2話 父
2話 父
カチャ
戸が開く音がして、戸の方を向くと、細身だけど筋肉質、少し青白い顔つきだけどハツラツとした表情、黒髪癖毛の男性が立っていた。
前髪で目元が殆ど見えていないけど、優しさと凛々しさのある目つき、スッとした鼻筋とバランスのいい唇。いわゆるイケメンだ。
見た目は少し顔色の悪い希薄人だけど、ヴァンパイア系列の混血人、ヴァンピールらしい。母さんと同じく昔は冒険者だったらしいけど、現在は別の仕事をしている。
一般的にヴァンパイアやヴァンピールは太陽に当たると弱ってしまい、低級だと消滅するらしい。例外として高貴なヴァンパイアは太陽にあたっても、問題なく活動できる。
また吸血衝動については高貴なヴァンパイア程少なく、低級になるにつれ強くなるらしい。
ちなみに、父さんは太陽を浴びても今は問題無いらしい。むしろ、よく母さんの光合成という名の日光浴を一緒にしている。
吸血衝動については、太陽を克服したら治ったと言ってる。
身内ながらチートだと思う。
「あ!父さんお帰り。」
「ただいま、メティス!!今日は例の日だったな!で、第二職業は何になったんだ?錬金術師か?魔法使いかい??」
「いや、残念ながらそのどちらでもないよ。でも、戦闘職になったよ。なんだと思う?」
腕を組みながら優しい顔でジッと見てくる
「うーん、難しいなぁ。けど、その表情を見ると戦闘職だから旅に出れるから喜んでるだけではないな。ソロでも安全そうだな?」
「うん。ソロでもわりかと。あ、けど第一職業が学者の人なら、ハズレって言う人が多いかも。」
「なるほど、メティスなら上手く扱えるのか。学者は魔力量が伸びやすくて。知識への理解が深まり易いけど、防御がイマイチだからな。魔力は攻撃に使えそうかい?」
「うん。私なら上手く扱えるというより、錬金術師の父さんがいるから、戦闘の幅が効くんじゃないかな?」
「なるほど。テイマーか召喚士と思っていたが騎士かい?」
「正解だよ。騎士になったよ。体が強くなりやすいし、防御の仕方が上手くなりやすいから嬉しいよ。」
「そうかそうか、いい職業につけたな。騎士だと盾や鎧を着込むのかい?」
「えーやだよ。鎧って動きにくいじゃん。」
「それだと騎士の特性活かしきれないんじゃないかい?」
「そこはほら、父さんの錬金術でなんとかできないかな?」
「うむ、まぁなんとかできてしまうな。父さん天才だからな。ただな、、、」
「ただ、素材は自分で確保しなさい!でしょ?」
「うむ、そうだな。ちゃんと身の丈に合った素材を使っていないと、要らぬトラブルが舞い込むからな。」
「いつも思ってたんだけど、安い素材に錬金術が施されてるのも可笑しな話じゃないの?学生や駆け出しが練習で作るやつならまだしも、父さんが作るのって、かなり凄くなるんじゃないの?それこそ、要らぬトラブルが起こりそうな、、、」
「そうだな、安い素材に錬金術をかけない理由としては、
①初期は成長具合が早いから、すぐ上のグレードが買えるようになるから、錬金術を付与するのがもったいない。
②安い素材だと、何個も錬金術を付与できない。また付けれる付与も低級のものになる。
③錬金術を付与するのにお金がかかる。
なので、駆け出しの試作みたいな感じで作るんだけど、錬金術は魔法陣の描き込みで、能力を付与するは知ってるよな?その魔法陣も公表されている。ただね、正しい描き順で描くと、能力が跳ね上がるんだ。」
「え?!嘘っ!!そんなの聞いた事がないっ!それってかなり凄い事じゃないの?描き順なんて関係あるの?!」
「あるぞ!そもそも魔法陣にかかれてるのは古代文字なんだから、ちゃんと文章にした方が効果は高くなる。」
「それって、、、」
「公表していないな。だから、本当は魔法陣は[書く]だけど[描く]にして伝えてる。」
「、、、」
「大丈夫だ。鑑定してもわからないから。」
「ほんとに?」
「あぁ、本当だ。なんせ父さんは天才だからな。」
「じゃあまぁそこは、天才に任せるよ。よろしくね、父さん。」
「ちなみに、売却して他人に渡った時には、低級の付与しか発生しないようにしておく。それと、武器はもう考えてるのかい?」
「何その技術。また未発表のやつ、、、
武器は一本鞭を考えているけど、狭い場所じゃ難しいから剣系も使いたいかな。」
「鞭に剣かぁ、、、そうだな、まぁそこは色々試してでいいんじゃないかい?」
「あれ?!微妙?!」
「ぅーん、まぁとりあえずやってみろ!ここで俺がどうこう言っても、その組合せでやってみるんだろ?行き詰まったら相談しなさい。」
「わかった、そうするよ。」




