表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/261

惑星トリルと3つの大陸

 皆がいるであろう部屋に足を踏み入れると、そこは真っ白な部屋だった。

真っ白な部屋の中央には先ほどチュートリアルで見た惑星トリルの模型が浮かんでいる。


 模型を囲むようにして3人が立っているのが確認できる


 「いや~お待たせお待たせ、チュートリアルじっくりやってたら時間かかっちゃったわ」


 「そんなには待ってないから気にしなくてもいいぞ、似たようなタイミングで来たし」


 そう答えたのは多分信だろう。黒髪短髪で褐色肌、目つきは鋭く紫色だ。

 こいつめ、なかなかわかっているじゃないか・・・。

 一つ間違えば乙女ゲーの登場人物にも見えなくもない見た目にしてきたのは、愛梨の好みをよく分かっているというよりは信の趣味だ


 好みと趣味の相性がよかっただけである


 「チュートリアルの情報いっぱいすぎて寝そうになったわ~、わかんないとこ出てきたら教えてね☆」


 メンツ的にこの子は澄香だ。銀髪にポニーテールのエルフお姉さん、肉体的特徴に拘りがあるのかないのかきっちり絶壁ボディである。

 緑色の瞳が実にエルフっぽい、いやエルフの実物見たことないけども。

 高校時代も難しい事はとりあえず置いといてあとで愛梨で補完することが多かった澄香はどのゲームでもそんな感じなので、今回のゲームでも通常営業のようだ。


 「ようこそ皆、来てくれて嬉しいよ」


 再会?の挨拶が終わるのを見計らって声をかけてきたのはギルだろう。金髪短髪に赤い瞳・・・赤い瞳?そういやキャラメイクの選択肢に赤い瞳なかったような・・・?

 あとなんか服装もそんなのあったっけ的な感じだ、男女の違いを考えるとわからないが。


 半開きの口のままギルを眺めて反応を見せない愛梨を見て


 「ああ、この見た目はちょっと知り合いからのサービスだよっ」


 どうやら特別らしい。


 「これに誘う時に言ったと思うけど、このゲーム知り合いが作っててね、それで見た目とかサービスしてもらったんだよ、役得役得」


 にこぱっ☆とおちゃめな笑顔を浮かべるギルはかっこよくもあり、かわいくもあり、なんだか年齢不詳の不思議ボーイって感じだ。


 「じゃあ早速始めてみようか、皆チュートリアルはやってきたね?」


 気を取り直しての問いに3人は頷く、一人ちょっと目が泳いでいたが。


 ギルの説明によると、この惑星トリルを3人で担当区域を決めて発展させていくらしい。なので手始めにひと塊でどーんとある大陸を3人の好みに分割しようという事になった。


 地球とまるきり同じみたいにしてもつまらないし、ここは全然違う感じにしようぜってことで

みつうろこ的なマークかっていう

  ▲

 ▲ ▲ で端っこずつがくっついてる感じになった。


 ここでふと気が付く、3つの大陸だとギルはどうするんだと。


 「あれ??ギルはどうすんの?」


 疑問をギルに投げると


 「あー、実は知り合いに頼まれて、テストのチェック要員になってるんだ僕、だから3人のを見ながら不具合ないかとか改善するべきとことかの要件とりまとめ役なんだ」


 なるほど、デバッガ的な・・・。


 「でもなんだか申し訳ないな・・・、私達だけで楽しむのも・・・」


 しょんぼりした様子の愛梨にギルは明るく返す


 「いいよ!だいじょーーーぶ!これはこれでやりがいもあるし見てるのも楽しいし!」


 ウインクしながらサムズアップで答えるギルに3人はそれなら、まあ・・・と、納得する。ここで変に訝しんだりしないのがこの3人のいいところでもある、素直。


 さて、と再び惑星へ目をやるとじわりじわりと地形が変形していっている。なんか教育テレビの番組でこんなのあったなーとか思いながら3人はその様子を眺めている。


 「せっかく分けたしそれぞれに名前つけて~、あと大陸ごとの地形とか種族とか決めないとね」


 愛梨がそう言うと澄香はすぐにうんうんっと元気よく相槌を打ったが、信は名前考えんのめんどくせぇ・・・と無言で顔が語っていた。


 「どうしても浮かばなかったら私も考えたげるから」


 とりあえず、イメージが湧きやすいようにと地形と種族から決めることにする。


 愛梨がイメージしたのは北方に高い山と森林、中央は平原や砂漠、南のほうはジャングルや湿地と

割とオールジャンルでオーソドックスな地形だ。

 種族は人間が中心で北方の森林にはエルフが少数住まい、中央から南方に獣人を配置した。

獣人と言っても、様々な種類の獣人が選択できるわけだが、初期設定で選べるのは猫、犬、狼、兎の4種類だったのでそれを同数程度に配置することにした。

 高い山には山羊やタカ、森林部分には狼やイノシシなどを配置、中央の砂漠には当然サソリを置く。

 平原には兎、ネズミ、ゴブリンやコボルトなどの割と弱めの魔物。

 南方のジャングルには思いつく限りのカラフル系動物、あと猿の魔物、蛇の魔物など魔物多めの配置にした。

 海岸沿いにも人を住まわせ、東西で異なる魚を配置、川にもちゃんと川魚を配置した。


 「我ながら凄い普通だわ」


 おおよその配置が終わり、一息つくとあまりの普通さに思わず声が出た。

あまり突飛な配置をするとなぜそれらが住まうようになったかとか考えてしまってどうにも矛盾が違和感がと自分の中でモヤモヤしてしまうのだ。

 面白味には欠けるが、まあ普通が一番よねと自分で自分を納得させるしかない、大体のゲームにおいての恒例の納得である。



いつも普通なので。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ