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1話 はじまり

1話 はじまり 


春を感じるにはまだ少し肌寒さがある、よく晴れた日、芝生が綺麗にひかれた広いグラウンドには多くの人が集まり、近くの人に声をかけたり、本を読んだり、緊張した顔で一人で立っていたり、思い思いに時間が来るのをまっている。

空を見上げると鳩が二羽、風に乗って気持ち良さそうに飛んでいた。

更にその上には鳶が鳴きながら飛んでいて、鳩を狙っているのかな?って思いながら様子を見ていた。


「やぁやぁやぁどうしたーっ!そんな暗い顔してっ!折角第二職業が確定したんだから、これから明るい未来に向かって頑張ろうじゃないかっ!」


声をかけてきたのは、赤髪のツンツンヘアーが特徴の希薄人の男の人。

第二職業が希望通りだったのかな?

ニコニコ楽しそうに話しかけてくる。

いわゆる根明でガンガン話しかけてきて、距離の詰め方が強引な、圧が強いタイプの人だね。

彼みたいにコミュ力が高いタイプは世渡りが上手くて得をする事が多くて、凄いなって思うけど、自分自身がそうなれるか?てなると、だいぶハードルが上がる。多分無理。


「君は希望職だったの?」


「そうだよっ!と言っても戦闘職ならなんでもよかったんだけどなっ!けどまぁ騎士になったかっ!第一職業が武道家だから、少し変わった戦闘職になってしまうなっ!

うーんっ!まぁいいかっ!なんとかなるなんとかなるっ!ちなみに君の第一職業はなんだいっ?」


確かに、街を出ればモンスターがいるこの世界で、どこに行くにも戦闘は避けれないから、戦闘職を希望する人は多いんだよね。

「学者だよ。」


「なるほどっ!勉強家だったんだねっ!凄いじゃないかっ!勉強は俺には無理だなっ!身体を動かす方が性に合ってる!」


「まぁね。親の影響もあったけど、学んで考えるのは楽しいよ。第一職業は希望通りになってよかったよ。」


「そうかっ!まぁ、とりあえず三年間は学びの期間だっ!共に頑張ろうなっ!」


そういうと、根明の赤髪は別の人に声をかけに行った。

相手は豹の原種人。

あっ!ちょっと引かれてる。




あっ!そういえば鳩は?

と思って空を見ると鳩の姿は見えなくなっていた。

鳶は旋回しながら高度を徐々に下げていき、ピーヒョロヒョロヒョロという鳴き声を響かせながら、グラウンドに設置されたステージの上に降り立った。



鳶の鳴き声に気を取られ、それまザワついていた会場が徐々に静かになり、視線がステージに集まる。

ステージには何人か並んでいて、特に目立つのが二人

一人は長身で筋骨隆々、特徴的なのは全身に鱗とお尻から尻尾が生えている原種人の女性

鎧はハーフプレートで武器は大剣を装備している。

もう一人は、隣の女性には劣るけど、やはりしっかりと鍛えられた身体つきに、獅子の目と獅子の尻尾が生えている混血人の男性

鎧はフルプレートで、武器は大楯とハルバードを装備している。


竜人の女性が一歩前に進み、充分に視線が集まっている事を確認しながら話し出す。

「注目。私は王国騎士団団長のサラ・ヴリトラだ。これから諸君が通う事になる騎士専門学校の校長である。見た通り竜人の原種人である。

この学校は今回皆が15歳になり、天より授かった第二職業を、三年間みっちりと学べる所だ。ここでしっかりと騎士のノウハウを学んで欲しい。

その上で今まで生きてきた経験から既に発現している、第一職業と組合わせてくれ。」

竜人は種族的に硬い鱗による防御力と耐火耐冷に優れて、更に力も強いのが特徴だから、騎士に向いている種族なんだって。

実際王国騎士団には多くの竜人が所属しているし、冒険者の中でも耐久力の高さから、重宝されている。

今壇上にいる団長さんは王国騎士団のイメージモデルにもなっているぐらいで、サラヴリちゃんっていう、どう考えても団長をイメージしたマスコットキャラが非公式で売り出されている。

「これから三年間話す機会があるだろう!なので、今日の挨拶は短くいく。次。」


「よし、では次は俺だな。俺はリ・オンだ。王国騎士団副団長兼この学校の講師だ。父親が獅子系の混血人で、母親が希薄人だから、分類的には混血人だが、特徴も少しだな。

皆も知っているとは思うが、原種人はその名の通り色濃く種族の血が残り能力に特徴がある種族だ。力が強かったり素早さがあったり魔力が高かったりだな。

別々の種族の原種人が子をなし、様々な特徴が出てるのが混血人になる。各種族の特徴がうまく混ざり合い、相性の良い能力を持たせたり、逆に能力の偏りを補うようにしたりだな。

混血が進むとどんどん特徴が薄まり、特徴が少なくなってしまったのが希薄人。しかし、どんな職業にも対応しやすい、応用力のある種族だな。

どんな種族や血の濃さであっても職業を使いこなす事はできる!しっかりと修練に励んでくれっ!」


その他にも何人か喋っていたけど、大体同じ様な事を長々と喋っているだけで、聞いててつまらなかったよ。

他の殆どの人も飽きて、ぼんやりした顔で時間が過ぎるのを待っている感じだった。



「では、次は移動して身体測定と能力測定をする!」


その後、

身長と体型


基礎運動能力として、

持久走、百メートル走、垂直跳び、遠投。


魔法が使える人は、使える魔法の実演。


武術が使える人は、それを使った組手。


第一職業を記入して今日は解散になった。


〜〜〜〜〜


「あら、おかえりメティス。どうだった?」


優しい笑顔で出迎えてくれたのは緑の髪で細身でスタイルのいい女性。身内贔屓なしで美人で料理上手、昔は冒険者として活躍していたから強い。自慢の母親だよ。ちなみにドリュアスの原種人らしいけど、見た目は何か特別な特徴があるわけでもなく、希薄人とよく間違えられる。


どうだった?

というのはきっと、第二職業の事だね。今日は王国中の十五歳が教会で祈ると、自身の第二職業に目覚める日なの。

厳密に言うと、どの教会やどの神を信仰していても、いや、もっと言うと無信仰であっても太陽や何かに祈ればいいから、どこでもいいらしいが一種のお祭り的な意味合いで教会に集まる人が多い。

特にこの王都では、各種専門学校が教会を中心に広がっているから、職業に目覚めた後に学校の説明会にいくのに便利なんだ。

どうしても希望の第二職業がある人は、願掛けの意味合いで、その職業の施設や学校で祈る人もいるけど、実際効果の程はないらしい。

むしろそれなら、今までの生活の仕方によって15歳までに発現する第一職業をそれに当てるのがいいんじゃないかな?

まぁ確かに鍛冶師兼戦闘系職業とかになると、願掛けもするか。まぁ様々だね。

その点を考えると根明赤髪の彼は戦闘系二つになるのか。彼は戦闘系希望だったから、おめでとうだね。戦闘施設で祈ったのかな?


「ただいま、母さん。第二職業は騎士だったよ。」


「あら、戦闘系になったのね。第一が学者で第二が騎士ね。旅には適してるんじゃない?メティスとしてはどうなの?」


「うん、悪くないと思っているよ。学ぶのが好きで勉強してたら学者になったけど、やっぱり本や他の人からの教わるだけより、自分自身で色んな場所に行って、自分の目で見て、考えたいよ。

本はあくまでもその物事を見る為の基礎知識と思っているの。

だから、自分で自分を守れる騎士は素直に嬉しいよ。」


「あら、よかったわね。じゃぁいずれは旅に出るのね。そうなると色々教えていかないとね。冒険者として活動もするだろうから、野営や薬草の見分け方、後は魔物の綺麗な倒し方とかもね。」


「一応学校のカリキュラムには野営はあるみたいだけど、母さんのやり方も知っておきたいからお願いするよ。魔物の綺麗な倒し方は是非!研究材料は綺麗な方がいいもんね。」


「それと、交渉力と目利きもある程度できてる方がいいわね。メティスは観察力があるから、騙されたりはしないだろうけど、交渉も合わせてできるようになると、色々便利よ。」


「うん。わかったよ。ありがとう母さん。」


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