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156話 ルリ16

156話 ルリ16


ルリの街について数日、街を散策したり、街の外でヴィゾーちゃんを思いっきり走らせて、そのついでに役に立ちそうな植物を探したりした。

街の近くにモンスターがほとんどいなくて、安全な地域っぽいから、久しぶりにのんびりとした時間を過ごせたよ。

けど、こんなにモンスターが少なかったら、冒険者はクエストが少なくて生活が大変なんじゃないかな?

いや、安全なのは素晴らしい事なんだけど、、、





そして、マスクドドール当日を迎えた。



ここ数日の快晴が嘘かのように、昼過ぎだというのに空は灰色で、湿った風が吹いていて、今にも雨が降り出しそうな感じだった。

当初広場に展示予定だった作品は、雨を懸念してドール博物館とその近くのマルゴ商店の一階と二階の一部に展示される事になった。


展示物は二部門に分かれていて

・人を模った、ヒューマドール部門

・それ以外の、オートマタ部門


各部門一人一票投票できて、審査の基準は何かあるらしいけど、それは人形師ギルドの人が審査すればよくて、私みたいな素人は、気に入ったものに投票すれば良いって冒険者ギルドの人が言ってた。

ちなみに人形師ギルドの人らは各部門一人五票あって、同じ作品に何票入れてもいいらしい。


展示している作品は

・装飾を煌びやかにしたもの

・顔の作りをしっかり仕上げたもの

・顔や身体の各パーツを違う生物に模したもの

など見た目なのか?機能美なのか?芸術性なのか?こだわる方向性は人それぞれらしい。


中には赤、青、黄のそれぞれ武器棍棒、十手、盾と短槍を携えた猿の顔をしたヒューマドールがいて、三体で一作品になっているものもあったよ。


そんな中、目に止まったのは、身長二メートルぐらいのヒューマドール。他のドールは腕を四パーツに分けて作り筋肉部分を上から着ける衣装と分けているのに対して、人間と同じ様に骨となる部分と筋肉になる部分を一緒の場所に素材を分けて細かく作っている。

(展示用に身体の一部は中身が見える様にしている。)

顔はキリッとした目元の希薄人顔で、男とも女ともとれる綺麗な顔つき、銀髪で耳上に角が生えている。

体は竜人、、、とはまた違う感じで、ドラゴンの肌をベースにしていて、足下にいくにつれてドラゴンの原種に近づいていて、足に関してはドラゴンそのもの。前から確認できるぐらい尾も長くしなやかなモノが生えている。

けど、実際はあり得ない生物だよね?

原種人から希薄人になるにつれて、原種の特徴は薄れていって、最後まで特徴が残るのが顔周り。けど、このドールは顔つきは角以外は希薄人で、身体は原種人に近い。普通とは逆の現象が起きてるんだよね

、、、コレってドールなんだよね?凄いリアルというか生々しくて、生きているみたい。。。

よくわからないけど、凄い気に入ったからコレに投票しよ〜。



オートマタ部門は小型ドラゴン、魚や猫とかの動物系から、自動で音楽がなったり機械仕掛けで動く乗り物もあって、新しい発想があって面白かった。

その中に植物の蔓をメインに編み込んで、所々花や植物の色合いで自然に溶け込みそうな鳥型のオートマタがあった。

うん。これきっとアニラさんの作品だよね。

私のアイディアがふんだんに使われてる。

けど、それを実現させてるってすごい技術力だよね!

何より花や植物の色合いのバランスや使ってる素材のセンスが良過ぎる。

そして何が凄いかっていうと、魔力を送ると中のコアが働いて、羽ばたく仕組みになっていて自由に飛ばす事ができる。



他にはドール博物館に常設されている、歴代優勝作品が普段緩めている関節をしっかりと組み直して展示されている。

どれも綺麗な作品だけど、その中でも特に目を引いたのは、

作品名[プロト]

大きさ三メートルはありそうな全身ツルっとしたドール。

他のドールより明らかにパーツの造り込みの数が圧倒的に多い。

珍しく外皮がついていないタイプだけどそれが目立つのか?それともシンプルなものだからこそ美しいのか?わからないけど、目を引く作品だった。




投票を終えて外に出ると、さっきより雲が厚くなっていて、街全体が昼間とは思えないくらい薄暗くなっていた、風も少し強く吹き、かすかに雨の匂いがした。

「嵐がくるな、、、、」

っとなんかの主人公っぽい事を呟いてみて、ひとまず時間潰しにマルゴ商店に入ってみた。


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