26話 お小遣い稼ぎ2
26話 お小遣い稼ぎ2
森は鞭が使いにくいかわりに、植物が豊富だから、攻撃の手段に不足はないけど、接近されちゃうと困るから、常に森の切れ目が見える位置で採取をしている。まぁ鞭も接近されると困るのは一緒だけどね。
早くあの斧が欲しいよ。
「これでよしっと。」
次来た時も採れるように母さんから、小さいのはとらずに、更に全体的に少しずつ残る様にしなさいって教えてもらっていて、安定して収入を得る方法は安定して採取する場所を確保する事なんだって。
採取の収穫はボチボチで止血草や魔力草を中心に採れた。
そろそろ帰ろうかなと、思っていると、森の奥からガサッガサと少し不規則な物音がした。
警戒するように低い姿勢でゆっくりと、森の出口に後退りしていく。
音の方向的に物音の主も森から出ようとしているみたい。このままだと森を出る前に見つかっちゃう。敵かどうかわからないけど、とりあえず木の陰にいき、アイビー(吸盤つる)で木の上に登って隠れる。
ジッと待っていると、現れたのは足を引きずったゴブリンが一匹。何かから逃げる様に焦っている。
タッタッタッタッタ
四足歩行独特のリズムで現れたのは、体長1.5メートル程の少し緑がかった毛色のフォレストウルフ。
普通ウルフ系だと警戒しないといけないのは、集団で狩をする習性。だけど、このフォレストウルフは普段はもう少し森の奥にいて、緑色の毛並みを活かして待ち伏せをして狩りをする魔物。普段は一頭で狩をしているけど、季節によっては、子供に狩を教える為に数匹で行動をする姿が目撃される。
珍しいな。普通フォレストウルフはホーンラビットとかの小型の生き物を狙ってたはずなのに。
ゴブリンは数匹でいる事が多いから、一頭で狩をする彼らにとって、狩の対象になりにくいのに。
いや、それでも全く狩らない訳でもないけど。
ご飯に困っているか、狩らないといけない理由があるとか。。。それよりも、状況判断。
足を怪我しているゴブリンが一匹
フォレストウルフが一匹、、、だと思う。
周辺環境は森 森の切れ目まで走って五秒かな?
私は木の上で風下
よし、いける。
逃げきれない事を悟り、ゴブリンが剣を構える。フォレストウルフがそれを見てゆっくりとゴブリンが怪我をしている方へ回っていく。
それを見ながらゴブリンの少し後ろにカラマリツルを仕掛けテッポウウリを種から成長させて、種を鋭く、発射速度をより速くイメージする。
なるべくフォレストウルフは綺麗に殺したいんだよね。毛皮が綺麗で人気があるんだ。
ゴブリンが威嚇の為に出鱈目に剣を振っているけど、動きは単調でフォレストウルフはその隙を狙っている感じだ。普通にいけば、フォレストウルフの完全勝利だけど、万が一毛皮に傷がついても嫌だから、カラマリツルを少し伸ばしてゴブリンの傷口を触る。
傷口に痛みが走ったゴブリンの動きが止まった。
その一瞬を見逃さなかったフォレストウルフがゴブリンの首に噛みつき引き倒し。首を咥えたまま、左右に振ってトドメを刺していく。
ゴブリンが息絶えたのか、フォレストウルフが左右に振らなくなった。本来ならそのまま食べ始めるはずだけど、フォレストウルフが自分の身に起こってる異変に気付く。
フォレストウルフが着地した先はカラマリツルを生やした場所、動けば動く程絡まっていく。
混乱してキョロキョロしている。
攻めていたはずだったのに、気が付いたら別の者から狙われて罠にハマっていた。
バシュ。
意識していつもより鋭く速く発射した種はフォレストウルフの口をめがけて撃ち、貫通し、後ろの木に当たった。
攻撃を受けたフォレストウルフはその場に倒れ、動かなくなった。
まだ生きてる可能性や、仲間がいるかもしれないから、暫く木の上で様子を見ることにした。
五分程待ったけど、ゴブリンもフォレストウルフも動きがないし、仲間がいる様子もない。念の為周囲を警戒しながらゴブリンの剣を拾い、ゴブリンの喉を刺して、万が一がないようにする。
続いてフォレストウルフは首元に刃物を当てながら、呼吸と心臓の動きを確認する。
「ふぅ。上手くいったけど、緊張したなぁ。ソロって大変だなぁ。みんなパーティー組む理由がわかるよ。しかも、ソロだと野営も一人、、、強くならなきゃ。それか、同じ目標がある人を探した方がいいのかな?うーん。」
フォレストウルフをマジックバックに収納して、ゴブリンの魔核を取ろうとした時に、違和感が。
ゴブリンの足には咬み傷があったけど、さっき倒したフォレストウルフの口は、ここに来た時は綺麗だった、、、という事はまだフォレストウルフが隠れている可能性がある!!
ここは森の中だから、鞭は使えないし、隙を見せると襲われる。
隙を見せてワザと襲わせて対処する方法もあるけど、何頭いるかわからないし、視界の悪い所で囲まれたら対処できなくなっちゃう。
ゴブリンの魔核は諦めよう。
ゴブリンの剣を拾い周囲の状況を確認して、森の切れ目の方に向かって歩き出す。
何かがジッとこっちを見ている気がする。いや、そんな気がするだけで、全くわからない、怖いよ。
もうすぐ森を抜ける。襲ってくるなら、そろそろなはず。ツリフネソウ(周辺に範囲攻撃する種植物)を用意して空中にフワッと投げて、走り出した。
森を抜けて木の陰に隠れた瞬間に爆発させて、フリツネソウの種を周囲に撒き散らす。種が飛び終わったら、更に走って森から10メートルぐらい離れてから振り返り、鞭を構える。
しばらくするの、さっきより大柄なフォレストウルフが現れた。
見た目には大きな怪我はなく闘志と殺意は滾らせていて、今にも襲い掛かかろうとしている。
「大きい、、、けど、やるしかないよね。」




