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使徒の適性は生える。

 シエルの提案で、使徒にも降臨の時の器にも使える入れ物部屋を創った事を、予定通り定時連絡会で報告すると、ネルの反応はコーマが考えていたよりも良いものだった。


 「ほほー、コーマもたまには役に立つことをするんですね」


 言いぐさは兎も角であるが。


 「ギルが降臨する時いつもライオンちゃんだから、別の動物も作ってほしいな~」


 シュミカは別に必要ではないのだが、なぜかリクエストしてくる。


 「分かった、うさぎとかでいいか?」


 「ファンタジーっぽく、羽の生えたうさぎとかだめ?」


 「うさぎはいいのか・・・まあ創っとく」


 新種のうさぎは一体だれが使うのだろう・・・、魔法少女か?


 それぞれが、それなりの感想を述べ、美少年人形と部屋で過ごしていた事は闇に葬られた。


 「あ、そうだ、アーティファクトを渡したガルクさんなんだけど・・・」


 コーマが人形を創ったり部屋を作ったりしている間に、多少の時間が経過しているので、地上では年単位が経過しようとしていた。つい先日の事なのだが、順調に識字率が上がっている。学問の適性3以上の人もじわっと増えていた。


 「どうかしたの?文字を広めるのは順調なんだよね?」


 「それはかなり順調な感じで、下の時間であと10年も経てば全土に広がりそうな勢いよ、それはいいんだけど、あのガルクさんにいつの間にか使徒適性が生えてたんだけど・・・。」


 「!?使徒適性って生えてくるもんなのか???」


 ギルよりもコーマが物凄い勢いで食いついた、生まれ持った適性でしかないと思っていたからだ。


 「そんな頻繁にあるわけじゃないけど、なくはないね。彼は使命に目覚め、受け入れ、それを実行しているから・・・適性が芽生えても不思議じゃない。でも安易にアーティファクトを与えて生やそうとかしないようにねコーマ」


 先回りして釘を刺してくるあたり、だいぶコーマの事を分かってきたと思う。


 「あー、そっか・・・女神の為に働いてる状況だもんね・・・なるほど」


 「ちなみに適性のレベルはいくつだったの?」


 「生えたばっかりだと思うんだけど、既に4になってたわ」


 「それはまた・・・流石熱烈なファンは一味違うね・・・」


 「言い方!」


 事実だ。


 「では母様、ガルクも使徒に迎えるのですか?」


 「それが迷うとこなんだよねえ・・・ガルクさん結構優秀だし、下界に居てもらいたい気持ちはあるのよ、今生を終えたら転生するかこちらに迎えるか自分で選んでもらおうかな?」


 「そうだね、その時は一旦シエルに迎えに行ってもらって、ここで話聞いてから転生か入れ物に入ってもらうか決めてもらおう。」


 「おぉ、強くてニューゲームみたいな感じになるのか?」


 「全部を引き継げるわけじゃないよ、適性はそのままになるけど。あと転生だと祝福(ギフト)を与える事が可能になる、それも含めて相談だね」


 与えれる物にも限りというか制限があるので、そこはその時になってみないと分からない。ガルクさんが何を望むかも今のところ不明だし、一応まだ30代くらいなので使命を終える時が来るのはまだ少し先になるだろう。

 ラプール大陸の平均寿命は、それなりに長くて70代くらいなので、何事もなければあと40年ほどでガルクさんとの相談の時が来る。下の世界の時間なのでやろうと思えば明日にでも40年後・・・とかできるけど、飛ばしている間に何事かあってお亡くなりに・・・とかないわけではないので、ここは慎重に行くべきだろう。

 案外長生きするかもしれないけども。


 「普通に強くてニューゲームが通じてて、ツッコミすら入らない事に俺は驚いてる」


 ギルの適応力が凄いのか、全員のスルースキルが凄いのか。


 「では、その時が来ましたら、アーティファクトと共にガルクは私が迎えに行きますね」


 「ええ、お願いねシエル」


 ガルクさんの今後は彼の選択次第だが、その準備についての話は纏まった。不安要素は早めに準備しておくに限る、精神的にも楽になるし。


 「それで、コーマはまだ私を使う予定ないの?ちゃんと仕事してるの?」


 思わぬところから飛び火した。ネルちゃんは使徒のお勉強も終え、現在は割とヒマしている。シュミカとよく遊んでいるようだ。


 「仕事はしてるが、どこで使うか今考えてるとこ。もーちょいだけ待っててな」


 ぽんぽんっとネルちゃんの頭に手を置くのを見て「あ、コーマへの態度が軟化してる」ってちょっと思ってしまった。前は触らせてもらえなかったもんね・・・。というか、仕事ちゃんとしてたんだ・・・ぐうたらしてるとばっかり思ってたわ。


 シエルの報告では、あまり仕事はしていなかったっぽかったから、その後から心を入れ替えたってところかしらね?まあ、真面目にやるのはいいことだわ。


 物凄い不満顔ながらも、ネルちゃんは使徒としての役目を果たそうとしているのが良く分かる。尊敬されるかどうかは兎も角、ちゃんと認められるようになるといいわね・・・と生暖かい視線でロクストコンビを見守ってしまうのであった。

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