使徒お披露目
「というわけで、この子が私の使徒です!」
シエルが目覚めたのは一応皆に報告はしてあったのだが、姿はまだギルくらいしか知らなかったので、改めての報告かねて、お披露目である。
「「おぉ・・・・」」
ふふふ、あまりの可愛さに言葉も出ないでしょう、そうでしょう、可愛いですからね!とは言葉に出さずにドヤ顔ですべてを語る。
「シエル、と申します。よろしくお願いしますね、皆さま」
ふんわりとレースを散りばめたスカートの端を持ち、カーテシーを決めるシエル。可愛い(語彙力は失ったままらしい)
ザ・女神という出で立ちの自分とお揃いにしたかったのだが、可愛らしい少女を飾り立てたい意欲にあっさりと敗北し、このような若干ゴテゴテした洋服となった経緯はアイリーンの胸の中にしまっておく。きっとドン引きされてしまう。
「よろしくね!シエルちゃん!私はシュミカだよ~アイリーンの人間時代からの友達!」
再起動を果たしたシュミカが、元気よく右手を挙げて自己紹介をする。高校時代からの~という言い方は高校がないこの世界では通じないし、現在は人間でもないので正解なのだが、なんともまあ面白い自己紹介だなぁとアイリーンは思った。
「私はネルといいます!一応コーマの使徒という事になってますけど、アイリーン様をお慕いしております!」
一応(笑)
「一応じゃねえ、俺の使徒だよ!(涙目)俺はコーマという、アイリーンとは幼馴染だから付き合いは長いぞ」
涙目でツッコミとか、もう神の威厳もへったくれもない。そう、幼馴染だから付き合いだけは長いのだ。付き合い”だけ”は・・・。昔からの付き合いで家族ぐるみでっていうと、もはや家族と同等の意識しかなく、同じ年の弟くらいの認識しかないのだ。
「僕はギル、この白い部屋で使徒の育成を主に担当することになってるよ、今はね」
元々は私たちのサポート要員だった気がするのだが、引率の先生感が最近半端ないので、自己紹介も自然とこうなってしまった。見えるところでも見えないところでも苦労をする、それがギル。
「では、私はこれから暫くは使徒としての教育をここで施されるわけですね?」
「理解が早くて助かるよ、使徒としての教育もそうだけど、君は魔法の適性が物凄く高いから、そっちもここで制御の練習だね」
「分かりました、寝泊まりは母様の所へ戻っても構いませんか?」
「いいよ~、寝ても寝なくても体に不具合は起きないようになってるけど、生活のリズムはあったほうがいいからね・・・ん?」
普通にスルーしてしまったが、シエルの発した言葉に引っ掛かりを覚えたのはギルだけではない。
「「「「かあさま?」」」」
「ええ、ラプールに生まれた魂は等しく母様の子、なので私がアイリーン様の事を母様とお呼びしても問題ないと、そう言われましたので」
それの何がおかしいの?くらいの堂々とした受け答えである。そこに迷いも恥ずかしさも、欠片ほども存在しない。
「えっ、べ、別に変じゃないでしょ?私の使徒イコール私の子みたいなもんでしょ!可哀そうな人を見るような視線を向けないで!」
「理論としては間違ってない、と思う」
「前の世界でも神様は父だったもんねえ・・・」
「本人たちがいいんなら、問題ないと思うよ」
「うらやましいです・・・」
それぞれが口々に感想を述べていくが、その視線は生暖かい。(ネルを除く)
「年頃の娘に嫌われて、ゴミを見る様な目でネルちゃんに見られてるコーマにだけはそんな目で見られたくないわ」
「なんで俺だけピンポイントで攻撃するんだよ!?あとそんな中年オヤジみたいな扱いなのか俺は!?」
「コーマがお父様とかきもちわるい」
「俺の使徒、厳しすぎじゃない!?」
そんなドタバタがありつつも、シエルのお披露目は無事(?)終わったのでした。
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「というわけで、お風呂の体験を早速やっちゃいましょう~」
シエルが目覚めたときのために用意していた、大きめのお風呂ルーム。健康ランドバリに様々なお風呂が用意してある、普通の広い浴槽に岩風呂、電気風呂、ジャグジーにサウナ、サウナ用の水風呂まである。脱衣所にはフルーツ牛乳が飲める自販機もどきも置いてあるよ!
ちなみに、男湯はありません、入りたければコーマが勝手に作ればいいんじゃない?
「そうね、そのために準備してきたしねっ」
「お風呂っ!楽しみです~!」
「母様が大好きだというお湯に浸かるやつですか?いいですね、私もぜひ体験したいです」
あのお風呂妄想垂れ流し事件は、忘れてほしい・・・。
「お風呂の味をしめたら、次はトリルに降りてからの天然温泉が待ってるからね!」
ここんとこお風呂三昧である、元日本人だから仕方ない。こうして、新人のお風呂体験は姦しく行われていくのであった。
この健康ランドもどきのお風呂ルームは、定時連絡会の後に度々利用されることになる。家のお風呂もいいけどたまには銭湯もいいよね的なやつである。




