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繋がる星と星

 列車の旅から帰ってきて、しばらくまったりと過ごしていると、シャリオンのコーマから久しぶりに連絡が入った。


 『お前さ、前にシャリオンから本持ってきてなかったか?』


 「本? あー・・・そういえば持って帰ってきてから全然読んでなかったなぁ、何の本が必要?」


 『とりあえず今必要なのは、魔道具関連だな、でも後々のために、何の本でも欲しい』


 「わかった、とりあえず持って帰ってきてこっちで何か役に立たないかな~って思っての事だったから、全部そっちに戻すわ、かなりの量あるから分類頑張ってね」


 積読にすらなってなかったあの大量の本。こちらで役に立つかと思ったけど、思いのほかこちらの技術も独自の進化を遂げていたので、あまり必要にもならなかったな。

 そう思うと、あちらの地下都市で生活を始めたという生き残り組には、少し申し訳ない事をしたかもしれない。あちらの技術や知識は、あちらで活かされるべきよね。


 一応書庫を作ってそこに適当に放り込んであるので、書庫ごとあちらに接続できないか、ギルに聞いてみよ。


 『あー、うん、できると思うけど、俺がそっちいってやってあげる』


 「というか、今どこにいんのよ」


 『え、ウレイン温泉だけど?』


 おかしいな、ギルは私たちのサポート役ではなかったか。何をのんきに温泉へとしゃれこんでいるのか。いやまあ・・・別にいいんだけどね。私も列車の旅満喫したりしたし。


 あっという間にほっかほかのギルが戻ってきた。そういえば顔を合わすのはちょっとぶり、いや、結構久しぶりじゃないか? コーマの作業手伝いに行ってから、だから・・・まあまあ顔を合わせてないな。


 「なんか久しぶりね、とりあえずあっちの地下都市から持ってきた本が必要らしいから、早速お願いするわね」


 「おっけーおっけー、コーマにこき使われるより、アイリーンにこき使われた方が、精神的に楽だからいいよ!」


 「え、コーマはそんなに無茶なこき使い方してくるわけ?」


 「いんや、真っ当な仕事だけど?」


 んんん? どういうこと? 真っ当な仕事嫌いなのかしら?


 ギルが作業を開始してから、私の過去のギルに手伝ってもらった事を思い出す。私やシエルじゃどうにもならなかったこととか、知識的にできなかったことだけを、たまに手伝ってもらったって感じだったわね。細かいことはシエルがやってくれるし、コーマの方も細かいところはネルちゃんがやってくれた。


 ああ、真っ当な仕事あんま頼んでなかったわ~・・・。


 「ああ、なんか考えさせちゃってごめんね、真っ当な仕事だけどあっちはほら、サージェスいるからね?」


 「あー、そういえば何やら因縁があったんだったわ、すっかり人が変わっちゃって忘れてた」


 「付き合いの短いアイリーンですら、人が変わったって思うんだから、俺なんて余計に思うよ」


 眉尻を下げながら、困ったようにギルが笑う。人として生きていた頃からの、因縁があったうえに、神になってからも、衝突を繰り返していた(割と一方的に)から、いきなり私に従順な感じになってしまったのでは、普通に困惑するわよね。どう接していいか、わからないもの。


 「相変わらずあんな感じなの?」


 「そうだね、根は真面目な奴なんだ、普通に仕事はできるし、気遣いもできる。相変わらずアイリーン最優先って感じだけど、裏で何か思ってやってるって気配も感じられないし、本心からなんだろうね」


 「そ、そう・・・なんだか神様にそうやって扱われるのはちょっとなんかねえ? それはいいとして・・・コーマとはどう? うまくやってそう?」


 「特に衝突もしてなかったように見えたけどねえ、一緒にいた時間が短かったから何とも言えないけど、コーマから苦情も貰わなかったし、上手くやってると思うよ」


 それならよかった、男二人で派遣しておいてなんだけど、サージェスは元アレだし、コーマはどちらかというとギルみたいに結構適当人間なとこもあるから、ちょっとだけ心配だったのだ。

 私の幼馴染だからって理由で、サージェスが我慢してるのだとしたら、いつかは爆発するかもしれないしね。短時間であっても上手くやってると、ギルが思えたのなら安心してもいいのかな?


 「そっか、まあ、今度サージェスにもあちらの生活はどうか聞いてみようかな」


 「そうしてあげて、サージェスはアイリーンの犬みたいなもんだから」


 「なによそれ~、あんなアレな犬なんていらないわよ、ここには可愛いフェンリル達がいるんだから」


 (そういう意味でもないんだけどな~?)


 「なんか失礼な事考えたりしてない?」


 「してないしてない、さあ、接続が終わったよ、こちらからでもあちらからでも繋ぐことができるから、書庫で顔合わせることもできるよ」


 「おぉ、初めての共有部屋だねえ・・・ってラピスの部屋もそうならない?」


 「気づいてしまいましたか」


 「そういうのいらないんで、ちゃっちゃとやって?」


 「藪蛇だった・・・」


 自ら仕事を増やしてしまったギルは、肩を落としてガックリした様子で、ラピス達の部屋も共有部屋へと変えてくれた。そのことをコーマに告げると


 『最初からやっておけば・・・くっ』


 ですよねー。


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