115話 ボスコ砦25
115話 ボスコ砦25
「話は聞いている!どうやって近付くかだな!」
班長さんがトレントの攻撃を対処しながら話しかけてきた。
「バランスを崩せれば、後はアムル様がなんとかしてくれると思うので、それができれば、、、」
「足元を崩すしかないか。。。
よし、聞け!
今からトレントの足場を泥濘ませる。
攻撃は跳ね上げる様に対処しろ!」
そう言うと班長さんの魔力が高まり、武器がそれに共鳴し出して大気が震え出した。
その間にもトレントからの攻撃は続き、今まで其々の方法で対処していたけど、攻撃を上に跳ね上げるように変えていった。
跳ね除け一歩前進、更に跳ね除け一歩前進という様にトレントに近づいていくと、トレントも攻撃しにくくなってきたのか、少しずつ下がっていく。
トレントの後方は既に泥濘んでいて、自身の重さによって身体が沈み傾いていく。
トレントの枝の方を見ると、別の方向から蔓が絡みついているのが見えた!
緩く絡みついていた蔓が徐々に締まりトレントを引き倒そうとしている。
やがてトレントの巨体が大きな音と共に地面に倒れ、泥濘みに沈み込んだ!
「いきます!
班長さん!可能ならトレントの周りの水分を抜いて下さい!」
そう言いながら走り出してトレントに向かう。
跳び上がりトレントの幹に着地をして、枝に鞭を絡ませて振り落とされないようにする。
幹にマァリッシュを突き立てて傷をつける!
トレントの魔力が少なくなったおかげかな?さっきより弾かれてる感がない!
傷口にハンノキ草の種を仕込んで一気に成長させる。
同時に手を当ててトレントの水分を枝の方に集めて葉から出していくイメージをする!
魔力を奪われ、倒され、水分を奪われる中、トレントも生き残る為に枝葉を動かし、身を捩り根をバタつかせ抵抗する。
水分を移動させたせいか、枝葉の動きが活発になり絡めている鞭がブチブチと音を立て、その度に鞭が緩んでいくを感じる。
しかし、防御壁が薄くなった状態を攻めきれない程みんなは弱くなく、一撃一撃とトレントの身を削りとっていく。
攻撃の音は鈍い低い音から次第に乾いた高い音に変わり、最後は大きな音と幹がズレ落ちる衝撃が起きて、トレントから魔力が完全に感じれなくなった。
根の方を振り返ると班員の一人がトレントから魔核を取り出している所だった。
「よし、よくやった!」
班長さんが武器を肩に担ぎながらみんなを労いつつも辺りを見回している。
「まだ戦える者はいるか?」
最初に吹っ飛ばされた騎士団の人以外は、頷いたり手を上げたりして[行ける]と意思を示した。
「私はちょっと魔力がカツカツなんで退散でもいいですか?」
流石に二魔法同時展開はしんどいよね。
片方は抵抗もあったし、、、
「あぁ、大丈夫だぞ!
誰かついていってやりたいが、如何せんこの状況だから、人数を割いてやれない。
自力でいけるか?」
「はい、ヴィゾーちゃんも居るので大丈夫だと思います。
体力はまだあるので、最悪走って逃げます!!」
クァっ!(任せとけ)
「っと言っても怪我人もいるから、あまり無茶はするなよ!」
「私ガツイて行こウ。」
スッと現れたのは、さっき会った時より幹の皮が剥げ、枝葉も所々折れていて痛々しい姿になってしまったアムル様
「アムル様、、、大丈夫ですか?」
「ウム、あまりヨロシクないな。
護衛の意味モアルが、森にカエル前に砦で休マセテくれ。」
「あわわわわ。班長さん。」
頷き、班長さんが近づいてきて
「アムル様、先程はご協力ありがとうございます。ボスコ砦はいつでもアムル様を歓迎致しておりますので、どうぞお休みになられて下さい。」
「アリがトウ。」
「メティス!頼んだぞ!」
「はい!」
「よし、準備はできたな?!」
班員達の顔を見渡して表情を確認する。
「では、他の班を助けにいくぞ!」
さて、砦に帰りますか。




