11話 魔法の練習2
11話 魔法の練習2
「まずは、植物の事ね。植物の成長に必要なのは、太陽と水と土からの栄養。
根から栄養と水分を吸い上げて成長させていき、葉っぱを作り、太陽の光を浴びて更に栄養を付ける。
時が来たら花を咲かせて、雄蕊と雌蕊が虫の力を借りて受粉、その時に代償として花の蜜を払う。
受粉したら実をつけ、果肉と種ができる。その果肉を動物が食べ、他の地域に種を蒔き、そこからまた成長をしていく。
これが基本ね。植物の種類によっては、
・地中で育ち花が咲き散る
・他の樹に寄生する
・1000年生きる
・細いつるでも人の体を支えれる
とかがあるわ。」
「うわっ。凄い細かいね。それを全部覚えないといけないの?無理だよ。」
「もちろん全部しっかり理解した方がいいわ。でもそれより、よく使うモノを集中的に覚えた方が効率的だわ。それ以外は適正のお陰である程度は使えるから、それで満足してもいいんじゃない?人が出来る事なんて限られてるんだから。」
「そうする。それで、まずはどうするの?」
「とりあえず、感覚を掴む為にそこに咲いてる花を操作しましょうか。この子はテッポウウリという植物で、種を飛ばす子よ。」
そう言うと、花が一瞬で実になって、実が膨らんだかと思ったら種を凄い速さで飛ばし、シュドンっ!という音と水飛沫をあげて川に着弾した。
「さっ、メティスもやってみましょうか。」
「どうやるの?!」
「そうね、最初は手をかざしながら、この子に魔力を送って、それと同時にどうなって欲しいかイメージすればいいのよ。今回の場合は花から実になって、種を飛ばす。飛ばす種の速さをイメージできる限界まであげる。本当はどうやって種を飛ばしてるかを理解してあげると一番いいんだけど、今回はそれはおいときましょう。」
「えっと、手をかざして魔力とイメージ、、、」
魔力を花に与えるイメージをしてみると、母さんがやった程ではないけど、同じ様に実をつけ種を飛ばし、川に着弾した。飛沫は母さんより大きかった。
「やった!できたよ!!」
「おめでとうメティス。初めてでこれぐらいできたらいいセンスだわ。」
「母さんより水飛沫大きかったね。」
「そうね。けど水飛沫が大きいという事はそれ程種が大きかったという事よ。種は小さく圧縮して飛ばすと貫通力が上がるのよ。」
「そうなんだ。考えることが多いんだね。」
「そうよ。まぁそれは徐々にでいいと思うわ。
じゃあ次のステップね。次は何もない状態から植物をイメージして同じ事をするのよ。」
「何もない。そんな事できるの?」
「あらっ。だって火の魔法は火種必要ないでしょ?!それと同じなのよ。」
「うーん。イメージイメージ、、、」
「どんな植物でもいいわ。メティスがイメージしやすい植物なら。」
「うーん。」
難しいイメージより簡単なのにしようかな。複雑じゃなくシンプルな、、、そう思ってイメージできたのは[つる]。長く細く渦を巻きながら成長して、栄養が行き届き太くなる、太くなりすぎると重くなるから、密度が高めて細く軽くして、それを何回も繰り返していく。一繊維の細さでも人がぶら下がれる強度になるくらいまで。
そして、出来上がったのは、親指くらいの太さの長い黒いつる。
「できたよ。どうかな?母さん。」
「あらっ、つるにしたのね。シンプルでいいじゃない。飲み込みが早いわね。」
「やったぁ。本当は種を飛ばしたりしたかったけど、考える事が多いからシンプルな蔦にしてみたよ。」
「そうなのね、、、ねぇメティス。凄いシンプルに考えてやってみましょう。植物からすごい速さで種が飛び出る。植物の形はさっきのテッポウウリ。それを意識してやってみて。」
「うん。」
母さんに言われた通り、シンプルに構成してみよう。光合成や栄養は無視をして、いや、受粉の件も無視をして、形→実→種発射
シュドンッ!!!
あれ?!できたちゃったよ。さっき魔力操作で撃ったのよりは劣るけど、それでも充分に威力はありそうだよ。
「ほらっ!できたでしょ。」
「できちゃったね。こんなに簡単でいいの?」
「基本はそれでいいわ。だけど、威力を高めたいなら、その植物の事をちゃんと勉強してあげるの。勉強して脳内に知識があれば、細かくイメージをしなくても威力は上がるわ。こんな風にね。」
そお言うと母さんの側から、テッポウウリが出てきて川に向かって種が飛び出していった。
シュッッドン!!!
ザザザザザー
打ち込まれた川に水飛沫が高く上がり、川一面が水飛沫によって、雨がふったみたいになった。
これ絶対ご近所さんに怒られるやつだよ。
「あらっ。心配しなくていいわよ。結界は張ってあるもの。」




