150話 ルリ10
150話 ルリ10
ヴィゾーちゃんの話をみんなに伝え
ヴィゾーちゃんとオショウさんがグリフォンの治療をした。
一見傷はなくなったように見えたけど、オショウさんが首を横に振った。
「ホンマかいな!
どうにかならへんのか?」
「外傷は治療できたが、身体が弱り切っている。
恐らくもぅ長くはないかと。」
「どないしても無理か?」
「無理かと。」
「って事やラヴァルはん。
カミラはん達も急ぎはせーへん言うてたけど、あんまここらに留まっておかれへんで。」
「はい。」
『ヴィゾーちゃん。鳥さんは何か言ってる?』
『治療ありがとう。
だけど、もぅ自分が長くないのは分かってる。
人に願うのは間違っているかもしれないが、子供を、、、卵を誰かに託せないか?
仲間達は黒い靄に追いやられて、散り散りになってしまった。
戻ってくるにしても、暫く時間がかかってしまう。。。
君達でも君達が信頼できる友でもいい。
どうか我が子に寂しい想いをさせずに、幸せな生を与えて欲しい。
頼む。。。
って言ってるよ。
お姉ちゃん、なんとかしてあげたいよ。』
『わかった。みんなに伝えてみるね。』
ヴィゾーちゃんが訳してくれた言葉をカミラさんや護衛の冒険者に伝える。
みんな一様に黙り考えていく。
最初に口を開いたのはリンさん
「グリフォンの願いはわかった。
しかし、その願いを叶えれるかというと難しい。
まずは、その仔を孵化させれるかどうか?
次に、その仔を成長させる為に適した環境を作ってやれるか?
そもそも、危険性がないのか?
だな。
とてもじゃないがテイマーのいない状況では難しいんじゃないか?」
「せやねんよな。
テイムをできる冒険者がいたとして、大型モンスターとなると冒険者をしている間は狩ったモンスターを食料として与えとったらええけど、街にひと月留まる時もあるやん?そん時どうする?
引退した後どないする?」
「我々オリエントの薔薇はそもそも動物を飼うスペースも興行もない。
そういう興行をしている団体を紹介できるけど、親グリフォンが望んでいる環境とは程遠いと思う。
すまん。」
んー騎士学校で仲良かった実家が牧場をしてるテイマーのファムちゃんなら、もしかしたらいけるかもしれないけど、勝手にやったら迷惑だよね。
っというか迷惑だ。
うーん。
けど、なんとかしてあげたいし。
実家で飼えるかな?父さんならテイミングできそうだし、もしかしたらいい案があるかもだけど、んーーー。。。
王都にグリフォン、、、
騎士団に騎獣用のワイバーンはいるけど、アレはもう国が管理してテイミングしてるから、訳が違うし。
というか、グリフォンの方がモンスターランク上だし、、、
んーーー。。。
あーだこーだ悩んで話し合っていると、
ドサッと音がして、そっちの方を見ると
立って私達の会話を聞いていたグリフォンが倒れていた。
ヴィゾーちゃんが駆け寄って回復魔法をかける。
オショウさんも動こうとするけど、ヒトテラさんが手で制止をして首を横にふっていた。
グリフォンに近付くと、
呼吸が浅くなっていっている。
『お姉ちゃん、、、お願いなんとかして欲しいの。
お願い。。。』
、、、、、、
『わかった。』
アールギーの種を成長させて、できた薬草をグリフォンに与える。
一時的に体力を回復させたりブーストさせる効果がある。根本的な治療にはならないけど、少しだけお話しをする時間を作りたかったの。
グリフォンに薬草を与えた後、みんなの元に戻り
「あの、カミラさん、皆さん、
凄いワガママなんですが、私はここに残ってグリフォンとお話をしたいので、先に行ってもらえないでしょうか?
明日には合流できるように向かうので。
お願いします。」
頭を下げてみんなに懇願する。
普通に考えればクエスト放棄とみなされる許されない行為で、許可なんてもらえるはずない。
だけど、それでもお願いする意味はある。
救って欲しい気持ちと救いたい気持ちがあって、救われた命もあるんだから。




