色々考えてはいるのよ?
「うーん、やっぱり微妙な魔法しか生まれてこないわねえ」
新しく魔法が生える事は分かったけど、生活に直結してる魔法しかほぼ見ないのよね。別に魔法で無双してほしいわけじゃないんだけど、地球での小説を読んだことがあるならば、誰しもが思ってしまう。
土魔法で家を建てたり、土木工事をして町を作ってみたり、空間魔法で無限にアイテムを詰め込んでみたり、はたまた錬金術で色んな道具やポーションなんかを作ってみたりね。
そりゃあファンタジーなんだし、そういうのもありっちゃありかもしれないけど、今のこの時代には合ってないというか、まだ必要ないというか。
ラプールは平和だし、空間魔法が必要なほどのアイテムを必要とする機会もない。薬草はあるけど、ポーションはない。ガラス製品がそもそも発達してなくて、ポーションを入れておける瓶が無い。
割とないない尽くしね・・・、まあぼちぼち成長していけたらいいなとは思ってはいるのよ、思うだけなら無料なんで。
「そろそろ、ロクストみたいに道路を敷きたいよねえ、あと馬車的なものもあったらいいなあ」
ロクストではネルちゃんとゴブリンやオーク達が頑張ったおかげで、結構いい感じの道路が敷かれている。そこまで活発に交流してるという感じでもないけど、道路を使ってるのは主に猫獣人達だ。
「集落同士の交流も、これからぼちぼちやっていってほしい気もするし、うーん」
「まずは集落と紙漉き施設を繋ぐ道路が欲しいですね、移動が楽になります。今でも危険はないので、問題はないのですが、多少足場が悪い事もあり、転ぶ人もたまにいますので。」
「そうなんだよね、かろうじて道くらいのレベルなんだもんねえ、街中は石畳があったりするけど、どこかとどこかを繋ぐための道ってのはないものね。」
今のまま馬車を作ったとしても、悪路すぎてガッタガタすぎて、きっとお尻が大惨事になってしまうだろう。それはかなり気の毒すぎる・・・。
ラプールの人達は、働き者なので、毎日頑張って自分にできる仕事をこなしている。余計な労働はさせたく無い、というのもこの問題を後回しにしている理由の一つだ。
「まあ、今のところ、転ぶ程度の被害しかないのならもうちょっとだけ後にしよう・・・かな?」
結局また後回しにするのは多少心が痛むのだが、平均的にレベルを上げたい派のアイリーンはどこかが突出して繁栄するのを良しとしない。一つの集落に道を作ってしまえば、他も全部! となってしまう。
となると、人手が心許ない。まだ公共事業にまで回せる人材が不足気味というわけだ。後回しにするのは仕方ない、仕方ないったらないのだ。
公平に何かを齎すとしたら、次は何が良いだろうか。
そういえば、魔石ってここの大陸にはないよね? というか、モンスターほとんどいないものね、あれってどこかしらに湧いて出たりしないものなのかしら・・・。
「魔石?なんでまたそんなもの欲しいの?」
「いや、欲しいっていうより、これから先そういう物が必要になる事もあるかなと・・・。」
「あー、まあ発達してくると、便利な道具とかが登場してきて、動力に使ったりするもんねえ。」
「そうそう、錬金術とか出てきてさー」
と、魔石の話から異世界系の小説の話とかに華が咲いてしまった、違う、そうじゃないんだよ。楽しいけども!
「今はまあ、そういうの使うようなレベルでもないんで要らないんだけど、もし必要となった時に慌てて用意するよりは、前もってここにありましたよ~ってなってた方が自然かなと。」
「なるほどねえ、準備万端にしとくわけだ、アイリーンらしいね。一応魔物以外からでも採れる方法はあるよ?」
「そうなんだ、でもダンジョンとかだと、そこから魔物が溢れて云々みたいになっちゃわない?」
「いや、ダンジョンに設置するって方法もなくはないけど、普通に洞窟とかに水晶みたいに生やしたりすることもできるんだよ。」
「鉱石扱いなわけね、いや~奥が深いわファンタジー」
「とりあえず、今必要じゃないっていうんなら、あまり人の居ない場所にでも魔石洞窟作ってさ、入り口埋めておけばいいんでない?」
「なるほど、見つかってなければ無いのと同じだもんね」
「ただ、魔石を洞窟に生やす場合、結構ポイントがお高いんだよねえ・・・、魔力が関するものって割と軒並み高額商品というか。」
「商品いうなし、まあ感覚としてはわかるよ、課金アイテム的な・・・」
「ま、理解としてはそれでいいよ、造るんならポイントが潤沢にあって、他にすることあんまりない時にしといた方がいいよっていうのが注意事項。アイリーンはその辺しっかりしてそうだから、あんま心配いらなそうだけどね」
「ふふっ、シエルもいるしね!」
「せやな」
「投げやりな返答になってる・・・シエル優秀なのよ?」
「わかってますからー」
こうやって、日々色んな案が出ては先送りになっている。それはそれでいいのだ、神の時間は長いのだ、それこそ飽き飽きするほどに。
だからこそ、楽しんで世界を創るのだ。




