ネルの初仕事その3
※ネル視点です
チーム分けは一週間ごとに交代してます、様々な事ができるようになるためです。あ、この世界にはまだ暦というものがないようなので、コーマの世界の感覚でやっております、村人たちには日が昇り明るくなったら一日の始まりで、それが七回で交代というふうに説明してます。ちゃんと理解されました、魔物といえども知性ある者達ですからとても賢いです。
簡単な事もすぐ忘れてダラけているコーマとはえらい違いです。
開墾も順調ですし、水路ももうすぐ集落の近くにまで来ています。あとは溜池というものを作るんでしたね。水は重要ですから。
畑にするのに十分となった土地には早速色々な種を蒔きました。これもコーマから持たされた物の一つですが、一代限りのものではなく、ちゃんとまた種が取れるようになっているものみたいです。
毎日毎日、集落の者達は良く働きます。他の集落は以前にちらっと見かけたくらいですが、その集落に負けるとも劣らない働き者ばかりだと思っております。とくに喧嘩も起こっておりませんね、穏やかMAX凄いです。
「ネル様!種を蒔いたところから芽が出てきました!」
「おぉ、それはよかったです。毎日あなた方がよく育つように祈りを込めている成果がでましたね」
そう、魔法はロクに使えない魔物ですが、願いを込めて魔力を放出するという行為自体はできるようだったので、試しに「作物がよく育ちますように」と願いながら魔力を畑に与えてみては?と提案してみたのです。
試みとしては成功ですね、これは魔法と呼べるものに昇華できるのではないでしょうか?畑魔法ですね!
「では引き続き、畑の方のお世話もよろしくお願いしますね」
「はいっ!」
そう言うと、さっと踵を返し畑のある方角へと走って行ってしまいました。芽が出た報告の為だけにここにきたんですか・・・ホロリ。
畑ゴブさんが立ち去ったあと、今度は別の方がきましたね。
「ネル様!村の周りを囲った柵の強化が完了しました!」
「おぉ、案外早く終わりましたね、では伐採チームの人たちの次の仕事は家造りですね、休憩の後にチームの人たちはこちらに集まって下さるようお伝え願えますか?」
「分かりました!少しだけ休憩を頂いてからここに集合します!」
そういうと、この方も元気よく走って行かれました。なんかめちゃめちゃ元気ですね・・・。休憩している間に柵をささっと確認しておきます。
ほうほう、中々頑丈にできましたね。これならその辺のしょぼい魔物程度は村に入ることは出来ないでしょう。安心して寝れますね、睡眠は大事なので。
畑で作物が取れるようになれば、それを元手にもっと色々な道具を手に入れて、お家の方もグレードアップできますから、それまでは丸太と土を組み合わせた家を作りましょうかね。
一応建築の簡単な知識はギル様からいただいておりますが、複雑な物になると一度戻って知識を得ないといけません。でもあちらの時間とこちらの時間では流れの速さが違うそうなので、迂闊に戻ってしまうと、私不在でしばらく進めないといけないということになってしまいます。
なので、今ある知識を全て吐き出した後、暫く時間を頂くという形にしようかと思っております。
これからの計画を頭の中で練っていると、休憩を終えた伐採チームが隊列を組んで走ってきました。ああ、せっかく休憩したのに走ったら意味ないのでは・・・。
「ネル様、お待たせいたしました。伐採チーム推参致しました」
なんだか仰々しい言い方ですね・・・、まあいいですけど。
「はい、ご苦労様です。ではこれからの伐採チームの仕事内容なんですが・・・」
地面に図を描いて、基礎の工事から建築の基本のきをレクチャーしていきます。幸いにも理解できないといった方は出てきませんでした。何気にここの集落の者達は能力が結構高い気がします。私も負けていられませんね!
一通り説明を終えて、質問がないか尋ねておきます。はい、特にないですね?
「では、今日は皆さまお仕事ひと段落してお疲れでしょうから、明日に備えて休んでください。明日からは家を建てるの頑張りましょう!」
「「「「はいっ!」」」」
うむ、元気があってよろしい。
休む時は休めと言えば、ですが・・・とかでも・・・とか、変な意地を張って休まない人はここにはおりません。それはとても良い事です。
アイリーン様は結構休まずに「まだ・・・もうちょっとだけ・・・」とか言いながら続けちゃうタイプなんだそうです、いくら神様でもちゃんと休んでくださいね。
あ、コーマはもっと働いた方がいいです。
ああ、暫く会ってないと、シエルちゃんやアイリーン様やシュミカさんが恋しく感じますね・・・、ここの集落の皆さんも優しくて毎日が充実はしているのですが、それでもちょっと、寂しいです。
ここでの仕事が終わったらまた皆でてんねんおんせんに行きたいですね・・・。
ハッ・・・!お風呂を作らねば・・・!!




