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コーマの大陸事情

「うーむ・・・」


整った顔(ただし目つきは悪い)を歪ませ、眉間に深い皺を刻み唸るのは

コーマだ。

先ほどから唸りながら自分の担当大陸を睨みつけている(ように見えるだけで実際には睨んでいるわけではない)


時間は流れているものの、人口が増えない。


つまり所有できているポイントがほとんど増えていないのである。


ロマンを優先させて作った大陸だから後悔はないものの、重大な欠点をゲームだからと無視していたため

今の問題に直面しているというのは、分かってはいるのだ、ただ解決するための手法が分からない。

自分一人の考えだけではきっと解決しない事も分かってはいる・・・。


「変に拘っても意味はない・・・か」


そう、栄養が圧倒的に足りていない。

衣食住の食が不足しているのだ、原因は地形環境にある。

文明を発展させることができそうなドワーフが住んでいるところは鉱山だ、そこに穴を掘って住んでいるので

基本的には食料が乏しい。

山の表層に自生している食べるに適しているものや、周辺に生息している動物などを食べてはいるが

余裕がないのだ。

余裕がなければ子供を育てることができない。

そんな悪循環に陥っているのである。


荒野にいる猫獣人達は基本的に定住もしていない流浪の民なので

安定した食料などに縁はない、猫は自由。


ドラゴンの住む山の麓に生きるドラゴニュート達も農耕などはしない。

自分たちが生きる分だけ摂取している、質素。


どう考えても農耕民族になりえる奴がいねえ・・・!

このままではジリ貧で滅亡ENDじゃねえの!?


考えても滅亡の二文字からは逃れられないコーマは仕方なくギルに通信を入れた。


「困った。」


「なんとなく察しはついてるんだけど、もうちょっと言い方どうにかなんない?」


ため息とともにやれやれ・・・といった声が聞こえてくる。

こういう相談事とか苦手なんだよ。


「んー、できれば自力でなんとかしてほしいところではあるけど、今回は初期段階だし仕方ないね」


手持ちのポイントはあまりない中で、どうやらなんとかできる手立てがありそうだ。

決死の覚悟で相談を持ち掛けてみて正解だったようだ。


「ドワーフの集落を目視しながら住民一覧と思い浮かべてみて」


言われた通り思い浮かべると集落の横に住民と思われる個人情報のウィンドウが表示される。

名前や年齢、今している事などが分かるようだ。


「それを見ながら農業の素質を持っている者と思い浮かべてみて」


また言われたように思い浮かべると

一気に表示される人数が減った、がドワーフの中にも農業の素質をもった者が結構いた。


「へえ・・・ドワーフにも色々いるんだな」


率直な感想を述べると


「そりゃ人間だもの、種族という違いはあれど十人十色は世界共通だよ」


ごもっとも。

でも素質はあってもこの住処を出ない事には農業などできない、穴倉の中では植物など育たないだろう。

そう思っていると


「その鉱山地帯の麓に農地に適した土壌を配置してみて、それくらいならポイント足りるでしょ」


手持ちのポイントは雀の涙ほどだが、農地に適した土壌などはポイント的には安いものだ。

そこまで大規模でなければ手元に多少は残る。


「配置したらさっきの農業の子達の情報見ながら、畑を耕し食料を得るイメージを思い浮かべるんだ」


コンバインとかそういうのナシで!と付け足されてしまった。

流石にこの原始的な世界でそれはねーだろ、失礼な、それくらいは俺でも弁えている。

それでも助言通りに思い浮かべると、何やら集落の中で動きがあるようだ。

情報一覧の今やっている事が慌ただしく変化している、一体何が起きてるっていうんだ。


「今やったのは神託の一種だね、言葉は全然伝わってないけど何か思いついた感じで行動を起こさなければいけないって感じになってるんだよ」


よくわからんが、そういう事なんだろう。

ある日ふと何かのネタが浮かんで漫画描いてみようってなるとかそういう感じだろう、多分。


「ま、すぐに解決できるものでもないけど、多少動きは出るんじゃないかな。今やったのはサービスだから、本来は結構なポイント使わないとできないんだからね神託は」


おぉ、どうやらギルのサービスだったようだ、結構いいやつだな。

後は増やせそうな種類の食物を農地の近くに自生させておこう


「うん、それがいいね、え?心を読むな?やだなー神に向かってそんな」


「ありがとな」


一方的に通信を切る。

感謝はしているし言葉も伝えたので多分大丈夫、ギルは心が広いはずだ。


動きがあって、思うような結果を得るまでは時間がかかるが、暇な時間は猫の獣人族でも眺めていよう。

猫は癒し。

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