ロクスト大陸の新種族(コーマ視点)
※コーマ視点
かろうじての適性レベルの魂を使徒に昇華させたまでは良かった。
自分の言うことを聞いてくれる存在というものに憧れもあったし、それが猫耳メイドちゃんなら・・・
と、現実世界の妄想から本当にそれが自分の手によって作られるとは思ってもみなかった。
造ったまではよかった、そこまではな。
めちゃくちゃ可愛い見た目にしたのが逆にダメージでかい・・・
全然言う事聞いてくれねーんだよあの使徒子
しかも名前リストにある全部の名前に首振って拒否とかさあ・・・アイリーンが即席で考えた名前に
一発でOK出すし、割とガチで泣きたかった。いや、部屋に戻ってからマジでちょっとだけ泣いた。
俺だけ名前呼び捨てだしさ・・・尊敬とか全然してもらえてないよな・・・。
懐いて貰いたくて猫獣人の好きな物とか超調べてさ、毎日持って行ってるんだけど
全戦全敗
ううむ、八方塞がりってやつだな!やかましいわ!
まあ、そのうちな・・・今は使徒のお勉強中らしいから・・・そのうち・・な・・・。
ネルにかまけてたせいでロクスト大陸の発展は遅々として進んでいない。
前に問題だった食糧事情は若干解消されて、人口は地味に伸びてはいるが、それだけだ。
アイリーンはなんか上手くやってるみたいだけど、いきなり近代化するとかそういうのはないらしい。
俺のとこはファンタジー要素のガチムチな方向を盛り過ぎたから
変な発展をしてる自覚はある、改善はされないと思う。
ドワーフ達は毎日毎日鉱山で採掘しては何やらカンカン叩いて作ってる。
おかげで農具はやたら性能が良さそうな感じだ。
物作り班の奴らは麻の腰巻みたいなやつに鎧着てて、ザ・ドワーフって見た目してるけど
農業班の奴らはほとんどパンツ一丁って感じで農作業してる、鎧は重いしな・・・。
製鉄は進んでても紡績は全然だな、女性ドワーフもいるのに全然見た目に拘らんよな。
あ、そうか綿とかあんま植えてねえわ。
そういえば神託も畑関係の奴以外全然やってなかったわ、適性ばっか見てたからな。
アイリーンに倣ってもう少しきちんとすべきだな。
ま、ドワーフ達は一応はこれでいいとして・・・
なんかこう、新しい種族が欲しいよな・・・紡績が得意そうな種族・・・ひつじ?とか?蜘蛛とか?
あ、なんか前に読んだ小説で蜘蛛が糸で服作ったりしてたな!
思い付いたときに行動に移さないと忘れるからな、さっそく蜘蛛っぽい魔物を大陸の中で探してみよう。
なんとかスパイダー系のやつが2系統くらいいるな、一応持ちポイントでカスタマイズできそうだ。
マージスパイダーとパワースパイダーというのがロクスト大陸に生息してる蜘蛛系の魔物だ
パワーの方が強そうだけど、頭悪そうだもんな・・・・パワーイズ力!みたいな・・・。
というわけでマージスパイダーをカスタマイズして蟲族を新たに大陸に出現させよう。
イメージ的には女性型だな、オスはほとんど蜘蛛っぽい感じでいいか。
名前はそうだな・・・アパレルスパイダー・・・?
ないわ
まあ見た目が見た目だしアラクネさんでいいか。なんかありきたりだけど一応名前被りはなさそうだったし大丈夫だろう。
こうしてドワーフの集落から少し離れた森の中に新たな集落が生まれた。
そこには自らの糸で編んだ服を着て暮らすアラクネ族という蟲人が住んでいて、早速各地を転々と交易しながら暮らしている猫獣人達が接触したみたいだ。
早送り状態だから展開がはえーな
特に険悪なイメージになる事もなく、アラクネ達が作り出した衣服に目を輝かせているな。
ほとんどすっぽんぽんだもんな、にゃんこたち・・・。
ほぼ全裸で大陸各地を移動させていたと思うと、途端に申し訳なくなってくる。
「割とマジですまんかった・・・」
猫獣人達は新たに手に入れた衣服を身に纏い、アラクネ達の希望を聞きドワーフの造る様々な道具を
衣服と交換で手に入れ、そしてアラクネ達に齎した。
なるほど、こうやって発展させてったのかアイリーンも。
うんうん、と頷きながらラプールを頑張って発展させている幼馴染を思い浮かべる。
「ちょっと違うと思うけど、ツッコミは入れないほうがいいな・・・」
と、どこかでギルが呟いた気がした、気がしただけだから知らん。
まあとりあえずこの大陸での衣料事情はこれで何とかなっていくだろ、多分。
そういやアイリーンが服に色がついたーって言ってたから染料になる物質でも探しとくか、日本画の絵の具とかって確か岩からとか取れたりするんだったよな?うろ覚えだけど。
いやでも待てよ・・・アラクネはマージスパイダーからの派生だから魔法で着色できたりしねーかな?
アラクネのステータスを確認していくと、あったわ普通に・・・。
そして既に色のついた服着てるわ・・・さすがファンタジーだな、さすファン。
これにより、ロクスト大陸にも服と言ってもいい物が爆誕したのであった。




