166話 ルリ26
166話 ルリ26
「大丈夫か?」
振り返って声をかけてきたその姿は
キリッとした目元の希薄人顔で、男とも女ともとれる綺麗な顔つき、銀髪で耳上に角が生えている。
体は竜人、、、とはまた違う感じで、ドラゴンの鱗肌をベースにしていて、足下にいくにつれてドラゴンの原種に近づいていて、足に関してはドラゴンそのもの。。。
私が見てたヒューマドールじゃん!!
「おーい!大丈夫か?」
「あ!うん。大丈夫。」
私の返事を聞いて頷いたドールは[プロト]の方に顔をむけた。
体勢を立て直し向かってく[プロト]
勢いをつけて殴りかかってきた腕を、棍棒で殴り落とす。
大きく体勢を崩した[プロト]の脇腹、逆腕、頭と殴り飛ばしていく。
追撃の突きを出した所で棍棒が縦に裂けてしまった。
壊れた棍棒を捨て、素手で向かっていくドール。
[プロト]の腕を掴み捻り上げ、肘、肩と関節を壊す。
蹴りを蹴り返し足を破壊し、
頭を掴み地面に叩きつけ、力任せに首を捩じ切ろうとする。
ぐぎ、、、ぎ、、、
[プロト]の声か?それとも首が捩じ切れる時の音か?わからないがその音が続く。
空からは大きな雨粒が激しく落ち、雷の音が近くで聞こえてくる。
バラバラに動いていた黒い靄が集まり出し[プロト]に集まっていく。
黒い靄が集まるにつれ力をつけ、無理な体勢から身体を起こし、ついにはドールを投げ飛ばした。
折れた腕や足に黒い靄が纏わりつき、壊れた部品の替わりとなって動かしている。
身体の周りに黒い靄がユラユラと動いていて、不気味さを感じる。
[プロト]が再び襲いかかってくる。
黒い靄の部分は実体があるようで実体はなく、例えば破損をした指を狙って攻撃しても空を斬る。
しかし、身体に纏わりつくとそこから爛れるようなダメージが起きる。
ドールの周りに水流が巻き起こり、黒い靄を散らしながら攻撃していく。
ただ、黒い靄を纏ってから[プロト]がパワーアップしたのか、少しずつドールの方が被弾をしていく。
ドールの攻撃の邪魔にならない位置に移動して、サポートをするように鞭の先端からクモノネを硬化させて[プロト]を斬りつけ、腕や足を絡めて攻撃の動作を止める。
ッッパン
と高い音が鳴り、[プロト]の体に傷をつけていく。
トビマルさんも攻撃に帰ってきてくれ、
再び私達の方が優勢になり、着実にダメージを与えていく。
攻め手の中心はドールで
その動きは武術に精通していて、身体を上手に扱っているように見えるけど、偶に距離感を間違えてミスもしている。
しばらく戦いが続くと
[プロト]の両腕と片足はボロボロになっていったが、依然黒い靄が[プロト]を覆い動かしていて動く度にどこかのパーツが壊れていく。
遂には右腕 左足 左肘とパーツがボトリと落ちていくが、、、、それでも動き続ける
終わりが見えないよ、、、
一旦離れた距離を[プロト]が詰める様に走り出そうとしたら、地面から光が溢れ出してきた。
光は広場全体、、、それを超えて町中から溢れ出ている。
その光に当たると黒い靄が、存在を薄らぎ消えていった。
[プロト]も漏れなく身体を覆っている黒い靄が消えていっている。
それまで支えていたパーツが崩れ出し、前に進む足がなくなり、這う腕がなくなり、最後は胸上が残る形になった。
程なくして[プロト]から黒い靄が出ていった。
周りを見ると、それまで苦戦をしていた戦いの場所も光の影響で、黒い靄が憑いたドール達の力が落ちて、優勢になっている。
ヒトテラさん達の方を見ると、オショウさんが何か呪文を唱えているのが見えた。




