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信仰と・・・

3人が初期配置を終え、こんな感じになったと報告しあっていると

ふと、お祈りしているようなアイコンが隅っこのほうに有る事に気が付いた。


「このアイコンなに?神様に祈ってる・・・?」


愛梨がアイコンを見ながら首を傾げていると


「あー、それは信仰アイコンだね、大陸の人々にどういった信仰を持たせるか、だね。そこにある自然を崇めるだとか神様~~って感じのを崇めるだとか、戦いの神や物造りの神だとか技術面の神様を崇めるとかだね」


と、言われても信仰がぼやけている日本人にはいまいちピンとこない。

お正月には神社にいって葬儀はお寺でやって、クリスマスを祝ったりするのだ、神仏入り乱れすぎて

信仰とは・・・?みたいになってる日本人が大半であろう。

神様を信じてないわけではないが、いるとも思っていない、そういうふわふわ~っとした価値観の中

生活してきた3人にはいきなり言われましてもとしか思えなかった。


「まあ、そこまで難しく考えなくても大体でいいんじゃない?君達の世界だ、好きにしていいんだよ」


「神様かあ・・・うーんうーん・・・ふ、普通にGODって感じの神様を信仰対象にしとこ・・・」

ザ・普通の愛梨の選択はやはり普通の神様信仰らしい。


「俺んとこはやっぱドラゴン信仰と・・・モノ造りの神様だな、にゃんこは自由、神などいない」

もうにゃんこ教でいいのでは。


「やっぱエルフといえば精霊、つまり精霊信仰だね!」

エルフに対する偏見が凄い、きっと日本人の多くに見られる傾向かもしれない。


現在は信仰を決定するだけのフェーズなので何も起こらないが

愛梨の選択は神の名のもとに自分たち以外を支配しようとする思想をもった者が現れやすい傾向にある。

見方を変えると、安寧を得やすく纏まり易い。簡単に言うと一致団結しやすい。


信の選択は力いずパワー!みたいな脳筋だらけになりやすく、融通が利かない。

しかしトップさえしっかりしていればちゃんと纏まる。そこが崩れた時が危ういともいう。


澄香の選択は大自然を敬愛し、ぱっと見美しい信仰ではあるが、超絶保守的なガッチガチの頭硬いマンだらけになるともいう。

自然を破壊するものには鉄槌を!


「(いや~凄くすっぱり分かれたねえ・・・これは面白くなってきたな)」


初期設定が終わり、いったん休憩しにリアルに戻りますか~となった。


そしてログアウトしようとするとログアウトコマンドがないことに3人は気づく

それに準ずるアイコンも見当たらない、あるのは浮かぶ惑星と左下のほうになにやら忙しく動いている数字だけ。


「あれ、ログアウトどこー?」


惑星模型のまわりをくるくるまわってみたり、白い部屋を見回したりしてみても

見当たらない。

そういえばVRなのにこの生身の感覚はなんだろう、でも喉も乾かないし小腹も空いてこない。


ゲームを始めてから数時間は経っているはずなのに。



何かおかしい。



不穏な空気が流れだしたところでギルが申し訳なさそうに発言する。



「あー、あのね。ひじょーに申し訳ないんだけど・・・」



混乱した頭を必死に落ち着かせながら3人はギルの次の言葉を待つ。



神「君たちは神になりましたので。」






「「「は?????」」」




呆然、といった様子の3人

脳みそのほうはまだ再起動がかからないようだ。

ぽかんと口を開け目を瞠る、脳内ではどういうこと、どういうこと、どういうこと!?と

リフレインするばかりで思考ができないでいる。


「ど、どういう・・・こと」


思考ができないまま絞り出すように愛梨がギルに問う。

理解が追い付かない、神?自分が?これは夢なの?リアルなの?訳が分からない!


ギルはんーーと人差し指を唇に当てしばし考えたのち


「ええっとね・・・これはゲームみたいに作ってあるけど、実際にある惑星なんだ。君たちはこの星の創造神になったんだ、そして僕は君たちの監督役を仰せつかっているんだ、あ、神だよ僕も」


「「「いやいやいやいや」」」


3人のツッコミも意に介さず、ギルは続ける


「まあ既に元の世界には戻れないんだよね、大陸造ったりしてるのもちゃんと惑星の時間は流れててね?超絶早送りで見てる感じなんだよね。だからもうすでに君達の居た時間軸からは数億年が経過しているのさ」



「そん・・・・な・・・」


限界まで見開いた目から、ポロポロと涙が零れだす。

つい数時間前までいたリアルの世界は既に億単位で過ぎ去っていて自分たちに帰る場所がないというのだ。

到底信じられるわけもないが、零れた涙の感覚がこれがリアルなのだと物語っている。

普通に生きてきて、普通に仕事して、普通に遊んで・・・

その普通が唐突に消え失せた。

とてつもない喪失感に気が遠くなりかけていると



「え~、じゃあもっと可愛くキャラメイクするんだった・・・」



「「そこ(かよ)!?」」


全力のツッコミに気が引き戻された。

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