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列車の旅がしたい

 保育園の色々があってから暫くして、とうとうラプールの大陸横断鉄道(仮)が完成した! 試運転も特にこれといった問題も起こらず無事に済み、いよいよ本日、稼働が始まる。


 試運転にはシュウを含む制作陣全員が手を挙げ、じゃんけんで順番を決めてた。うん、平和だね。


 まずは動力部の車両のみで運転から始まり、どの程度のスピードが出るかを計測。次に客車やら貨物車やらを繋いでちゃんと動くかを確認。空の状態でスピードを計る。


 レールの上を走っているわけではないので、ガタンゴトンと音はしないけど、見た目だけは完全にSLである。ちなみに煙は出てない、当たり前だけど。


 端から端までどこにも停車せずにぶっ通しで走れば、1日で到着する程度のスピードまでは出るようだ。でも、線上にある途中の町に停車しつつ、安全運転で行くとなると、3日程度はやはりかかってしまうようだった。ま、大陸の端から端なんだし、それでも十分早いと思う。


 魔石は結構な大きさの物が使われていて、試運転の為に満タンまで魔力は貯められている状態から、端から端まで全力走行で半分減ったくらいだった。意外と燃費がいい・・・のかな?


 試運転だから、その減りだったわけだけども、お客を乗せたり、荷物を乗せたりしたらまたちょっと変わってくるんだろう。代金代わりに魔力を提供するから、半分まで減る事は無いと思う。

 町に寄るごとに、魔力の提供を受けるわけだからね。魔力の提供は受付に魔石が置かれていて、そこに貯める。そして動力部に、魔石から魔石への魔力の移動を行う機器が取り付けられており、そこで補充するようになっている。


 中々良く考えられているなぁ。


 線路は基本的に真っ直ぐだ。線路と道路が交わる部分には、しれっと踏切が取り付けられているあたり、これはシュウが知識を提供したんだなと気付いた。踏切程度だと、魔石も小さなものでいいし、メンテナンスを担当する人がこまめに魔力を補充すれば、ずっと使える。


 燃料問題もどうにかなっているし、環境問題にもならないので、ある意味理想的なエネルギーだよね、魔石。ポイント貯めてゲットできちゃうからねえ。あ、ポイントじゃないや、魔力だ。


 魔石の数が増えるのと、新しい車両を作るのと大体ペース的には同じなので、新しく線路を繋いだ時には、また新しい車両が完成していることと思われる。


 ま、一度成功してしまえば、研究しながら作るのではないから、そこまで時間もかからないしね。車両の素材は木と魔法が掛けられて加工すれば頑丈になる土。これは家に使われている方法だ。

 木で枠組みを作って、土で木組みを囲い、そして固める魔法をかける。ただそれだけ。結構簡単にガワだけなら造れちゃう。魔法は便利。


 魔法の研究をしている人達が、色々便利な魔法を考え、作り出された魔法を定着させるために魔法陣を使う。魔法陣に魔石から魔力を送り込む仕組みを作るのは、錬金術師たちだ。

 様々な分野の人達で造られている。まさに一丸となって造った努力の結晶というか。


 そういえば、この列車というか、鉄道? の名前はどうするんだろう。鉄使ってないし・・・。


 出発地点を見てみると、横断幕が掲げられていて、今まさに開通式が行われようとしていた。

 そこには


 <祝! 魔道列車開通!>


 あ、魔道列車にしたんだ。シンプルが一番よね。


 これ、ちょっと乗ってみたいわ・・・。どうにか潜入できないかなぁ。ほぼ使われることなく倉庫に眠ったままのコーマの作ったお人形を、やっとここで使う事になるんだろか。


 「準備はできております」


 うーん、有能。


 既にシエルがチョイスした人形を持ってきていた。


 「シエルも一緒に・・・ってシエルは顔がバレてるわよね」


 「ご安心を、私は動物に変化します」


 ぽんっと、シエルの姿が消える。代わりに、小鳥がパタパタとはためいている。猫にでもなるのかと思ったら、まさかの鳥である。物凄く可愛い。


 「猫などの動物にしようかとも考えたのですが、それだと場所をとるかと思いまして」


 「なるほど、それで肩に乗れる鳥にしたと」


 自分の好みでその鳥にしたわけではなかったのね、鳥が好きなのかと思った。ホバリング状態からパタパタッと私の方へ飛んできて、肩にちょこんと止まった。

 あ、これすごくいい。メルヘンチックな感じもするけど、可愛いから許す!


 あ、車内で食べる用のおひるごはんとかも一応持って行こ。


 コーマのコレクションの中から、普通のどこにでもいるような女の子の人形をシエルは選んでくれていたようで、既にこの場に座っている。うん、これならバレないね。


 人形の中に入り、その体を動かすのは、なんだか新鮮な感じがした。どこか懐かしいとも感じるこの感じ・・・。人間だった頃の記憶が甦る感覚というか。

 シャリオンで人間として生きていた頃よりも、地球で普通の人間として生きていた頃の感覚の方が近いように思える。


 「ところで、乗る人数って決まってるのかな? 希望者抽選?」


 「シュウに訳を話せば乗せてくれるのでは?」


 シエルはたまにちゃっかりしてると思う。

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