作業と副産物
ガルクさんとアーティファクトの導きによってできた仲間たちを探すと、なんだか結構な数になっていた・・・。学問適性ある人そんなにいたのか・・・凄いな。他はどうか知らないけども。
数か所を除いてほぼ全ての紙漉きの施設に程近い場所にその人たちはいるようだった。残りはどうしようかな、後で考えようか。
とりあえず、今いる人たちに向けての神託と、最寄りの紙漉き施設へのプリントの転写、これが私の今回の仕事になる。残りの事はシエルと相談してどうにもならなかったらギルに相談って感じかな?
「さて、早速やりますか!」
気合を入れ直し、神託を飛ばす。飛ばし終えたら次はプリントを各施設へ転写!FAXみたいにジワジワ行く感じかと思いきや、一瞬でシュンッて消えてなくな・・・りはしないで、手元に残った。ちょっとだけ焦っちゃったじゃんか・・・また書き直さないといけないかと思った・・・。
「母様、転写は無事に完了したようです。光と共に現れた用紙を見て、多少驚かれてはいますが、きっと女神様の何かだろうということで、納得しているようです。」
う、うーん?なんか納得の仕方・・・。ま、まあいいわ。無事に完了したということは、あとは神託を飛ばした人達がそこへ向かうだけだね。カレンダーの前に気付けて良かった・・・。
なんだか終わった気になっていたけど、そういえばまだ残り数か所あるんだった、そこどうしようか・・・。
「残りそんなに無いけど、フォローできてない場所どうしよっか?」
「そうですね・・・、その近辺で学問の適性のある人を地道に探すしか・・・。」
「だよねえ・・・、はぁ、まあそんなに数も多くないし手分けしてやっちゃおう」
「はい、母様」
というわけで、シエルと手分けして適性のなるべく高めの人を探すことになった。全部で5か所くらいなので、そこまで苦戦するとは思わないけど・・・、コーマの使徒探しのせいで適性云々を探すの結構大変なイメージついてんのよね。コーマめ!うちの子達の使徒適性は探すの楽だったけどさ!
「とりあえず1以上で探してみるかな・・・っと、結構いるわね。1は結構な数いるから2以上に絞ってみよう・・・あら、これも割といる・・・?」
アーティファクトに導かれてはいないけど、結構な数の学問適性の高い人がいる。なんでだろ・・・?と頭をひねってみると、ふとあの生えた魔法の事が頭を過った。もしかして・・・もしかしてだけど、あの魔法を生やした人が他の人に教えたりして、適性生えたとか・・・?ま、まさかねえ。
まさかとは思いつつも、適性高めの人のステータスを見ると、見事に全員あの魔法が使えるようだった。なるほど・・・、ラプール民は勤勉ですねえ。
「他にも魔法生やしてる人いるのかしら・・・、ああ、違う違うそうじゃない、今はそれじゃない」
「母様・・・?どうかされましたか?」
「ううん、なんでもないの。関係ない事考えちゃってごめんね、作業に戻るわ」
独り言ブツブツ言っちゃってた私に、サボってんなよゴルァみたいな視線は向けられず、ただただ心配されてしまって心が痛い。ごめんよ・・・シエル。
気を取り直して3以上を検索してみると、お、引っ掛かった。しかも複数いるじゃん・・・。私が探したのは3か所で、結果的に選出したのは3が2人に4が1人。4て・・・ガルクさんと同じくらいの人か、学者さん向きなのかしら?
さっき考えていた事が気になってしまって、4の人を詳しく見てみる。さ、サボってるわけじゃないし!これも仕事の一環だし・・・?なんて自分に言い訳しつつ、良く見てみると・・・。
結論を言おう、生えてましたわ。私が見たことない魔法。見たことないっていうよりは、ラプールで見たことないが正しいかな・・・。
土魔法:鑑定(植物限定)
植物をよく観察していたら、身に付いた魔法です。薬として使える植物などを見極めることができます。毒がないかどうか、味はどうかが分かります。
若干微妙な鑑定魔法だった・・・。うちの大陸の魔法は大体食べる事に直結している気がする・・・。
乾いた笑いがでそうになるけど、今は魔法の事は置いておこう。選んだ3人に神託を飛ばし、最寄りの紙漉き施設へと転写をする。よし、これで私の担当箇所はオッケーだ。
「シエル、どう?いい感じの人いたかしら?」
「はい、母様・・・ちょっと絞り切れてない感じなので、見ていただけますか?」
シエルが迷うほどの人材なのか・・・、見るのがちょっと怖い気もするわ。とんでもないのとか引き当ててそうで・・・。
「どれどれ・・・あら、・・・4が二人に・・・5!?」
やはりとんでもないの引いてたーーーー!!!やだあーーー!!しかも1か所でその3人とか・・・。2か所目も4が3人ほどいた・・・。いやこれどうなのよ?めっちゃ学に飢えてるの?学校作れって事!?
思わず気が遠くなる感覚に囚われる。ど、どうしようか・・・。
「と、とりあえず詳しく見てみようか・・・。」
「はい・・・。」
困り顔のシエルと、冷や汗タラタラの私、二人とも若干テンパってる気がする。ここはギルを呼んでおくべき?
いや、ギリギリまで自分達で頑張ってみよう。すぐに頼ってたらいけない、と思う。
5の人をとりあえず見てみる事にした。・・・これは・・・凄い。魔法も色々生えてたけども、物凄い学者気質の人っぽいわ。教える側より研究者に近いのかもしれない。この人は適性高いけど、ちょっと保留・・・かな?
適性高けりゃいいってもんじゃないのね・・・難しい。




