新しい生き物を作ろう
連絡会で、私はラプールに妙な魔法が生えまくっている事を報告した。案の定コーマに笑われたので、後で何かしらの報復を計画しておこう。うん、許さん。
ネルちゃんの村もかなり順調らしく、どうもゴブリンさん達に土を固める魔法が生えたようだった。ゴブリンには魔法適性なかったはずなんだけどなぁってコーマが頭を傾げてたけど、魔法が生える事なんてよくある事だよ・・・たぶん。
カレンダーは数字がある程度認識されてから再度トライってことで、今は様子見になった。ま、急がなくてもいいことだしね。全国民スローライフなのだよ・・・。
「あー、ねえねえコーマさぁ!動物のデザインとかってできるの?お人形さん作れるんだよね?」
突然のシュミカの発言に、一気に現実に引き戻される。動物か・・・。
「んー?まあ作れんこたぁないが、なんだいきなり?」
「せっかくファンタジーちっくな世界作ってるんだからさ、新種の動物とか作れないのかなって」
「そういや、新しい種族作れるんだし、地球にいそうにない動物がいてもおかしくはないな。でもそう簡単に作れるのか?人形なら作れるけどよ」
そして全員一斉にギルを見る。
「いきなり全員でこっち見ないでよ、ちょっと怖いって!新しい動物を創造するのは、ポイント多少使う程度で可能だよ、その動物や魔物の性能によってポイントの消費がちょっと差が出る程度。強いて言うなら、犬なら無料、ケルベロス的な犬にするならポイント必要みたいな感じ。」
「なるほど、複雑だったり、性能がバグってなけりゃ安いポイントで作成可能ってことか。その辺は要相談ってとこだな。」
「先にデザイン決めておいて、各自で性能にポイント使うかどうか決めればいいんじゃない?作るだけならタダだし」
「そうだな、先に見た目から入った方が話が早いな」
新しい動物・・・ねえ。性能云々は兎も角、いきなり言われても思い浮かばないというか・・・私は普通の発想しかできないからあんまり奇をてらった動物なんてまず無理だしなあ。
とんでもなく可愛い生き物ならなんだっていいかなって程度だ。
「お前ら思い浮かぶ動物で、どの動物が好きなんだ?それミックスしてみる事から始めてみようぜ」
「好きな動物?シュミカはうさぎが好きだよ~!」
「そうね・・・ペンギンとか?可愛いよね」
「俺は・・・猫だな」
だめだ、3種類ミックスは融合失敗でスライムになってしまう・・・!
「そこ、メ〇テン想像してんじゃねえ!ベストミックスすればなんとかなるかもしれねえだろ!」
「そう言ってもねえ・・・ペンギンさんにうさみみ生えるとこまでは想像できたんだけど、猫要素が・・・」
「う、ま、まあ・・・その・・・クリーチャーだな・・・」
反論の途中で、想像できたのか、コーマの語尾が小さくなっていった。そうだよね・・・3種類は無謀だよね。
「とりあえずうさぺん見てみたい!」
シュミカは通常営業と。でもうさみみ生えたぺんぎんちゃんは見てみたいかも?
「うし、じゃあ一回作ってみるぞ」
コーマはそう言うと、目を閉じて集中しだした。コーマの前に球体が出現して、ぐにゃぐにゃと変形を繰り返している。ここから形を整えていくのか・・・美少年人形もこうやって作ったのかしら?
などと、余計な事を考えている間にも、そのシルエットはふわっとしたものに変わってきた。頭のあたりにうさみみがピコーンと生えてきたのが分かる。
コーマにとってペンギンは皇帝ペンギンの雛のイメージらしい。グレーのかわいらしいシルエットだ。・・・皇帝ペンギンの雛が兎のコスプレしてるみたいで、ちょっとだけ可笑しい。
「なんか・・・ちょっとおもしろ・・・ププッ」
シュミカが耐え切れず吹き出してしまった、私が頑張って耐えてたのに!案外可愛くなかったというか、ちょっと面白動物になってしまっていたのだ。これはもう笑ってもいいよね?
「や、やめてよシュミカ・・・!ぷっ・・・だめ・・・もう我慢できな・・あははははっ!」
「お前ら・・・!」
やがて、成型が終わり、その奇妙な生き物の全貌が露わになる。確かにファンタジックではある、あるのだが・・・!そのお尻の部分には丸いふわふわの尻尾がくっついていて、確かにウサギとペンギンが融合しました!って感じだ。
すでにギルは息をしていない。笑いをかみ殺し過ぎて腹筋が逝ったようだ・・・。ナムナム。
「可愛いんだけど・・・可愛いんだけどね・・・?くふっ・・・ダメだツボに・・・!」
私の腹筋も既に末期だよ!どうしてくれんのこのカオス空間!
「まあ、一応できたけどこれ採用?ついでにちっこい羽でも追加する?」
これからさらにエンジェルにしようというのかこの男は!ガチで腹筋を殺しに来ているとしか思えないんだけど?
「や、やめて・・・!これ以上魔改造するのやめて!」
あーもう、収拾付かなくなるじゃない!でも、なんだか生み出されてしまったこのうさぺんは、消すのも可哀想なので、採用してしまう事にしたのだった。




