表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
239/261

アライグマ

 「そういえば、人類リセットされたし通貨どうするつもりなんだろ」


 トリルでは通貨自体ないので、今の今まで失念していたことを思い出す。以前のシャリオンなら、普通に金貨銀貨銅貨みたく流通していたのだが、一度人類は滅んでいる。生き残り組は現在生活を成り立たせるだけで精一杯だし、そもそも商売するほど人が居ない。

 全員でスローライフ状態なのである。


 「まあ、今の状態では無理だわなぁ」


 他の種族と合わせたところで、通貨が必要な程も人が居ないし、町がここしかない。コーマは一旦考える事をやめた。考えても仕方のない事なので。


 「さて、肉関係の事どうしてるか一応聞いてみるか」


 生き残り組のサポート役であるシャイターン族に聞いてみると、シャイターン族が定期的に周辺の動物などを狩っているとのことだった。

 だが、消費する人数が少ないため、動物が増える速度の方が早いんだとか。となると、天敵の居ない状態では、増える一方になり、周辺の植物などが食い荒らされる事になりかねない。


 「これは、普通に考えないと生態系関係やばくないか?」


 現時点では、大自然の恵みオンリーなシャリオンではあるが、この状態を放置していれば、次第に自然が損なわれていき、野生の生物の王国となってしまう。魔物の住処周辺だけはなんとかその事態を免れるが、野生の生物をあまり狩らない種族の周辺では、そうもいかない。


 「んー、これは狩猟民族も導入しないといけないかもしれないなぁ」


 自然とは言っても、元々人が住んでいた星だ。バランスが崩れた状態を放置していて、長年良く持ったものだ。しかし、これからはアイリーンが、その代理のコーマが管理していかなければならないのだ。

 これを放っておくのは、管理人としてダメな気がする。


 「サージェス、今大丈夫か?」


 『問題ない、どうかしたか?』


 「地下都市周辺の生態系がちょっと問題があるみたいでな、ちょっと相談なんだが」


 野生の動物が増えすぎている現状を伝えると、やはりか、といった反応が返って来る。サージェスも薄々気付いていたらしく、コーマへその話を持ち掛けようかと思っていた所だったという。元々神様だから、気付くのも当然と言えば当然だ。


 『狩猟民族を創ると言うのは、一見正しい事ではあるが、それだけでは解決はしないだろう。彼らは狩る事はできるだろうが、それを消費することにおいてはその限りではない』


 「あー、狩っても加工と消費が追い付かないって事だな・・・」


 『そうだ、加工を出来る技術と、その人員が圧倒的に足りていない』


 「となると・・・食いしん坊な種族を地下都市に招く必要があるな、あと加工が得意な種族か」


 『安直に考えるならそうなるな、長期的に言うとその限りではないが』


 「まあ、今すぐどうにかなってしまうような危機的状況ってわけでもないから、そこまではしなくてもいいかもしれんが、消費は兎も角加工できる種族は必要だとは思う。地下都市には状態保存の魔法のかかっている倉庫も存在するからな、それを使えば、保存食として保管できる」


 『加工をするにも、必要な機材などの開発が必要だろう』


 「そこは、なんとかする」


 『あまり入れ込み過ぎるなよ、過干渉は目を付けられるぞ』


 「あー、まあ、大丈夫だろ」


 食品加工とひとえに言っても、様々だ。今回は燻製や、干し肉を創るくらいでも十分だろう。これから人数が増える事を考えれば、保管する食糧が多いに越した事は無い。幸い、地下都市には状態保存の魔法のかかっている倉庫が複数ある。シャイターン族に、状態保存の魔法を使えるか尋ねたところ、現時点では使えないが、習得するとのことだったので、その辺は任せておけばいいだろう。


 現存の種族を連れてきてもいいのだが、総数が増える方が、発展を目指すには都合がいい。となると、やはり新しい獣人を創るのが良いとは思うのだが、これといって思い浮かぶ獣人がいない。狩猟系と、加工系。

 加工系ならば、手先の器用さが求められる。あとは、料理人としての適性も多少は必要になってくるだろう。


 「まずは加工系から考えよう」


 狩猟系はシャイターン族が狩りは一応できるようだったので、一旦置いておくとして、まずは加工系。料理の適性については、魂のストックからその適性を選べば問題はないはずなので、器となる獣人を創る方から考えた方がいいだろう。

 なんとなく、本当になんとなくなのだが


 「アライグマが浮かんでからそれしか浮かんでこない」


 アライグマは、手先が器用だ。地球に居た頃に、動画で鍵を上手くあけてその中の物を取り出すアライグマを見た事があったコーマは、まずそれを思い出してしまい、それ以外が思い浮かばない呪いにかかってしまった。実際には呪いでもなんでもないのだけど。


 「まあいいや、アライグマにしよ・・・可愛いだろうし」


 可愛いは正義なので仕方ない。そういうことにしておこう。


 ビー族と同じように、限りなく人に近い感じにし、今回は大人の番と子供達という風に、世帯をいくつか創ることにする。


 尻尾は当然あのしましまだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ