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コーマの迷走

 女性陣が温泉でキャッキャウフフしている頃、不貞寝中のコーマはというと・・・。


 「この天界?には男が少なすぎるから地位も低下してるんじゃないのか」


 迷走していた。


 「次もし適性もったやつが出てきたら男の入れ物創ろう、いや今から入れ物だけでも創ろう」


 かろうじてレベルですら結構時間がかかったのに、その事はすっかり忘れているコーマだった。もう使徒を作る事を目標としていて、使徒が必要になるような問題がないからいいものの、色々ダメな感じがする。ネルからの評価が低いのは、当然の結果のような気もする。


 考えるよりも先に行動に起こしたコーマが、新たに創ったのは13,4歳くらいの少年だった。現時点では魂も入っていないので完全に人形である、そして美少年の人形を部屋に置いているコーマが変な誤解を受けるのはまた別の話。

 使徒の入れ物として用意された少年は、コーマと同じく褐色肌の黒髪で、少し癖のついた短髪だ。お揃いにすることにより、コーマの使徒という印象を与えたいらしい。Q:誰に? A:それは使徒本人に。

 どうやら、ネルに拒絶されたのが割とガチでショックだったらしく、同じ悲劇を二度と産まない為にも、まずは見た目から入るところがコーマっぽい。


 「うん、まあこんなもんだろ!後は適性を持った魂を見つけるだけだ!」


 出来上がった美少年人形を満足げに眺め、コーマの迷走は継続されていくのであった。



────────────────────────────────────────



 何かを察知したように、ライオンになったギルが頭をあげる。


 「どうかしたの?ギル」


 温泉で遊んでいたシュミカは一旦休憩と称して、ギルの近くへと泳いで来ていた。広すぎるので・・・。


 「いや・・・なんでもないよ」


 何かを言おうとして、静かに首を横に振り、何もないとギルは言う。こういう時は大体何かがあるのだが、聞いても答えてくれることはほぼない。どうせロクでもないことか、居残りのコーマが何かやらかしてるかだろうと思い、シュミカはそれ以上尋ねる事は無かった。



 (何やってんだよ・・・コーマ・・・)


 今すぐにでも頭を抱えてしまいたいが、温泉を楽しんでいる女性陣に余計な心配をかけてしまうことと、帰った後に低下するであろうコーマの評価の事を慮って、頑張って耐えた。


 (とりあえず、帰ったら説教だな・・・)


 そう心に誓ったのであった。


────────────────────────────────────────


 「まー、直ぐには現れないだろうし、あいつらもまだ帰ってきそうにないし昼寝でもすっかな~」


 仕事しろ仕事。特に何の仕事もしないまま、温泉組が返ってくるまで惰眠を貪るコーマであった。

 ちなみに、あれからは特になにもせずにじわりじわりと人口が増えてはいっている、ロクスト大陸。新種族であるアラクネさん達と他の種族の間には、何の問題も発生はしていない。衣類に華やかさが生まれ、アラクネさん達にもドワーフの造った道具の色々が持ち込まれ、相互発展を遂げている。

 割と空気だったドラゴニュートの里にもカラフルな衣服が猫獣人達により持ち込まれ、それはそれで独自の進化を遂げていくのだが、それはまだ先の話になりそうだ。


 沼地帯に住んでいるリザードマン達は相変わらずマッパのままである。にゃんこはそっちにはいかないので。


 麓が少しずつ賑やかになっていくと、ドラゴニュートの里のある山に住んでいるというかいつも寝ているドラゴンも、その様子を見にちょいちょい降りてくるようになったとかならなかったとか。

 ロクスト大陸に住んでいるドラゴンは、気性が大変穏やかに設定されている。巣に踏み込み者もいないし、麓に住んでいるのはドラゴンを神とあがめるドラゴニュート達、猫獣人達もそれを良く分かっている。力を奮う必要がないからである。戦えば強いよきっと。


 むさくるしい大地であるロクスト大陸であったが、意外と棲み分けがちゃんとできていて、創造主に祈りを捧げる程困った事もないので、余計に使徒適性のある者が生まれないという負(?)のスパイラルが出来上がっている事を、コーマは全く気付いていないという・・・。


 今のままでは、美少年人形と自堕落に過ごす神という構図が出来上がってしまうのだが・・・。


 ネルに尊敬される未来は遠い、そしてほぼない。ついでに地位も向上しない。

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