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地上進出計画

 ラピス達の教育云々やら、送り出しやらが落ち着いて、コーマが一息つく。


 「今までで一番働いたかもしんねー、まあ俺は送り出したりしただけだが」


 ラプール関連の事を色々やっていた間は、急を要する案件がなかったため、種族関係の事はお休みしていた。優先度の高い物を終わらせてからだったので、問題はなかったのだが。


 「あとは結構数が多いからなー、本人達の意思を尊重するにしても、意見が割れる事を考えないといけないのが面倒っちゃ面倒だな」


 「それなら、そいつらは一旦置いておいて、あの地下都市の連中の面倒でもみてやったらどうだ?」


 改変した種族を送り込んだりした以外では特に何もしていない。全部現地民にお任せしているのだ、あまり干渉をしてしまうと、アイリーンの管理する星なのに自分が崇拝されてしまってちょっと罪悪感もある。


 それを伝えると、サージェスは何を言っているんだ? といった表情を浮かべた。


 「主が管理しているといっても、それは名目上の事で、トリルがメインなのには変わりない。コーマは代理で管理をしているが、神に変わりはないんだぞ? それにお前に向けられた崇拝は、その上司にあたる主へと還元されるからその辺は心配しなくていい」


 「そっか、雇われ社長みたいなもんだな」


 「そういうことだ」


 「お前、適当に返事してないよな? 雇われ社長とかのワード理解できてる?」


 「失礼な奴だな、地球の事に関してもきっちり知識はあるぞ」


 「あ、そうなんだ、すまん」


 元がアレなだけに、そこまで有能感がなくてすっかり疑ってかかっていたことを、コーマはすぐに謝る。こういうところが、結構慕われるポイントにもなっているのだが、本人は気づいていない。


 「じゃあちょっと地下都市の様子でも見てこようかな」


 「そうするといい、私は引き続き種族改変についての作業をする」


 「任せる、ってそういえばギルは?」


 「とっくに逃げたぞ」


 ギルは最初に割り当てられた仕事を終わらせると、すぐに逃げたのだが、バタバタしていて逃げた事にすら気付いてなかったコーマであった。


 「まあ困った時は、来てくれるからいいか・・・」


 やれやれ、とため息を一つ吐き出して、コーマはシャリオン唯一の都市である地下都市へと向かうのだった。


 シャリオンにある地下都市は、アイリーン達が探索した時に見つけたものはごく一部で、想像以上にでかい。「都市」とついているのも頷けるというものだ。

 地下であっても、疑似太陽が存在し、そこで畑も作れるので、自給自足もバッチリだ。作られた目的は、シェルター的なものだったようだが、利用者が滅亡してしまっては意味がない。

 今ではシャイターン族になった元悪魔族が現役バリバリの頃、人々はここの存在を知らなかった。いや、一部の者しか知らなかったのだ。ここの存在を知らせて、避難させていれば、人類もまだ多少は残っていたのかもしれないが、それはもしもの話であるので、実際どうなるかは分からないのだ。

 

 悪魔族がここの存在を知り、攻め込んでいれば、今ここに生き残り組すらいなかった事だろう。


 「よう、元気にやってるかー?」


 ふらっと現れた神に、畑で作業していた者達は固まってしまう。作業をしていた手は止まり、口をぽかんと開けたまま思考停止に陥っていた。


 「ああ、すまんすまん、そんなに固まらなくてもいいぞ、ちょっと様子を見に来ただけだ。何か困った事なんかはないか?」


 現場に社長がいきなり抜き打ち訪問したようなものだろうか・・・と頭の中でコーマは呟く。


 「コーマ様は、神様っていう自覚があんまりないにゃ」


 ふと、耳元でヴィーアが呟いた。


 「お前、喋れるようになったのか」


 「結構前から喋れるようにはなったけど、面倒で喋らなかっただけにゃ」


 めんどくさがりのシャリオンのヴァンパイアだっただけはある。いや、基本的に猫は総じてそんなものなのかもしれないが。


 そんな気軽なやり取りをしている様子を見て、その場にいた者達は正気を取り戻した。


 「こ、コーマ様、わざわざ我々の様子を見に来てくださったのですか! ありがとうございます!」


 「そんな畏まらなくてもいいぞ、作業の手を止めてしまってすまなかったな」


 「いえ、身に余る光栄にございます!」


 畑ゾーンにいるのは、人間の男女と今まで連れてきた種族が一通り。中々に仲良くやれているような雰囲気はしているので、問題は特になさそうだ。


 「困っているという事はないのですが、地上の様子はちょっと気になりますね」


 シャリオンは、現在大自然オンリー状態なので、様子も何もないのだが。この地下都市の付近には、特に魔物の集落もないので、外に出ても問題は特にない。

 落ち着くまでは地下都市にと言ったのは、安全を確保するのが楽だったからだ。入り口に結界を張っておけば侵入が防げるので。


 「地上に残っている魔物達とは、順次交渉しているところだな、またちょいちょいここに連れて来るかもしれん」


 「そうでしたか、この地下都市は住み心地はいいのですが、やはり地上の事も気になってしまいまして」


 「そうだな・・・じゃあここで子が生まれだしたら、ぼちぼち地上に出てみるか?」

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