シエル
※シエルの視点です
ごきげんよう、私はアイリーン様の使徒であるシエルと申します。アイリーン様が愛を注いでお育てになっている大陸に生まれ落ちた魂から私は生まれました。
生まれながらにして、使徒適性は5、なるべくしてなったということですね。
ラプール大陸での使徒適性の生まれやすさは、恐らく”異常”でしょう、と私は思っております。通常であれば数十年に一度適性1~2くらいの者が大陸に一人や二人といった程度でしょうか。現在ラプール大陸では使徒適性を持たない者の方が少ないくらいなのです・・・。母様はそれが普通の感覚になっていて、少々神々の常識にはとらわれておりませんね。
偉大なる母、大陸の女神。その下で働きたいと願う者は多いのです、競争率が激しすぎると思います。
他の星の事は分かりませんが、きっと全宇宙で母様の大陸が使徒の生まれやすさは一番であると、私は思うのです。ただの勘ですけども。
母様のお仕事は、基本的には大陸の住民のステータスをチェックして、困っている事がないかを見つけ、それを解決に導くというものです。その問題が凡そ解決し、特にやる事がない・・・となった時には、母様のやりたいことをやる、といった感じでございます。以前はお一人でやってらっしゃったようなのですが、私が生まれたことで、作業を分担するということが出来て、随分助かっていると言われました。光栄です。
使徒であり、娘であり、仕事仲間でもある。なんと光栄なのでしょうか・・・私は幸せ者の使徒ですね。
母様のやりたいと思うことをサポートするのが私の使命ですが、母様を取り巻く環境を整える事も大事な仕事だと思っております。なのでコーマ様の”やらかし”を上手く収める、そういうことも母様の精神的負担を取り除くという点においては大事な事だと思います。
今回、コーマ様においては、仕事をあまりなされていない様子でしたので、少々苦言を呈しましたところ、快く聞き入れて下さったので、大事には至りませんでした。母様も喜んでくださったかしら?
ネル先輩もちゃんとした使徒の仕事をようやく貰えそうな運びになったのは、とても喜ばしい事でございますね。使徒として使命を果たせないのは、神々が思うよりも苦しいものです。何もしなくてもいいよと言われるのはとても寂しいし苦しいのです、ネル先輩の安寧も確保できて、ロクスト大陸も発展できる、つまりトリルという星が発展する。
そう、それは母様にも繋がる事なのです。
色々お堅い事を言いましたが、私は母様が大好きで大好きで仕方ないので、母様の為になる事ならなんだってしますよ。魔法の適性だって5もありますし、やれる事の幅はかなりあると思います。
次の仕事が楽しみですね・・・ふふふ。
私は、今回の文字を広めるという使命を負ったガルクを結構評価しておりますから、彼が仲間になるのなら喜んで受け入れる用意はできておりますが、彼が下界で働き続けたいと望むなら、私も出来る限りのサポートはしたいと思ってます。私の後輩にあたるわけですから、後輩は大事にしないといけませんって母様が言ってらしたので、滅茶苦茶大事にしますよ。
次に母様が考えるのは・・・そうですね・・・魔法に関しての事・・・でしょうか?
ラプール大陸には現在魔法の概念がありません。使う必要もなかったし、適性を持った初めての魂が私だったので、それが召し上げられ、再び適性を持つ者がいなくなりました。魔法を使う必要性もない、というのも大きな原因ではあるのですが、私はそろそろ簡単な魔法も少しは広めた方がいいと思うんですよね。
魔法を使えるのはエルフや精霊に属するもの、あとドワーフも限定的に使えるとの事ですが、魔法を使えない種族というのにも魔力は存在するのです。使い方が分からないだけで、魔力は体内にあるのです。
母様は、魔法が発展してしまうと、科学が発展しない可能性があると懸念されておられるのですが、それもよく理解できます。なんでもかんでもそれで解決!となってしまうと人は考える事を止めてしまう可能性があるのでしょう。そこはバランスが大事かと存じます。
そうですね・・・回復魔法とざっくり言いますと「怪我を治す」と、なるのですが、魔法だけで治すのが余り良くないというのは私にもわかります。怪我をしたら、まずは傷口を綺麗にします、現在は水で洗い流すという形をとっておりますが、母様の居た世界では消毒液という傷口の細菌を除去する液体を使うそうです。では、魔法でその細菌を殺すというのをやってみるのはどうでしょうか?
医学はまだまだ発展しておらず、消毒液というものが登場するまでには時間が掛かり過ぎると思うのです。
一例を挙げてみましたが、こういった”補助”的な魔法を私は広めたらいいのではないかと思うわけでございます。
まあ、魔法も大事だとは思うんですが、人々の持って生まれた素質も影響する事ですから、徐々に・・・ですね。一つ一つじっくりやるのが人々にとっての悪影響はあまりない、という母様のお考えは素晴らしいと思います、愛されているという実感が湧いてきます。
つらつらと私の考えを述べさせていただきましたが、私は母様の為に働きたいという事がお分かりいただけましたでしょうか?
え?ご理解できないのならまた暫く母様の素晴らしさを小一時間ほど、お話いたしましょうか?
ふふ・・・ご遠慮なさらずに・・・。
まあいいでしょう、いずれ理解できるときが来るでしょうから、その時はまたお話ししましょうね?




