き見たいよ〜。」


「はいはい、機会があればね。」



訓練!と言ってもマジックバックの普及によって、野営に使う道具はマジックバックに入っているから案外身軽。

だけど、みんないつ戦闘になってもいいように武器を携帯している。


初日は王都を朝早くに出て、昼食を挟んで目的地の森に到着。

到着後は野営の準備をしていく。

テントを張り、火起こし、食糧調達、水の確保、そしてトイレ設営。

他には、

・沢の見つけ方と飲めるかどうかの判断方法。

・薬草別の生えている場所

・食べれる野草

・食用の動物の見つけ方と解体方法

・キノコは、、、見分けが難しくて良く間違えるから、やめときなさいだって。


野営地選びで、洞穴があればそこを拠点に、、、てなるかもしれないけど、洞穴があればそこを住処にしているモンスターや動物がいるし、盗賊がいる可能性だってある。

拠点にできる可能性があるとすれば、自分が屈んでしか入れない場所なら、自分より大きな生物はいないから、少しは安心だけど、毒をもった生物がいたり、中が更に小さいっていう可能性が高いから、そんな所をワザワザ探す事はない。それに足を伸ばせなかったら体が回復しないしね。

だから、見晴らしの良い場所や水源が確保しやすい場所にするのが、基本的な考えなんだって。


野営訓練と言ってはいるものの、野営地の設営、食事や夜間の見回りは二十人で回して行くけど、それぞれ好きにパーティーを組んで、モンスター討伐をしても良くて、そこで手に入れた素材はそのパーティーの物になる。



初日は森

今夜と明日の朝は調理担当だから、ファムちゃんと食糧調達に向かう事にしたよ。

一応今回は全日全員分の携帯保存食は学校から用意されているけど、肉は干し肉だから、硬くて塩っぱくて正直嫌だ。そこだけはなんとかしたいから、肉を狩ろう。

二人分ならホーンラビットでいいけど、二十人分だからホーンラビット十匹、、、いや、現実的じゃないから、狙うのはユーク。

四足歩行の角の生えたモンスター。

草食なので、森の掃除屋と呼ばれていて、森の草が伸びすぎないようにしてくれてる。繁殖をしすぎると農作地に来て農作物を食べてしまうから、たまに討伐依頼が出る事もあるんだって。


野営地から離れるように森の奥の方へ歩いていく。森の中は虫や鳥の声は聞こえるけど、ゴブリンやフォレストウルフといったモンスター系の物音は聞こえず、静かだった。

所々草が食べられてる場所があったりして、それを観察しながら進んでいく。


「全然見つからないんですけどー、どこにいるんだーユークちゃーん。」


「、、、多分だけど、草の食べ具合と沢の位置からすると、寝床はあっちだと思うよ。」


「え?!分かるのメティスちゃん?

じゃぁあっちに行こうか!」


「いや、ちょっと待って、多分今寝床にいないよ。

昼間だから、ご飯食べてるよ。」


「そうか!でも、寝床で待ってたら帰ってくるじゃん。」


「そうだけど、そうしたら夕食に間に合わないよ。解体もしないといけないんだよ?」


「そうだった。じゃぁどうしよっか?狙い変える?」


「んーとりあえずそのままで行こうかな?!場所は予想ついてるよ。」


「え!そうなの?!」


「うん。私らが集団で来たでしょ?!そうするとユーク達というか、森の動物たちはそれを察知して、気配が少ない方に逃げるの。草を食べていた場所と寝床の方向と後は斜面の角度とか、色々考えると、、、この斜面をぐるっと回った方にいるかな。

まぁ、仮にユークがいなくても、何かいるよ。多分。」


野営地から草を食べていた痕跡のある場所の方向に、少し高度を上げて進んで行く。しばらく進むと下の方にユークが二匹いるのが見えた。

周りを見渡しながら、草を食べている。

まむ

「メティスちゃん流石だね。二匹いるけど、どうする?」


「ここから追い込むと多分今来た方向と逆に逃げるから、ファムちゃんそっちにあるあの岩の裏に隠れておいて。近づいたら倒して欲しいな。」


「わかった!倒せばいいんだね、任せて。」


ファムちゃんが離れていくのを見送りながら、準備をする。

お馴染みのテッポウウリ2を用意して、ファムちゃんの合図を待つ。



プゥ〜っと

合図の草笛の音が聞こえると

ユークが顔を上げて、音の出所を探している。



よし、大きい方のユークの眉間に狙いをつけて、、、発射


ドンッッッッ


打ったと同時に飛び出していき、追いたてる。

大きいユークはドサリと地面に倒れ込み、もう一頭は音にビクついて一瞬硬直したけど、私が向かって来たのを見て、ファムちゃんが待ち伏せしている方向に逃げていった。

大きいユークにトドメをさして、マジックバックに収納して、歩いてファムちゃんの方に向かっていく。


〜〜〜〜〜


ドンッッッッ

大きな音がなってすぐ、四足歩行独特のリズムが鳴り響き、徐々に大きくなってくる。

岩から飛び出すと


うっ!!!!

思ったよりユークが近いじゃん。

急いで胴体を、狙って横薙ぎ一閃!!!!


は飛び上がって避けられた。

そのまま振り向かずに逃げ切ろうとするユークに向かって、半回転してハルバードを投げつけ、、、


ズッ!


上手くお尻にささりユークが倒れる。


急いで近づき、ユークの喉に蹴りを入れ、刺さったハルバードを抜き、トドメを刺した。


危なかったー


新しいハルバード、当たり前だけど学校のとバランスが違うから、振りがブレちゃった。

メティスちゃんにお膳立てしてもらって、逃げられちゃいましたーなんて言えないから、倒せてよかったー。

でも、ちょっと考えないとだね。

ハルバード投げたら、わたし丸腰じゃん。

サブ武器考えようかな?!

いや、そもそもハルバード投げちゃダメだよね?!

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