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ガルクさんのその後

 文字も伝えた、数字も伝えた、ということでガルクさんは今どうしているのかちょっと気になった。


 「今はどこにいるのかしら、そういえば、もう結構なお年になってきてるんでは?」


 アーティファクトを渡した時点で、それなりのお年だった気がする。あれから、こちらでは大した時間は流れていないのだけど、下界は時間の進みが早いため、結構な年数が経っているのだ。

 ふと思い出し、検索して見てみると、彼は最南端の集落にいるようだった。そこをズームアップして見に行ってみると、長らくの布教活動? のせいで足にガタが来ているらしく、ここの集落に定住しているらしい姿が確認できた。


 「そっか・・・、移動は基本的に徒歩だものね・・・、お疲れ様でしたね、ガルクさん。」


 もう彼も長くはないのだろう、この星の住民の平均寿命はそこまで高くはない、文明レベルとしては高い方だとは思うが、それでも医療がそこまで発展しているでもないし、長く生きても70くらいなものだ。

 彼はもう、タイムリミットが迫ってきている、そう予感させるほどに彼の動きは弱々しかった。


 「彼が最期を迎えましたら、アーティファクトの回収と、彼の魂も同時に回収してまいりますね。」


 そう、選択の時が来るのだ。彼が使命を終え、天寿を全うした時に、使徒としてこちらの住人になるか、ラプールの民として再び生を受けるのか。彼はどちらを選ぶのだろうか・・・。


 各地に、彼の見出した人材は存在する。彼を師と仰ぎ、文字を知った後も、色々な文字を生み出している。紙の出現によって、文学という物も徐々に生み出されている。まだまだ拙いものだが、これもさらに昇華されていくのだろう。

 それは神に関するものが多いのだが、ガルクさんがアーティファクトを受け取った時のエピソードも、口伝から紙へと、後に残りやすいものになって、やがて物語へと成った。

 女神から、文字を授けられたガルクさんは、各地を巡り、人々に文字を伝えた。その時にお弟子さんとなった、見出された人達、その様々な出会いが、物語として綴られているのだ。


 シエルが彼を迎えに行ったら、そのエピソードにまた一つ追加されるんだろうなぁ。


 ちょっとだけしんみりした感じで、ガルクさんを眺めていると、新しい魔法が出来たらしく、検索に何か引っ掛かったようだった。


 気持ちを切り替えて、その新しい魔法を見てみると・・・。


 罠魔法:投網

目標に向かって魔力で編んだ網を投げる魔法。獲物を捕まえる他、もし魔物に襲われたときに対応するため生まれた。


 んん? 魔物に襲われた時の為? ちょっと引っ掛かる感じがする・・・。この魔法の作成者は10歳の子供か。場所的に魔物は居ない場所なんだけどな、魔物の事を知ってるのかな。


 気になってその子のステータスを確認してみると、基本魔法は誰でもあるからいいとして、他の魔法も軒並み習得していた。お掃除の魔法もあるから、この子は綺麗好きなのかしら。でも、転生者のステータスは見えないしなぁ、経過観察対象者としてチェックしておくかな?

 シュウ君っていうのね、覚えておこう。よく言われるチート持ちみたいな事もなさそうだし、かなりの努力家っぽい。現在は、薬学を学ぼうとしているみたいだった。

 シュウ君の一日は、まず礼拝に向かい、そこで神殿を魔法を使って掃除する。家に戻って家と、その近所を掃除。お昼ご飯をお母さんと一緒に作って、お父さんに届けにいってるのね、偉い子だわ。

 お昼をお父さんに届けたら、そこで一緒に食べて、それから色んな所にいってるわね。罠作りの人のところ、薬草に詳しい人の所、動物に詳しい人の所にも行っているようだわ。物凄い勤勉な子・・・他の10歳くらいの子はそこまで勤勉な子は居ないと思う。

 学問適性も、魔法の適性も割と普通、他より多少高めといったところかな? でも、気になるわ・・・。ちょっと、この子に接触することは出来ないものかしら・・・?


 「母様、その子が気になるのですか?」


 「ちょっとねー・・・、なんか気になるのよね、不思議な子。」


 「罠魔法ですか、そういう物も出てきてもおかしくはないですが、出来た経緯が不可思議ですね。」


 シエルも同じところで引っ掛かったようだった。やっぱり、そこ気になるよねー・・・。


 「礼拝の時に、一時的に時間を止めてお話する事ってできたりしないかしら?」


 「呼ばれた気がして!」


 「ギルの察しの良さは、さすが神よねとしか言いようがないわ。」


 「お褒めいただき、ありがとうね! ところでそのシュウって子さ、僕も見させてもらったけど、気になるね。でも転生者だと使徒適性生えてこないはずなんだけど、その子しっかり生えてるよね。しかも4とかの高めで。」


 「転生者だと生えてこないんだ?」


 「うん、他の星からやってきた人だと、ここの星の邪魔をする目的で転生させてるだろうからね?」


 「な、なるほど・・・、ちょっと怖いわね。」


 「だからこそ、気になってね・・・、本来は、召し上げるとかの理由なしに接触するのはダメなんだけど、今回は特例で許可しよう。話を聞く間だけ、時間を止めるのを僕が担当しよう。」


 ギルの協力の元、シュウ君にお話をすることが決定されたのでした。

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