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134話 幻獣の遺跡16

134話 幻獣の遺跡16


「へぇ〜骨と筋肉みたいな感じなんですね!」


「まぁな。」


「、、、じゃぁドール達は衣装を着替えれば一人で何役もできちゃいますね!」


「そういう事だ!」


「あ!だから顔は敢えてこだわってないんですか?!お面みたいなので変えればいいし。」


「んーーー顔は技術的な問題だ!

顔はパーツが細かすぎるからどうしても不自然になる。それなら逆に仮面でいいかと。

っていうのと、顔を精巧に作ると付喪神や精霊が宿りやすくなるんだ。」


「ツクモガミってさっきカミラさんが言ってたやつですよね?」


「あぁ、そうだ。

カミラは見た事はないと言っていたが、俺は宿った所を見た事がある。

、、、」


「本当ですか?」


「、、、あぁ、、、けど、まぁ忘れてくれ。

俺以外にそんな事言っている奴なんていないし、面白くもない話だ。」


「、、、私は聞いてみたいです。

私冒険者をしていて、色んな地域を旅して色んなモノを見たいし、その地域にしか伝わっていない話を聞いてみたいんです。

良かったらそのお話教えて下さい。」


少し困った顔をして目を閉じて、数秒悩んでから暗い表情でゆっくりと話だした。

「俺がまだ子供でお師匠さんにドール作りを学んでいた頃の話だ。

その夜は今日と同じ満月だった。


工房の後片付けをしていると、蔵の方から物音がしたんだ。

工房には兄弟弟子が揃っていたし、普段お師匠さんは仕事が終わったら、みんなのご飯を作ってくれていたから、そっちの方で音がするのは不自然で、二人の兄姉弟子達についていく形で蔵の方に行ったんだ。


蔵は工房の裏口から出た庭の一画にあってな、そっちの方に近づくとカタカタという音が聞こえてきたんだ。

異常を感じてお師匠さんを呼びに兄弟子が走り、俺ともう一人でその場を見張っていたんだ。

すると蔵の中から人影が現れたんだ。

だけど、動きがどこかぎこちなく足もおぼつかない感じで、明らか正常ではない何かという印象があった。やがて月明かりに照らされている所に人影が出てきて正体が露わになると、驚きのあまり息が止まった。

そいつは先代が造ったドールの中の一つとよく似ていた、、、いや、結論から言うと先代が造ったドールだった、、、

そのドールは俺達を見つける奇声を発し、暴れながらこっちに向かってきたんだ。


俺は恐ろしさで足を動かせずにいたが、姉弟子が守るように俺の前に立ってくれた。


姉弟子とドールの攻防は兄弟子の方が優勢に見えた。

というのも、ドールは使う時以外は慣例で関節部分を緩めているから、攻撃に精密さがなく対処しやすくなっていたらしい。

まぁ当時の俺からしたら、そんな風には見えなくて姉弟子が凄く強い人間なんだと感じたよ。

数合打ち合っていると、お師匠さんが駆けつけて関節を破壊していって動けなくした。

すると、それまでドールについていた何かがふと消え、単なる壊れたドールになった。


戦闘が終わったお師匠さんがまだ蔵の方を見ているのに気付いてそっちの方に目をやると、暗がりの中を何かが動き、その影は塀の向こうに消えていった。

兄弟子が塀の方に駆け出しそうになるのをお師匠さんが止めて。

みんなで壊れたドールを供養したのだった。



その後お師匠さんが教えてくれたのは

・顔を綺麗に作ると付喪神や精霊が憑きやすくなる事。

・顔以外にも出来が良過ぎるものも憑きやすい。

・定期的に邪気を払うと憑きにくい。

・憑くのは良いモノとは限らない。



という事だった。」


「、、、なんか、、不気味な話ですね。」


「あぁ、いい思い出ではないな。

どうせなら明るい精霊がミニドールに憑いて、楽しく踊っているっていう話ができたらよかったんだけどな。」


「それならそれで信憑性がないですよー。」


「確かにな。」

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