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使徒増殖

 まさか一日で紙漉きをマスターして帰ってくるとは思ってなかったわ。


 カイ君をシエルが連れてきて、軽く挨拶した後すぐにギルの元へ、シエルに連れられて行ったのだけど。やる気に満ち溢れた様子のカイ君を連れて、シエルが私の部屋に戻ってきた。

 いや早すぎじゃない?カイ君の飲み込みが早かった?そ、そう・・・まあ無理してないのならいいわ。


 「施設の設置は終わってるわよ、あとはカイ君をラプールに降ろすだけね。」


 「ありがとうございます、アイリーン様!」


 これまた凄い勢いで頭を下げるもんだから、遠心力で頭に血が上ったりしないのかしら・・・と心配になったけど、大丈夫なようだ。うん、元気ねえ。

 コーマの作った入れ物も用意できるけど、カイ君はそのまま降りる事を選んだ。


 私の仕事はというと、周辺の3つの集落に紙漉きの一連の作業工程ができそうな人をピックアップして、その人たちに神託を配る事。そしたらカイ君の元へと誘われるというわけ。


 「ではカイ君が降りたら、私は神託を配るわね。使徒としての使命は、無理をせず頑張る事、いいわね?」


 カイ君の肩に両手をそっと置いて、無理は禁物という事を言い聞かせる。働きすぎ、ダメ絶対。


 「はいっ!アイリーン様の為、ラプールの為、誠心誠意頑張りたいと思います!僕を選んでくれてありがとうございました!」


 笑顔で答えてくれるけど、無理はしないとは言ってないよねえ・・・まあ、無理してるようならシエルに注意させに行かせるかなっ。


 「では、私はカイを施設へと送り届けてまいります。母様、また後程」


 「いってらっしゃいシエル、気を付けてね」


 いつもどおりのいってきますといってらっしゃいだ。ま、すぐ戻ってくるんだけども。



 カイ君とシエルが光に包まれ、私はそれを見届けると、すぐさま神託を飛ばした。ピックアップは既に完了してるのでその人たちに向けて念じるだけ。カイ君の職場になる、紙漉きの施設へ行ってほしいと。

 そこへ辿り着いたら、カイ君から紙についての説明と、紙漉きの工程についての説明を受けて、それから作業が始まるといった流れ。


 シエルとはまた違った形の使徒を使った一大事業だ、是非とも成功させたい。


 でもここにばかり集中していては時間が掛かり過ぎるから、涙を呑んで次の候補地、使徒候補を探す作業に移る。カイ君の居る場所は、大体ラプールの中央あたりなので外に向かって円を描くように、広めていく予定。集落の数自体は結構あるので、作業の量は今までの比じゃないくらいに多い。

 仕事の量が多いと、ちょっと充実してしまう社畜のような性質の自分がちょっとだけ憎いわ・・・。


 「ただいま戻りました、母様」


 「おかえりシエル、問題は?」


 「特に何も、何かあれば私が対応できるようにしてありますのでご心配には及びません」


 おぉ・・・シエルさん有能すぎやしませんか。


 「そう、なら次の候補地なんだけど───」


 こうして、シエルとの共同作業で10の地点での候補地にアタリをつけた。使徒候補は地道に探すしかないのだけど、案外簡単に見つかって拍子抜けしている。普通にいるもんなの・・・?一覧で探してみて思ったんだけど、使徒適性のない子がほぼいない。流石に5はいないけどね。


 「では、一気に行ってきますね」


 「さらっと言ってるけど、一気に行って大丈夫?半分ずつとかでもいいのよ?」


 「一気に行った方が教育も楽ですから」


 「そりゃそうだけど・・・シエルの負担が大きくないかしら・・・」


 「心配してくださってありがとうございます、母様。使徒として生まれておりますので、体の不調などとは縁のない存在です。負担などとは思っておりませんよ。」


 わかってはいても、心配になってしまう。心配性だけは神になろうが何になろうが変わらないんだろうなあ。


 「しんどかったら言うのよ、ちゃんと休みあげるから」


 ブラック天界の鬼上司女神とかになりたくないからね・・・!こんな可愛い子に無理はさせられませんよ!


 「ふふっ・・・ありがとうございます、では行ってまいりますね。」


 しょうがないなぁ~みたいな笑い方されてしまったわ。自分でもちょっとどうかと思うけどこういう何気ないやり取りに幸せを感じてしまう。そういえば、小さい頃私の母親も心配性で、よくこういうやりとりをしたような気がする。「お母さんは心配し過ぎ~」ってぶーたれてたわ、お母さんの気持ち、今ならちょっとは分かるよ・・・。産んでないけど。


 10の候補地の10人の使徒を、説得?しては次の場所へ行きを繰り返し、シエルは10人の使徒候補を連れて戻ってきた。2時間も経ってないと思うんだけど、早くない?

 狙ったわけではないけども、男女5人ずつだ。大人からカイ君くらいの子供まで色々いる。


「「「「よろしくお願いします、女神様!」」」」


 「あっはい」


 元気でよろしい。

 ちなみに、また1日でお勉強を終えていました。ラプール民有能すぎじゃない?あと入れ物に姿を変えたのは二人だけ。大人の人が若干若い感じになったって程度で、無難な見た目の子になってました。



 美少年人形は売れ残った。

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