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講習会と使徒

 結果から言おう、全員きた。


 カンタン作成キットの時と同じような部屋でやろうと思ってたんだが、思いのほか参加希望者が多くて・・・いや、結局数えてみたら、地下都市の全員だった。ただしちびっこと猫を除く。


 狭い部屋では無理!ということで、大学の講義室みたいなのがないかと地下都市を探ってみると、丁度よくそんな感じの部屋が見つかった。若干ぎゅうぎゅうづめではあるが、全員入った、よかった。


 手順や材料、材料を入手する方法などを記した冊子は、用意した分だけでは当然足りなかったので、その場で複製していく。


 所々で聖典だ・・・! などという声が上がっていたのは聞かなかったことにしよう。冊子が聖典てお前・・・。


 全員冊子を読み込み、こちらが講習を始める頃にはこちらへ真剣なまなざしを向けていた。うん、中々熱心でよろしいじゃないか。


 大学の教授になったような気分で、粛々と講習を進めて、実践しながら黒板を作り上げていく。出来上がったものに、お試しでチョークを使って何か書いてみるか? と尋ねると行列ができた。うん・・・。


 黒板消し、までは今日の講習に入ってなかったので、普通に自分で作ったけどな、布と綿と木材と釘を持ってきてくれというと、あっという間に材料が揃ったので、その場で作り上げると、それだけで歓声が上がった。ただの黒板消しなんだが。


 全員、チョークで何かをかいては、おおっ! と感激の声を上げていて、ちょっとほっこりした。


 「これを食堂においておくから、伝言板として活用してくれ」


 連絡を取りたい相手、自分の名前も忘れんなよーっと言うと、一斉に元気な声で返事が響いたので、かなりの大音量になった。ちょっとだけビビった。


 それを力のある奴らで食堂まで運んで、設置。それで講習は終わりとなった。名残惜しそうに俺を見送る奴らを後にして、管理室に戻ってくると、なんだか充実した疲れが体に宿ったような気になった。あー、なんか仕事したって感じだな!


 黒板消しって、下にチョークの粉が落ちるから、クリーンの魔法を付与した魔道具にしてもいいかもな・・・。いや、クリーンじゃなくても吸い取るでいいのか。


 「スイッチを二つつけて・・・片方でチョークの粉を吸い取りながら消す、そんでもう一つで布を綺麗にする。これで永遠に使えてしまうな」


 魔石は使わずに、都度魔力を通してやれば、物理的に壊れるまで使うことのできる黒板消しの出来上がりっと。シャリオンは魔素のある星だから、多分魔力は全員が持っている物だと思ってるが、念のため確認しておくか。


 魔力なしで検索・・・あ、いたわ。じゃあ改良しないといけないか。生みたての魔石を黒板消しの中に組み込む、右のスイッチを押せば吸収、左でクリーン。魔力はそんなに使わないから、補充も楽でいいだろ。


 にしても、魔力なしってほんとにいるんだな・・・。ちょっと気になるから魔力なしのやつの情報を詳しく見てみるか。


 魔力なしとだけ検索したから、地下都市以外のやつっていう頭がなかっただけだった。俺の改良は一体・・・。いや、まあ長期的に見てもしかしたら、今後生まれるかもしれないし? 別にいいんじゃね?


 誰に対してのいいわけだか分からない言い訳を、頭の中で繰り返しながら、気分を落ち着けた。


 外の世界の、魔物の種族の中のいくつか、それぞれに一人か二人ってところだった。原因を探るべく詳しい情報を見てみると、どうも結界をずっと張り続けていた元種族の長だということが分かった。

 なるほど、延々と使いすぎて枯渇したのか・・・。もう結界を張る必要がないというのは、サージェスが説明して回っているので、現在結界を張っているのは、ウィードのところくらいだ。用心深い。


 まあ、あいつんとこは大丈夫だな、ああ見えてかなり賢いし。無茶な魔力の使い方なんてしないだろうし、効率よく結界を維持できているんだろう。


 枯渇状態になっているやつらも、魔素の濃いところで過ごしていれば、回復するのかもしれない。生まれついての魔力なしは現在においては存在しないということが分かった。

 先の事は知らんが。


 助手のサージェスは外回り(?)で忙しいし、もう一人か二人くらい使徒がいてくれると楽っちゃ楽なんだけどなぁ・・・。ヴィーアは働かないのが仕事なので候補には入らない。


 「神の使徒ならば、やはり力の強い種族ではないか? 神獣と呼べるような」


 「神獣ねえ・・・」


 と言われても、四神みたいなのしか思いつかんのだが。あとドラゴンか。シャリオンのドラゴンとはまだ話したことがないな。ロクストにいたドラゴンは適当を看板に掲げてるような感じだったからな。正直使徒が務まるとは思えないので、そっと候補からはずしておく。


 まあ、使徒といっても、ここじゃ雑用係だから、あまりにも荘厳な種族を選んでしまうと、申し訳なさが前に立ちすぎてダメだ。気軽にあごでこき使えるような、フランクな関係を構築したい。あー、ネルは元気にしてっかな。


 よし、使徒さがしをしよう。

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