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シエルが解決してくれました

 美少年人形と二人きりのコーマの部屋にシエルは突然やってきた。


 「うおっ!?」


 「突然ですが、失礼いたします」


 「扉開けてからノックするその感じ!」


 「扉はありませんので」


 「そうだけど!いやまあ・・・で、何か用か?」


 「薄々分かってらっしゃるとは思いますけど、そこにおります人形についての事でございます。コーマ様の大陸には使徒の適性を持った魂が非常に生まれにくいと聞いておりますが、その事は理解しておいでですよね?そしてネルさんが生まれる時もそれにかかりきりになって、大陸の事を放置しておられたとか。これも事実で間違いございませんね?

 それを理解した上で、その人形を作った、という認識で間違いございませんでしょうか?」


 淡々と事実を述べていくシエル、責められているわけではないが、逃げ場がどんどん無くなっていくような感覚に襲われる。怖いこの子!


 「・・・間違いございません・・・。」


 思わず敬語で返してしまう。


 「そして、その人形を作ってからも、前回と同じように大陸の発展についての仕事をあまりしておられませんよね?」


 「ま、まあ・・・そうです、ハイ」


 ぶっちゃけ、ほったらかしてても少しずつ発展はしていってるからな・・・、ゴロゴロしてる時間が増えてきているのは事実だ、あと使徒の適性チェックするくらいしかまともに大陸を見てない。


 「文化レベルも上がってない、使徒の仕事もないのに、新たに使徒をお創りになられた、という事ですよね?」


 つまり、ネルの仕事もまだないのに何新しく使徒作ろうとしてんだゴルァってことですよねー・・・やばい、これはヤバイ・・・。言われるまでなんとなく大丈夫だろって思ってたけど、これは大丈夫じゃねえわ、下手したらネルが使徒やめるって言いだすレベルじゃないか?


 ここにきて、やっと事態の深刻さに気付くコーマ。


 「その様子ですと、たった今、まずさに気付いたというところですかね。でも一度作った入れ物を壊すのも躊躇われる、と・・・。」


 もはや言葉もなく、コクコクと首を縦に振る事しかできなくなったコーマを見て、シエルは小さな溜息を一つつく。

 地味にショックだ。


 「そこで、私からの提案なのですが」


 ここから延々と説教が始まるのかと思って覚悟していたコーマだったが、思わぬ助け舟が入るかもしれないという期待感が少しだけ湧いた。


 シエルの提案は・・・


 「使徒の入れ物部屋をお創りになって、そこへ様々な見た目の使徒の入れ物を創ってお入れになってくださいまし、共有財産という形で。入れ物さえあれば、何かあった時にすぐに使うこともできますし、私からの提案ということにしておけば、サボっていたこともネルさんにはバレません」


 神か・・・!いや使徒だ。


 「器があれば、神の身なれど地上に降臨することもできるようになるかと。母様は地上に降りられた時、とてもその感覚を懐かしんでおられました。自分の大陸では母様は顔を全土に知られておりますので自由に降臨は無理なのです。ギル様にも私から提案する事だって可能になるのです、これはコーマ様にとっても良い話だと思います」


 なるほど、お忍びで降臨する時にその都度違う入れ物でいけば、バレることはまずないか・・・。俺もネルと一緒に降臨して現地を視察ということだって不可能ではなくなる。

 そのままの姿での降臨は無理だろうけど、これならまだ許可は出しやすいか。賢いな・・・。


 「分かった、その提案、全力で乗っかる」


 早速部屋を新しく創り、そこへ美少年人形を移動させる、次に新しく入れ物を創る。これは種族も性別もランダムで色々な種類を創っていく、とりあえず5体くらい作ってから皆に報告するとしよう。シエルのそれでいいかと尋ねると、OKが出た。


 ・黒髪の美少年人形

 ・銀髪短髪の大人の美麗な男性人形

 ・金髪でポニーテールの大人の女性人形

 ・茶髪で三つ編みの12,3歳程度の少女人形

 ・黒髪長髪の15歳程度の少女人形

 ・茶髪で猫耳の大人の女性人形


 ここは女性が多めなので、女性人形を中心にした。とりあえずはこれで、後々リクエストがあれば聞いていくという形をとれば問題はないだろう。気に入った入れ物があれば、次の使徒にしてもいいしな。

 服装は全員簡素な貫頭衣みたいなものにしておいた、使う時の時代というか文化?に合わせた方がいいだろうからその時に服は作ればいい。

 部屋にそれぞれ椅子を作り、そこに座らせておく。寝かせておくとなんだか死体安置所みたいでちょっと怖いしな・・・。


 一応の完成をシエルに報告し、確認してもらうと、アイリーンとギルに報告するといって一瞬で消えていった。中々敏腕だわ・・・使徒の適性高いと知性も高まるんかね?


 これで、俺がネルに一生嫌われるフラグは、折れたと思いたい・・・、大丈夫だよな?と次の定時連絡会で発表することになる人形部屋に佇みながら、冷や汗を拭う。

 今回はまだこうやってシエルが協力してくれたから、なんとかなったけど、ちょっと短慮すぎたよな・・・。ゲーム感覚がまだ完全に抜けてなかったんだろうなあ・・・、もうちっと真面目にやるか。


 その後、アイリーンとギルに説明をしてくれたシエルが帰ってきて、OKサインを出してくれたので、ひとまずこの件は上手く収まりそうだと、胸をなでおろすコーマであった。

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