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171話 卵の行方

171話 卵の行方


ルリの街を出てフォギに戻ってきたその日の明け方。

気が付けば一段と濃い霧の中にいた。


夜寝る時の格好ではなく、装備を整えていて横にはヴィゾーちゃんがいて、その間にグリフォンの卵があった。


霧の向こうからスーッと三つの影が現れ、徐々に姿が見えて来る。

一人は黒く長い身体を地面に這いながら近付くととぐろを巻き頭を持ち上げた。

一人は銀色の美しい狐。歩く度にフワッとゆれる柔らかい毛並みの尻尾を六本もっている。

身体の大きさとは裏腹に、大蛇と同じ距離まで近付くとちょこんと足を揃えて可愛らしく座った。

一人はその間に位置するように現れ、狼をベースにした四足歩行の生物で、顔は狼だけど雷角を生やしている。


真ん中の生物が優しく包み込む様な声で語りかけてきた。

「我は幻獣の森の守り手である。

グリフォンより託されし者よ、今から其方達を我々の森に招待しよう。」


そう言って霧の中を進んでいく。


ヴィゾーちゃんの方を見ると目が合い頷いている。

『お姉ちゃんいこっ!』


私達が歩き出したのを確認すると、他の二人も先導するように歩き出した。



しばらく歩くとパチンとシャボン玉にぶつかったような軽い衝撃を感じたかと思うと、霧が一気に消えていった。



目の前には新緑の大地、色とりどりの花をつけた木々や綺麗な湖が広がっていた。

木々には小動物がこちらを気にもせず駆け回り遊んでいる。

湖のほとりでは動物達が水を飲み、モンスターが寛いでいる。

私達が現れても敵意を見せたり逃げたりせず、ゆっくりとした穏やかな時間が流れていた。


「、、、」


周りの景色に見惚れていると

幻獣の森の守り手さんが側に来て喋りかけてきた。

「この森は昔ヒトとの争いに巻き込まれ逃げ場に困った子達の為に作られた場所で、いくつも昔から外界から守られてきたんだ。

中にはここで生まれ育った子もいる。」


「ここが本当の幻獣の森ですか?」


「その通り。

人が思う幻獣の森は、幻獣の森であって有らずもの。」


「凄い良いところですね!

優しい気持ちになる場所だ。」


「そうか。

気に入ってもらえてよかった。

其方達が大切にしているその卵、ここで育ませるのはどうだろうか?」


「、、、」


「卵の頃は先程いた大蛇が育てよう。

幼子の頃は銀狐が育て、大きくなればここの子達に任せれば大丈夫だ。

グリフォンはいないが、飛竜が飛び方を教え、リオライガーが狩を教えよう。

成獣になり、ここに留まるも良し外界に行くも良し。」


「、、、どう思うヴィゾーちゃん?」


『大蛇さんと銀狐さんは前に色々教えてくれたり、助けてくれた人達だから、僕は信用できると思うよ。

それにあの角の生えてる人って幻獣様だよね?!』


「うむ、そう呼ばれている存在だ。」


『だったら、お願いしたいかな。

グリフォンの卵でみんなが育て方というか、育てる場所で困っていたから、ここなら環境がいいから安心できるとん。

それに、そもそも僕たちが育てないとダメって訳じゃないもんね。』


「それでいいのね?」


『うん。』


「っという事です。

宜しくお願いします。」

そう言って卵を差し出した。


「しかと預かった。

幻獣の森の子として、立派に育て上げると約束しよう。」


『宜しくね幻獣様。

それと銀狐さんと大蛇さん、また会えて嬉しいよ。』


銀狐と大蛇がニッコリとヴィゾーちゃんに微笑んだ。


、、


、、、


、、、、



再び気がつくと宿屋のベッドの中にいた。

卵がおいてあった場所には卵の代わりに手紙とマジックバックがおいてあった。


手紙には

「精霊達の噂話は速く遠くまで聞こえる。

マジックバックには、其方達が必要になる物が入っておる。かつての同胞達に新たな道をを与えてやって欲しい。」

と書いてあった。

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