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ビー族

 「設定がないなら創ればいいじゃない、ってな」


 一通り地下都市組に話を聞き終え、シャリオンの管理部屋に戻ってきたコーマは、早速新しく創る種族を考え始めていた。

 以前、シュウが管理していた頃の設定は、そのままになっているのだが、その設定をそのまま使わなければならないというルールなどはないのだ。既存の種族を創り出すとしても、設定自体を弄ってしまえばいいのだと。


 「だって神様だからな~」


 鼻歌交じりに色々と画面を出して、これからの計画に必要なものを選び出す。相変わらずヴィーアはコーマの首に巻きつくようにして、寝ている。無言で大人しくしているのではない、寝ているのだ。


 「こういう時に、色々話し相手になるかと思ったけど、大体寝てるな・・・」


 猫なので。


 土木作業が強いというイメージでは、特に思い浮かばなかったので、動物を色々と検索しては情報を確認してみる。土といえば、モグラ。といった風にだ。


 途中脱線してかわいい猫画像を漁りだしては、ハッと正気に戻ってを繰り返していた。


 「猫様が可愛いのがいかんよ可愛いのが」


 吸引力に抗えないのも致し方なし。


 気を取り直して、再び作業に戻る。人間そのものを創ってしまえば早いのかもしれないのだが、何故かそれはしたくないなと、コーマは考えていた。人類は、なんとか生き残り組からの発展を望みたいと。そして他の種族を生み出し、更にそちらと混じっていって、その数を順当に増やしていってほしいのだ。


 「獣人っつっても、別に人間に耳が余分についてるくらいのうすーい獣人でもいいんだよな」


 その方が混じりやすいだろう、と考えている。


 「まあ獣人に拘らなくてもいいんだけど」


 例えば土属性の妖精というイメージのノームを、人間に近い存在にした感じのもの。暫定的にノーム族としておいて、人族と妖精ノームのデータを並べて見比べてみる。

 

 「ノームっつーと、ちっちゃいおじいちゃんのイメージしかねえ・・・」


 そのままデータを混ぜて完成を見てみると、どう見ても年寄りの夫婦にしかならなかった。ここからパラメータを弄れば、もっと普通っぽい見た目になるんだろうか?


 「デフォルトだと、やっぱこうなるよなぁ。まあ、それならもうオリジナルにするしかねえよなあ」


 ステータスのデータを人×ノームで保存しておいて、それを新しく作った種族にはめ込む事を考えてみる。モグラの画像も一応探してはみたものの、コーマの考えているイメージにはそぐわなかったらしく、候補からそっと外された。


 「家をつくる・・・ううむ・・・ビーバーとか中々ないんじゃねえ?」


 ビーバーはダムでは。


 というのが頭をかすめたが、探した画像が結構可愛らしかったので、気にしない事にした。細かい事を気にしたら負けなのだ。何に負けるのかは知らないが。


 「よし、イメージが湧いてきた、これでいこう」


 茶色の髪に、可愛らしい耳がちょこんとついた男女をイメージし、器を創っていく。流石に出っ歯は可哀想なので、顔は普通に人間と同じ。あまり大柄に育ちはしないが、手先が器用で土属性の魔法が得意にしておこう。そう考えながらも、器は完成した。


 女の子は茶色のショートボブ、黒い瞳は共通、男の子は普通に短髪、背丈は普通の人族よりも、少しだけ小さめ。


 「よし・・・種族名は・・・ダム、いやビー族にしとこう」


 そこに先程保存したステータスをはめ込んだら完成。テッテレー。


 「さて・・・こいつらを何人くらい作ろうか」


 とりあえず、魂の保管庫で、土属性の素質の高い物を選んでいく。元々魔法使いで、土属性の得意なやつらだろうか? かなりの数がいた。現地のドワーフから聞いた話でも、小遣い稼ぎに土魔法で家を建てる手伝いをしていたと言っていたので、それなりの数がいるとは思っていたが、これほどとは。

 もっと絞り込まないといけないなと思ったが、ふいに思いついたように検索ワードに「善性」と入れてみると、結構な数が減った。


 「まあ、全員が全員、良いやつじゃないとは分かってたけど、結構いるんだな・・・悪玉菌」


 誰がコレステロールか。


 「悪い系の魂は、質の悪い奴だけポイントに変えちゃうのも手だな」


 血の流れない粛正である。


 「とりあえず、試しに10人ずつで創ってみよう」


 今回は、以前の失敗を繰り返さない。使徒適性はガン無視することにする。再び軍隊を創ってしまうと、今度こそアイリーンに滅茶苦茶罵倒されそう。


 器を男女各10名ずつに増やし、魂を入れていく。子供達の年齢は大体3歳くらいを想定してあるのだが、思ったようにいくのだろうか、少し不安はあった。


 「あ、ラピスちょっと一人ここに」


 「お呼びでしょうか、ご主神様」


 「はっや、あ、うんうん、呼んだ。今からこのちびっ子たち目覚めるから、地下都市に連れてくまでの牽引役おねがい」


 「お任せください、その使命、全身全霊を込めて「そこまで重い任務じゃないから! 普通に子供の面倒見てくれればいいから!」


 「はぁい・・・」


 そんなやり取りをしつつ、魂を入れる作業を終えた。ビー族の子供たちは、すぐさま目を覚ますと・・・


 「おはよーごじゃいましゅ」


 普通だった、よかった。

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