106話 ボスコ砦16
106話 ボスコ砦16
[紫眼]との戦いの後、離れた場所に待機していたヴィゾーちゃん達を呼び寄せて、次の戦いに備える為に砦に戻った。
砦の様子は昨日までと大きく変わり、森から砦までにはたっぷりと油を染み込ませた木製の拒馬が配置されていて、モンスターの直進を許さないようになっていて、城壁にはバリスタとそれに見合う槍のような矢が用意されていた。
砦から街道に抜ける道はカモフラージュされていて、モンスターが砦に群がるようにしている。
籠城戦ではなく、さながら殲滅戦を意識した雰囲気になっていて、クマちゃんが言うには「攻める籠城戦」らしい。
後は私ありきの作戦だよね?
というブツが。
・幻覚効果のある、サンペドロサボテンの粉
・カラマリツルとオーイルを合わせた蔦植物を戦場に配置
・ボムズの種を地中に埋めている
これを昨日の作戦会議の後にやったんだよね。
まぁ種を生成しただけなんだけどね。
埋めたり配置したのは、クマちゃんと騎士団の人達。
確実に私働き過ぎだよね。
まぁクマちゃんが作戦を立てたから、どうしても知ってる戦力を中心に組立てる事になるから、仕方ないんだけどね。
逆に騎士団の人達、私達がいなかったらどうする予定だったんだろ?
食堂で休憩をかねて食事をとっていると目の前に席にドカっと誰かが座って来て、目線を上げる前に声をかけられた。
「オ疲れ様、メティスちゃん。
ごめんね、働かせすぎたよネ?」
「お疲れ様〜クマちゃん。
もぅヘトヘトだよ〜。」
「ハい、これ差し入れネ。
特濃アールギーポーションとマジックポーション。」
「ありがとう!まだまだ働かせますよ〜!
って宣言みたいだよ。」
「ハハハ。
まぁ実際まだ働いてもらうからね。
がんばロ。」
「作戦は今どんな感じなの?順調?」
「ウん。順調みたいだよ。川底にモンスターが溜まった所で、水鉄砲が来たからそれで結構削れたみたイ。」
「そうなんだ!よかった。
川に水を流す前大変だったんだよ〜。」
「アー確か[紫眼]が出たんだっけ?
よく無事だったネ。」
「そうそう。
明け方からずっと戦ってたんだよ。
気が付いたら合図がなるし、どうしようか思ったよ。
クマちゃんのお兄さん凄いよね!ずっと[紫眼]と近接戦してたんだよ!
私[紫眼]の腕一本だけでも力負けしたのに。。。
クマちゃんもあれぐらい強いの?」
「オ兄ちゃんは家族の中、、、というより一族の中でも強い方なんだ。身体強化の魔法の上位版のやつも使えるかラ。」
「上位版?」
「ウん。
身体を動かす時に筋肉も動くでしょ?そのタイミングに合わせて魔力を移動させると、威力が上がるんだっテ。理解してもなかなかできないけどネ。」
「あー確かにアレは無理だよ。」
「メティスちゃんも誰か近くに使える人がいるノ?」
「うん。父さんが使える。真似しようとしたけど、無理だったや。
けど、クマちゃんのお兄さん身体強化使ってたけど、上位版使ってたっけ?」
「、、、タぶん、疲れるから嫌だって言ってたかラ。」
「、、、で、[紫眼]と同等の強さって、、、
普通に強いじゃん。」
「ウん。普通に強い。
私はあんなのになれないから、戦略の方を頑張るんダ。」
「今回の作戦殆どクマちゃんの案だもんね!凄いよね。」
「ン〜ん。私なんてまだまだだよ。
私が案を出して、それを騎士団の幹部の方々がもっと安全で効率の良い作戦に修正してくれてるもん。正直ちょっと自信なくしタ。」
「え〜、、、けど、それは規模の問題なんじゃないの?
今までクマちゃんというか、私らは二十人同士の対戦をしていたけど、今回は百人以上の作戦だし、敵の数ももっと多いからさ。」
「ン〜、、、」
「それに全くダメな作戦だったら、採用してないんじゃないの?」
「ダメな作戦を使える作戦に作り替えたとかかもモ?」
「もぅ〜考えすぎだよ!
しっかりして、クマちゃんの作戦で戦うんだよ!
作戦の発案者が不安だと、私らは何を信じて戦えばいいのかわからないんだから。」
「作戦の発案者だからだよ!私の作戦で多くの人が怪我したり、最悪死ぬかも知れないんだよ!訓練とは違うんだもン。」
「それでもだよ!
そりゃ多少怪我したりするかもだけど、私ら、、、はまだだけど、騎士団の方々はそれを許容してる職業なんだよ!
死にたくはないけど、怪我をしたくないとは思ってないよ?怪我をしても守りたいモノがあるし守れる力もあるからね。」
「、、、ウん。。。
とりあえず、頑張ル、、、」




