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ラプール民が魔法を手に入れた

 石像の前に配置する予定の石碑が出来上がった。結局文字はなんか文言考えると恥ずかしくなってきて、企画倒れ。だってなんか偉そうでちょっと・・・ねえ?

 ま、それはいいとして、子供でも触れる高さの石碑の上の部分に手のひらのマークを入れた。ここに触れてね!っていうのが伝わればいいなぁ、と思っての事なので深い意味はない。


 「さて、皆が寝静まった時間に一気に配置して・・・神託は夢でいいかな」


 「ラプールでは夜更かししている悪い子はいませんものね」


 「うんうん、娯楽もまだ特にないからね・・・そっちも追々だねえ」


 「そうですね、楽しい事があれば、人々の心にも潤いが生まれると思います」


 そんなやり取りをしながら皆が寝静まった時間に、ラプール大陸の神殿を一気に選択して石碑を一括配置!

そんな派手なエフェクトはないです、ゲームじゃないので。配置したらスッと石碑が現れるといった感じで、確認してみるとちゃんと石像の前に現れたようだ。


 そんでもって次は神託だね、石碑の手のマークに手を当てて、魔法が使えるようになる夢を大陸全土に伝える。人族だけでなく数はそんなに居ないけど、獣人の皆にももれなく夢を見せる。


 「喜んでくれるといいわね・・・」


 怖がったりしないといいなぁと、ちょっとした不安も抱えつつ神託は完了。あとは皆が夢から覚めるのを待つだけだ。


 「きっと喜んでくれますよ、生活が多少でも豊かになればまた母様への信仰も厚いものとなりますね」


 う、うーん、信仰は別に・・・まあないよりはある方がいいかもだけど。神様やり始めて大陸の時間的にはかなり経ったけど、体感の時間はまだ半年も経ってない程度なのよね。だから崇められる事には、未だにちょっと抵抗がある。元々は一般庶民だから仕方ない。


 下界の時間は経過するのが早いのであっという間に朝だ。どこでも神殿はあるから、どこのを見ようかしら・・・、とどれにしようかな~と選んでいると、ガルクさんの名前が見えたので、その集落の神殿をズームしてみた。

 朝、目覚めた人たちが続々と神殿へ向かっていくのが見える。


 なんかガルクさんが一番乗りしてるわね。流石ギルに熱狂的なファン呼ばわりされるだけはある。


 あっ、石碑見つけてダッシュした!足元気を付けてね!転ばないようにね!と、聞こえはしないのだけど無駄に応援してしまった。隣でシエルがそんな私を微笑ましく見ている・・・立場が逆な気がするわ。


 石碑に手を当てて、うすぼんやりした光に包まれたガルクさん、次第に光が消えると一気に目を見開き、目覚めた魔法の力を確かめるように手を見つめていた。


 あっ、ライト唱えた。よしよし、ちゃんと発動してるわね。


 ガルクさんが石碑から離れた後、次から次へと石碑に手を触れて、光に包まれていく人々。自分の中の魔力を認識することに失敗した人はいまのところ見当たらないようだ。よかったよかった。


 あ、畑に向かって走っていった人もいる!土鑑定の魔法を使いに行ったんだね、よかったちゃんと理解したみたいで。土鑑定を使った様子の人は、暫く畑を眺めた後に、どこかへ行ってしまった。

 土壌改良のヒントでも貰ったのかしら?鑑定だけなので劇的に収穫が上がるとかそういうのではないけども、しっかり活用しようとしてくれてるのを見て一安心。


 他も、各ご家庭でコップに水を入れて飲んでいる様子が見られた。


 「なんとか・・・大丈夫そうね」


 「はい、他の集落にも問題はなさそうです」


 私がガルクさんが滞在してる集落を見ている間にも、シエルはきっちり他の集落をチェック完了していた。なんというできる部下・・・!


 「チェックありがとうね、助かるわ」


 シエルの頭を一撫でして微笑みかけると、一瞬だけ目を瞠り、満面の笑みを浮かべた。


 「母様のお役に立てて嬉しいですっ」


 なんという可愛さか。私の頭の中はもうシエルの笑顔でお祭り状態になっていた。仕事しろ仕事。


 齎された魔法によって、産業革命が起きたりだとかはないのだけども、少しでも人々の生活が豊かになりますようにと祈った。


 早速魔法を使う人、大人が見本をやってみせて、子供も使ってみる。発動が全然上手くいかないといった事はないようで、無事にラプールに「魔法」が広まった。これからこの「魔法」を元に、様々な魔法が開発されることを願う。


 達成感を感じていると


 「お、上手くいったみたい?」


 珍しくギルから通信が入った。自動ヘルプ機能搭載とはやりおる。


 「ええ、特に問題はなさそうよ」


 「それは良かった、じゃあ次は紙漉きあたりかな?文字も結構広まってきたし、魔法の事を研究する人が現れるにしても紙は欲しいよね」


 「あー、そういや文字広めてもまだ木簡とかだわ・・・、紙っていうと時代的になんか羊皮紙のイメージあるけど、なんかいきなり羊さん使うのもねえ・・・」


 紙か・・・和紙・・・なんか木の皮剥いで煮詰めてみたいなやつあったよね・・・。なんかテレビの特集で見た事あったなあ・・・でもあれなら今のラプールの大陸でも作れそうな気はする。


 「なんか原材料の木で良さそうなのあれば見ておくわ」


 「また分かんない事あれば、いつでも聞いてね~」


 さて、次の目標が決まったぞ!

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