転生者シュウ、色々想いを馳せる
※シュウ視点です
ここのところずっと忙しい、いや、忙しくなかった時なんてなかったっけか。でも、不思議と逃げだしたい気持ちは湧いてこない。凄く充実してる。
最近はずっとこの大陸横断鉄道(仮)にかかりきりで、錬金術的なことはほぼやってない。これが落ち着いたら、また何かしらのアイテムの作成をやってもいいな。
メインの車両ももう完成間近で、そろそろ試運転をやってみようかっていう話は出てきてる。線路も結構出来上がってるし、アルケミスタには既に到達してるから、試運転するには問題ない。
車両を運ぶのは、重量軽減が付与されている荷車があるから、それでなんとかなるとして、試運転の運転手を決めないといけないんだよな。皆好奇心の塊みたいな人達だから、絶対やりたい人だらけだ。俺も例にもれず、運転したい。
くじ引きにするか、じゃんけんにするか・・・、いや、人数がわかんねえしじゃんけんが妥当か? 一応誰でも運転できるようにはしてあるから、誰が運転しても大丈夫だろうけど、安全装置の確認もしておかないといけないな。
ああ、こういう大規模な開発に携わるのは、地球じゃやったこともなかったから、今のこの高揚感というか、なんというか、このワクワクするようなハラハラするようなこんな気持ち初めて味わうんだよなぁ。車両が無事に動いたら、感動して泣くかもしんねー。まあ泣いても、多分大体の奴らが泣くんじゃないか?
これが上手く行ったら、次は線路を増やそう、そんで、ラプール全土を繋ごう。繋いだら、妹を海にでも連れて行きたいし、ロクストやウレインにも連れて行きたい。色んなものを食べてみたいし、全部の町へ行ってみたい。
この星で生まれてから、やりたいことだらけだ。
個人で所有できるような車・・・はまだ早いから、自転車、いや、スクーターみたいなやつで、鉄道と同じ原理で動くものでもいいな。最初は量産できねえから、町の所有物としてジワジワ増やしていくのもいいな。
暮らしをいかに便利にするか、そんなことばっかり考えてたら、こんなとこまで来ちまった。
両親からは、そろそろ嫁さんも見つけろよって言われるけど、そんな暇がねえんだよなぁ・・・。出会いもなくはないけど、立ち止まってしまうと、どうにも次に動き出すのが遅くなりそうで怖い。案外俺より先に妹の方が結婚したりして・・・いや、だめだだめだ! 俺の認める男じゃなきゃ妹は嫁にやらん!
ふう、まあ・・・妹が幸せならば、俺はそれでいいんだけどな。
乗り物関係がひと段落したら、次は紙漉きの道具を機械化したいんだよなー。ああ、またやりたいことが湧き出てくる・・・。きっと、人生を終えるまでやりたい事が尽きない気がする。人間一人の人生の時間が凄く短く思えてくる。
そういや、元俺の担当してた星の魔族達は今一体どうなってるんだろうなぁ。初期設定こそ自分でやったものの、あの頃はほんと適当に地球の知識でやってたからな。女神があっちに行ってた時の話を聞く限りじゃ、相当数も減ってるみたいだし、絶滅した種族もいるんだろう。それはそれでちょっと寂しい気もする。
今はコーマがあっちに行ってるんだっけか。あっちがひと段落したら、どんな様子かちょっと聞いてみたいな。未練は既に欠片もないし、俺が知ってる星とはもうかなりかけ離れてるだろうからな。
「この人生が終わったら、俺の事はどうするつもりなんだろうな、女神は」
俺もどうするつもりだろうな? 使徒になるのか、再度この星に生まれ変わるのか。まあ、まだ若いんだから、今考えても仕方のない事なんだけどさ。
物作りが楽しすぎて、今はここで生きたい気持ちが強いけど、爺になってみれば、考えも変わるかもしんねーしなぁ。上は上で、下は下で良い所があるから、今は何とも言えないか。
将来、錬金術を極めたら、錬金術の神様になったりとかしねーかな?
なんてな。
もう一度、どこかしらの星を担当するのは御免だけど、この星で女神とかその友達やらシエルやらと長らく楽しむのも悪くない。
繰り返し転生して、この星の住民として、毎回いろんな貢献するのも悪くない。
どちらにしろ、この星の行く末を見たいっていう事には変わりないな。
ま、それよりもだ。まずは、今目の前にある物を完成させないとだ。線路の開通が終わったら、すぐにでも運用を開始したいところだけど、ダイヤも決めないとなぁ。そのためには、どのくらいで端から端まで時間がかかるのか、きっちり計らないと。
あーもう楽しみすぎる!
とりあえず、じゃんけんのイメトレでもしておこう。




