133話 幻獣の遺跡15
133話 幻獣の遺跡15
「憑くぞ。」
と声を発した男性が近付いてきてカミラさんの横に並んだ。
並ぶと顔が似ているのがよくわかる。
違いと言ったら男性の方が少しキリッとしているぐらいかな。
「カミラ、奥でみんなに報酬を渡して労ってやれ!みんな街に行きたがってるぞ!」
「え!あ、うん。でも、、、」
「嬢ちゃん、ドール、、、人形が気になってるんだろ?
見せてやるよ、ついてきな。」
「えっ!」
戸惑いながらカミラさんの方を見ると、顔の前で両手を合わせて、ゴメンと言いながら謝っている。
まぁそもそも人形を見たかったから、ようやく本題にいけるから、いいんだけどね。
カミラさんにペコリとして、カミラさん似の男の人についていくと一体の人形が立てて固定されていた。
舞台で見ていた時と違い、衣服は脱がされていて、髪もない状態で、迷宮モンスターのウッドパペットみたいな感じだった。
違う点というとウッドパペットは肘から先が一本の木でできているけど、こっちの方は腕を一つのパーツとして捉えて造られてるんじゃなく、四つのパーツから構成されていた。
それが腕だけではなくて、胴体や首なども細かく色んなパーツが組み合わさってできている。
けど、なんだろ?ちょっとした違和感でなんとなく舞台で見るより少し小さい感じがするけど、気のせいかな?
「コレが俺達が使っているド、、人形だ。」
「人形じゃなくてドールって言うんですか?」
「あぁ、俺達はドールって呼んでいるけど別に呼び易い方でいいぞ。」
腕組みをしながら素気なくどっちでもいいって言ってるけど、職人としての誇りはあるけど、お客さんあっての仕事って理解してるんだろうなぁ、、、
「このドール達って体の作りめちゃくちゃ細かいですよね!
動きが滑らかにする為ですか?」
眉がピクっと動き、組んでいた腕が少しゆるむ
「そうだぞ!」
「へぇ〜、、、
けど、これだけだと少し柔軟性に欠けますよね?」
また眉がピクっと動いた
「そうだな。」
「あ!ケチをつけてるわけじゃないですよ!」
「大丈夫だ。思った事を言ってみてくれ。」
「例えば腕は縦に四分割されているから、一本の棒より捻りや動きに自然さはあるけど、溜めの部分や柔らかさが出にくいですよね?」
「そうだな。間違いない。
けど、劇を見てそう感じたか?」
「んーーむしろ違和感はなかったです!
あれ?どうしてだろ??」
「そうだろ?!
まぁそれを当てれたらなかなかなもんだけどな。」
「んーーーー動かす人の上手さとかではないですよね?」
「それもなくはないが、もっと別の所だな。」
「んーーー、、、」
「、、、、」
「んーーーーーー、、、」
「、、、」
「んーー、、、このドールって劇で使ったやつであってます?」
「そうだぞ!だから見せてるんだ!
どうしてだ?」
「なんか、舞台で見たイメージより少し小さいんですよね。」
「ほぉ、、、」
「それがウィッグや衣装のせいなのか?」
チラッと男の人の方を見ると、口角が少し上がった気がする、、、衣装なのかな?
「衣装に仕掛けがあるんですか?」
私の答えを聞くと、それまで組んでいた腕を解き、背中を預けていたワードローブから衣装を取り出し、見やすいように広げてくれた。
近づいて見てみると、外側の刺繍が綺麗に施されていて、内側は少し厚みのある素材、、、
「、、触ってみてもいいですか?」
「いいぞ、大切に触れよ。」
頷いて裏地を触ると柔らかく、指で押すと包み込まれるような弾力があり、外生地に近づくと硬さがあった。
「、、、」
「、、、」
「衣装が肉の役割をしてるんですか?」
「正解だ!」
それまで表情をあまり崩さなかったけど、ニカッと笑顔になってパチパチ拍手してくれた。
「裏地をある程度の柔らかさと弾力のある素材にして、筋肉を表現してるんだ。
この弾力がいい具合の溜めを表現できるんだよな。まぁ、動かす人の技術も大きいがな。
で、このドールが思ったより小さく見えたのは、衣装の厚みが原因だな。」




